読者のみなさんは、ChatGPTは「これ以上ないツール」と「冷たくて面倒な機械」のどっちだと思いますか?データのじかん週報では、データのじかんの編集部内で会話されるこばなしを週1度程度、速報的にお届けいたします。
大川:日本初のプロトタイピング専門スクール「プロトアウトスタジオ 」が主催するプロトアウトの体験会に参加しました。テーマは「ChatGPTのAPIでLINE Botを作ってみよう」。ノンコードでWebサービスやアプリケーションを連携させるツール「Make」とChatGPTのAPI を用いてLINE Botを作成する内容でした。LINE Botはものの15分くらいで作成完了。やはりChatGPTは何度触っても「超楽しい!最高のおもちゃ」ですよ。近視眼的に言うと、これ以上、自分の言葉でできる世界はないと思います。
野島:確かに革新的であることは間違いないですよね。一つ気になるのはChatGPTは、今の段階で日本初のプロトタイピング専門スクールのハンズオン体験会に食指が伸びるような、スキルセットや意識がある人たちだからこそ、クリエイティブなどが「楽になる」と感銘を受けられているということってないでしょうか。
大川:おー、なるほど。
野島:一般の人たちが同じ内容の講義を受けても、もしかすると「楽しい!」とか「便利!」というよりもストレスを感じてしまうと思うんですよ。そうなると、ChatGPTに対するポジティブな印象を発信する人やグループに対して、真逆の「冷たい世界」という認識を抱く可能性もあると思うんですよね。大川さんは、現段階で同じようにワークショップに参加した人たちを「良い友人」や「仲間」のように感じましたか?
大川:正直言うと、全くそういうわけではないですね。感覚的には、ことAIに対してはExcelの黎明期と同じような「便利なツールが配られた」くらいですよ(笑)。一般的な日本人は「AIが自我を持つ」といったイメージが非常に強いデータが示されていますから、この界隈とのズレがあるとすればきっとその点ではないでしょうか。
野島:確かに。アメリカとの認識の違いが顕著ですね。しかし、この調査が平成28年に公表されているのにも驚きですよ(笑)。
大川:ですよね(笑)。ただ、意外とこの認識のズレの話はChatGPTの講演で触れられることは少ないんですよ。日本人の「ドラえもん文化」の根強さは、ChatGPTに注目が集まる遥か前からAIを追ってきた人にとっては常識なんです。
野島:なるほど。やはりフィジカルの有無がChatGPTの「捉え方」にも大きく関わっているんですね。
大川:「世代の違い」もあるかもしれませんね。ただ、やはりmakeを含めたツールの進化は素晴らしいと感じていますよ。どんなカタチであれ「とにかく触るのが大事」です。認識のズレや周囲との違和感や気付きも、体験を通じなければ得られませんから。
データのじかん編集長 野島 光太郎(のじま・こうたろう)
広告代理店にて高級宝飾ブランド/腕時計メーカー/カルチャー雑誌などのデザイン・アートディレクション・マーケティングを担当。その後、一部上場企業/外資系IT企業での事業開発を経て現職。2023年4月より上智大学プロフェッショナル・スタディーズ講師。MarkeZine Day、マーケティング・テクノロジーフェアなどにて講演。
近著に「今さら聞けない DX用語まるわかり辞典デラックス」(左右社)。静岡県浜松市生まれ、名古屋大学経済学部卒業。
データのじかん主筆 大川 真史(おおかわ・まさし)
IT企業を経て三菱総合研究所に約12年在籍し2018年から現職。専門はデジタル化による産業・企業構造転換、製造業のデジタルサービス事業、中小企業のデジタル化。(一社)エッジプラットフォームコンソーシアム理事、東京商工会議所学識委員兼専門家WG座長、内閣府SIP My-IoT PF、ロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会 中堅中小AG、明治大学サービス創新研究所客員研究員、イノベーション・ラボラトリ(i.lab)、リアクタージャパン、Garage Sumida研究所、Factory Art Museum TOYAMAを兼務。官公庁・自治体・経済団体等での講演、新聞・雑誌の寄稿多数。直近の出版物は「アイデアをカタチにする!M5Stack入門&実践ガイド」(大川真史編、技術評論社)
データのじかん編集 藤冨 啓之(ふじとみ・ひろゆき)
経済週刊誌の編集記者として活動後、Webコンテンツのディレクターに転身。2020年に独立してWEBコンテンツ制作会社、もっとグッドを設立。ライター集団「ライティングパートナーズ」の主宰も務める。BtoB分野を中心にオウンドメディアのSEO、取材、ブランディングまであらゆるコンテンツ制作を行うほか、ビジネス・社会分野のライターとしても活動中。データのじかんでは編集・ライターとして企画立案から取材まで担う。1990年生まれ、広島県出身。
(TEXT・編集:藤冨啓之)
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