「日本の医療は世界トップレベルである」と多くの日本人は考えていると思います。
日本の医療費は、厚生労働省が公表している2013年度の概算で39兆3,000億円にも及びその費用は高齢化や高度医療技術によって年々増加しています。しかし、医薬品や医療機器のトップ10企業に日本企業は入っていません。
日本で最大の医薬品メーカーは、武田薬品工業で売上高約1兆7,000億円なのですが、世界ランキング16位(2013年度)で実はトップ10にも入っていません。トップは、米国ファイザー社で売上高約6兆円と武田薬品工業の実に3.5倍の規模なのです。
それならば、医療機器メーカーなら、テルモや東芝、オリンパスがあるから日本が強いに違いない、と思われる方も多いでしょう。しかし、現実にはテルモが20位(2014年度)にかろうじて入るという厳しい状況なのです。医療機器のランキングトップは、売上高約3兆5,000億円のジョンソン・アンド・ジョンソン社です。国内トップのテルモの売上高は約4,000億円と一桁違うのです。
つまり高度な医療サービスを受けることが出来る医療先進国日本を支えているのは、日本企業ではなく欧米企業であるという現実が見えてきます。厚生労働省が公表している約40兆円の医療費の内訳は、サービス費用(医療サービスの人件費など)が37%、施設関連費用(入院費など)が22%、薬剤費が22%、医療機器費が6%、その他13%となっています。サービス費用や施設関連費用は当然国内で全て賄われていますが、薬剤費と医療機器費は輸入に頼っているのです。
こうした状況を見直すべく、2014年6月に改正薬事法が施行されました。これによって医薬品や医療機器の取扱いについて規制緩和を行うとともに、医療関係のビジネスを活性化させる取組みが行われています。医療は、読者のみなさんにとっても身近なテーマだと思います。そこで、医療業界についてのトレンドやイノベーションについて次回以降ご紹介していきたいと思います。
次回は、最近良く聞くバイオ医薬品についてご紹介いたします。
[著]Wingarc1st Official The BLOG編集部
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