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第14話|何からやればいいのか… by AI事務員宮西さん–データ組織立ち上げ編

「AI事務員宮西さん」とは?

AI事務員なだけにAI生成画像を使って作っていて、AIデータについて書いた漫画です。保険会社で事務員として働く宮西さん。勤めている保険会社もこれからはAIの時代だとデータ部門の新設を行うことになりました。なぜか事務員の宮西さんが配属されることになり、データ組織を立ち上げるまでの話です。同じようにデータ組織を立ち上げる事を考えている人に入門書として書いてます。それでは本編をご覧ください。

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登場人物

宮西 京華(みやにし けいか)
保険会社で事務職をやっているデータマネジメント担当。歌い手動画を見るのが好き。

松田 紗友里(まつだ さゆり)
マーケティングが専門でSQLが得意。データ分析担当。ゲームやアニメが好き。

今林 健介(いまばやし けんすけ)
新設のデータ活用推進部署の部長。おいていかれないように勉強中。ゴルフや登山が好き。



作者|西宮さんより解説

データマネジメント解説、連載の第14回が始まりました。
組織の集中討議が終わり、MVVと目標が決まりました。
いよいよ目標達成に向けて動き始めます。

・・・・・

会議室を出た瞬間、私は深々と息を吐いた。
長い間行われていた集中討議がようやく終わった。丸一日かけて、私たちの部署のMVVと目標を決めたのだ。その目標はデータを使い利益貢献した金額1億円という内容だ。

「1億円か……」

廊下を歩きながら、小さく呟いてみる。口にするとますます現実味がなく感じられる金額だった。

「宮西さん、大丈夫?」

隣を歩く松田先輩が、おっとりした声で私を覗き込む。

「正直、何をすればいいのか全然わからないです」

新しい部署に異動してきてから、私はずっと手探りの状態だった。
データマネジメントを担当してもらうと言われたものの、データマネジメントが具体的に何を指すのか、どこから手をつければいいのか、さっぱりわからない。
この調子でみんなの役に立てるのか不安だ。

「まあ、最初はそんなものよ」

松田先輩はにこやかに微笑む。

「目標が決まったのだから、まずは何をすべきか整理しましょう」

その言葉を聞いて、少し落ち着く。確かに目標があるだけマシだ。でも、その目標に向かうために何をするべきなのか、まったく見当がつかない。

「データを使って利益に貢献……」

利益という言葉が出るたびに、どうにも現実感が湧かない。
私は元々事務員だったので、売上や利益に直結する仕事にはあまり関わってこなかった。そんな私がどうやって1億円に貢献できるというのか。

「そもそも、データマネジメントって具体的に何をやるんですかね?」

私の率直な疑問に、松田先輩は「ああ、それなら」と言って自席の引き出しから一冊の本を取り出した。

「データマネジメント知識体系ガイド…DMBOK」

表紙にはそう書かれていた。

「データマネジメントの体系的な知識をまとめた本よ。前にも紹介したことがあると思うのだけど、これ読んでみたら?」

「これ、あの分厚いやつですよね……」

辞書のようなその本を手に取ってみる。紙の重みが、私の肩にのしかかる責任の重さとシンクロするようだった。

「全部を理解しなくてもいいの。でも、まずはデータマネジメントがどういうものか知るのが大事よ」

やることがまったく見えていなかった今の状況から、一歩前進するための手がかりにはなりそうだ。私はその本を持ち上げ、ぱらぱらとページをめくる。

「データガバナンス、データ品質、メタデータ管理……」

聞き慣れない単語が次々と目に飛び込んでくる。内容が難しそうなのは間違いない。でも、これを知らなければ、私はこの部署での役割を果たせない。

「まずは勉強するしかない、か……」

ふう、と息を吐いて、本を閉じる。新しい環境での挑戦が始まることを改めて実感する。

「まあ、焦らずやっていきましょう。最初はみんな手探りよ」

松田先輩の言葉に少し勇気をもらいながら、私は決意を固めた。データを使い、1億円の利益を生み出す。まだ何も分からないけれど、まずは知ることから始めよう。
データマネジメント担当としての第一歩が、ようやく踏み出されたのだった。

大きすぎる目標を前にすると、圧倒されて何をすれば良いのか迷ってしまいます。
データを使い利益貢献した金額1億円という目標を聞いたとき、宮西さんが抱いた戸惑いはまさにそれでしょう。
こうした場合に有効なのが、目標を達成するために必要なことを細分化し、具体的な行動に落とし込むことです。

目標の細分化とは、最終的なゴールに到達するために必要な要素を分解し、それを達成するためのタスクを明確にすることを指します。
利益貢献額を増やすために、コスト削減や売上向上といった方向性を考え、その中でデータをどのように活用できるかを洗い出します。
そして、活用するためにはデータマネジメント、すなわちデータを集めて、整えて、保管して、使いやすい状態に管理しておく必要があります。
データの活用は松田先輩の担当で、データマネジメントは宮西さんの担当で、役割が細分化されました。

データマネジメントのタスクを細分化するためには、まず「データマネジメントとは何か」を理解すること自体が最初のステップとなります。
そのためにDMBOKのような体系的な知識を学ぶことは、最初のタスクとしてふさわしいです。

目標が大きい時には適切なサイズに分け、着実に進めていくことが重要です。
DX推進部署が設定した「利益貢献額1億円」という目標も、一つひとつの施策に分解し、それぞれの成果を積み重ねていくことで、現実のものとなっていくでしょう。

よしむら@データマネジメント担当
IT業界、金融業界、エンタメ業界でデータマネジメントを担当した経験を持ち、現在もデータマネジメント担当している。データマネジメント業界を盛り上げるために、経験を通して得た知識の発信活動を行っている。


本記事は「よしむら@データマネジメント担当」さんのデータマネジメントを学べることをコンセプトの4コマ漫画「AI事務員宮西さん–データ組織立ち上げ編」のコンテンツを許可を得て掲載しています。

 

特集|AI事務員宮西さん(データ組織立ち上げ編)

保険会社で事務員として働く宮西さんは、会社がAI時代に対応するために新設したデータ部門に突然配属されました。事務員からデータマネジメントのリーダーへと成長していく宮西さんの奮闘記を描いた物語。

本シリーズ「データ組織立ち上げ編」では、宮西さんがデータ利活用組織を立ち上げるまでの挑戦を描きます。IT業界、金融業界、エンタメ業界でデータマネジメントを担当した経験を持つ著者「よしむら@データマネジメント担当」さんが豊富な経験を基に執筆しています。データ組織の一員の皆様には、ぜひご一読ください。

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