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ちょびっとラビット耳よりラピッドニュース #015:AI活用によりナスカの地上絵が大量に見つかりすぎた件

         

まいどどうも、みなさん、こんにちは。

わたくし世界が誇るハイスペックウサギであり、かのメソポ田宮商事の日本支社長、ウサギ社長であります。週ごとの連載ですので、先週も今週も、そして来週も呼ばれて飛び出てじゃじゃジャジャーんと失礼させていただきます。今週はノーベル賞受賞者が発表され、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)がノーベル平和賞を受賞したり、ハリケーン「ミルトン」がフロリダで猛威をふるったり、中東情勢がさらに緊迫化していたり、ドラえもんの代名詞とも言える存在だった声優大山のぶ代さんが90歳で死去したり、と今週も様々な出来事がありました。大山のぶ代さんの著書である「ぼく、ドラえもんでした。」を十年くらい前に読み、マンガのウサギ経営者と未来の猫型ロボットの違いはあれどいつかわたくしも共演したいと思っていた憧れの方でしたので、非常に残念であります。

さて、最近のわたくしの傾向といたしましては、自分で言うのもなんですが、自分で言わないと誰も言ってくれないので結局自分で言うんですけど、ハイスペックすぎるが故に昨今のトレンドのかなり先を行ってしまっておりまして、インスタ映えするお店のスイーツよりも、TikTokのショート動画よりも縄文土器とか竪穴式住居とかあるいは貝塚跡など、時代感をはるかに超越した人工物を眺めている方が感じ入るものがあるなぁ、とお茶を啜りながらしみじみと考える時代超越型の中年オスウサギとなりつつあるのですが、かねてからわたくしが関心を寄せておりました「ナスカの地上絵」に関するビッグニュースがありましたのでそちらを今回はとりあげてみたいと思っております。おっほん。

そもそもナスカの地上絵というのもは紀元前200年から紀元後800年くらいに作られた、というか描かれたものでありまして、もともとは飛行機の操縦士の方々の間でナスカ周辺のフライト中に巨大な絵のようなものが見える、と話題になっていたらしいのですが、誰かがそれについて言及することも研究することも特になく、その後、ドイツ人学者であるマリア・ライヘさんという女性が「これは人類の遺産として非常に価値のあるものであり、これを保存すべきである」と必死になって主張した結果、多くの人がその価値を認識できるようになり、保存されるようになった、という経緯があります。今でもナスカの街を訪れるとマリアさんの銅像が至る所に建っており、まぁ、それもそのはず、というか、ナスカの町は今やこの土地の先人たちが描いた地上絵を見るために訪れる観光客を主な収入源の一つとしているため、特になんとも思っていなかったものが実は貴重なものだった、ということを気づかせてくれたマリアさんはナスカを今もなお栄えさせてくれているヒロイン扱いされているわけです。

マリアさんの献身により、この地上絵には価値がある、というところまでは浸透したのですが、これらの地上絵がいつ頃作られたのか、そもそもなぜ作ったのか、に加えて、もしかして他にもあるのか、ということなどは全くもって不明だったのです。1920年代に研究が始められてからおよそ100年、一世紀という長い年月を経て我々人類は430ほどの地上絵を発見しました。日本においては山形大学が2012年にナスカ研究室を立ち上げ、ナスカの地上絵の発見に尽力してきました。しかし、ナスカ台地は約400平方kmほどの広さがあり、しらみつぶしに探すにはものすごく時間がかかる、という問題に研究室は直面していました。そこで、山形大学ナスカ研究室はIBM研究所と共同プロジェクトを立ち上げ、AIを活用して地上絵を発見する、という取り組みを開始したのです。

そして、どうなったかというと、AIを活用することにより、新しい地上絵がわんさかと発見されたのあります。なんとその数、わずか6ヶ月で303点。つまり、この100年かけて地道に発見していった地上絵のおよそ7割にあたる数がしかもたった半年という短期間に新たに見つかったのです。(新たに見つかった地上絵の画像はこちら)これは凄すぎる、というか、凄すぎてどのくらいありがたいのかが表現できないほどの圧倒的な数字でありまして、盆と正月がいっぺんに、というか、もう大谷翔平と藤井聡太がいっぺんに、みたいな天地がひっくり返るような大騒ぎになっているわけです。昨年の11月にリリースされたビートルズ最後の新曲と言われる「ナウ・アンド・ゼン」はAIによる音源分離処理を施し、生存しているメンバーがそれに演奏を重ねる、という手法で作成されたのですが、これは一曲だったからありがたみもあり、ファンたちも、これで最後か、本当にさよならジョン、と涙したわけですが、ナスカの地上絵の発見数はこれに例えると、「みなさん、喜んでください。ビートルズの新曲がまた発見されました!ビートルズがこれまで発表した曲の数は213曲ですが、この度150曲ほど未発表のものが発見されました!」というスケールの衝撃であり、熱狂的なファンもこれは喜びを通り越してさすがに困惑してしまい、挙げ句の果てにはアイデンティティクライシスに陥ってしまうくらいの衝撃なのではないかと思いながらわたくしはこのニュースを読んでおりました。

ナスカの地上絵といえば、なんとなく男のロマンというか、そこはかとないラピュタ感というか、謎に満ちた危険な香りがとっても魅惑的だったのですが、あまりにも早く発見され、この先、目的や作り方などが明確になっていってしまうと、それはそれでちょっと悲しいような切ないような、もしやこれが恋なのかしら、みたいなおかしな気持ちになるわたくしでありました。たくさん見つかった方が研究室も嬉しいのだとは思いつつも、それにしてもちょっと短期間に見つかりすぎでは?というAIによるやりすぎの部分が露呈しており、名人をフルボッコにしてしまう将棋のAI並みにその有能ぶりと空気読めない感が絶妙に表現されたニュースだったように思ったので、今回はとりあげてみました。ま、その作り方が明らかになった時には、ぜひともわたくしをモデルにしたウサギの地上絵をナスカ台地にデデーンと、なんなら月からでも見えるくらいの大きさで描いてもらいたいとわたくしは考えております。

AI生成で作成したウサギの地上絵のイメージ図(イメージしてたのと全然違いますw)

ちなみにナスカという町はこじんまりとした乾いた町で、ペルーを訪れる人のほとんどはクスコ経由でマチュピチュを目指しますが、マチュピチュからは結構離れているため、さほど観光客が多い、というわけでもなく、その落ち着いた感じがとても居心地がよく、10数年前にわたくしが数日の予定で訪れた際にはその居心地の良さからついつい一週間ほど滞在してしまったほどでした。みなさまもペルーを訪れる際にはぜひナスカの地上絵を自分の目で見て確かめてみてください!また、山形大学の研究方法などについてより詳しく知りたい方はこちらからお読みください。今後も様々な分野でAIによってブレークスルーがもたらされる、という事例は増えてきそうですよね。嬉しいような、恐ろしいような、ですが。

さて、そんなわけで、今週はちょっとやりすぎちゃった感のあるナスカの地上絵新発見のニュースについて取り上げてみました。それでは、また来週までごきげんよう。ちなみに、ちょびっとラビットのまとめ読みはこちらからどうぞ!アデュー、エブリワン。

(ウサギ社長)

 

参照元

・「ナスカの地上絵」新たに303個発見で“ほぼ倍増” AIで航空写真からの発見率16倍に 山形大 | IT media news ・山形大学がAIを使ってナスカの地上絵を半年で303個発見することに成功、地上絵の目的も明らかに | Gigazine ・AI-accelerated Nazca survey nearly doubles the number of known figurative geoglyphs and sheds light on their purpose | PNAS ・AIによってナスカ調査が加速したことで、既知の具象的な地上絵の数がほぼ倍増し、地上絵の目的が明らかになった | 山形大学 ・「ナスカの地上絵」はどうやって描いたのか? 山形大学の「最新研究」が解き明かす!|現代ビジネス ・ナスカ砂の王国: 地上絵の謎を追ったマリア・ライヘの生涯 (文春文庫 く 11-5) |楠田 枝里子 

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