今回は不思議な事に営業研修で抜け落ちていることについてのお話です。
新卒向けのトレーニングの一貫として日本企業の多くはいわゆる、セールスマナーについて時間を割いています。客先訪問時のドアノック、入室後の着座位置と上司とのフォーメーション、そして「名刺交換」の作法などです。名刺入れの色や持ち方、そして取り出すタイミングや姿勢、渡し方など事細かにロールプレイング形式で実施している企業も多いのではないでしょうか?
ちなみに、外資系企業では名刺の渡し方は非常にフランクです。名刺入れも持たず、胸ポケットから人差し指と中指で挟んで渡すなどする人もいます。私も昔の同僚が足を組みながら、そうやって渡すところを見てひやっとした経験があります。なので、名刺交換の作法はあくまでも日本のみで有効な学びである、と言えるでしょう。グローバル化していく世界の中で、この名刺交換だけでなく、日本のみでしか意味をなさらない数多くの作法を学ぶのに貴重な時間をかけることが有益であるのかどうかは議論の余地があるところかもしれません。
少し横道にそれましたが、いざ名刺交換をした後に何をするかについての研修はどうでしょうか?そうです、名刺を交換する一瞬の技能については研修でこなせるようには教え込みますが、その後、名刺を「資産として活用」することについてはほとんどなされていないのが実態です。名刺を交換する作法よりも、その内容を活用してビジネスに結びつけることの方が名刺の本来の役割であることを忘れてはなりません!
よく名刺管理がなされていないことが課題、というクライアントとお話させていただくときに私は、「名刺はお金です。お金は財布にいれますよね?そのような名刺をなぜ引き出しに無造作にいれておくのか?」と言うことも多いです。
「名刺がお金」つまり「名刺イズマネー」という理由は下記の通りです。
特に客先での名刺交換では、名刺はヒアリングした内容や提供された資料と同等かそれ以上の価値を持つ、貴重な営業資産となり得ます。
なぜならば、当たり前のことながら良い提案を作っても渡す相手がわからなければ意味をなしませんし、直接の担当者でないにしても、自社の良い情報を何かしらの形で伝えてもらったり担当者に繋いでもらう貴重な情報ソースとなり得るからです。
ですので、営業研修でやるべきは名刺の受け渡しとその後の名刺情報の処理の仕方をセットにして展開すべしということになります。
また、名刺情報自体は、名刺登録アプリで管理するといった小手先のテクニックではなく、どのように生きた情報とするかの手法を教育すべきでしょう。
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