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第1回AI・業務自動化展を取材。RPA製品、OCR機能、チャットボットなどの最先端に迫る。

         

2018年5月9日から5月11日の3日間に渡り、東京ビッグサイトで開催された第1回AI・業務自動化展を取材した。

同時に開催されていた他の展示イベントもまずまずの盛況ぶりだったが、AI・業務自動化展の混雑状況はそれをはるかに上回るもので、説明待ちに列ができる場面も頻繁に見受けられた。これは、AIという旬のキーワードが持つ集客力、およびこの分野への注目度の高さを象徴していた。展示内容としては、チャットボット、RPA(Robotic Process Automation)製品、OCR機能などを取り扱っているブースが多く、遠い存在、あるいは魔法の杖のように思えた「AI」に具体的な実用性が割り当てられ始めている、という印象を受けた。また、一部の機能では導入にかかる費用の面でも機能性に見合う金額になりつつあることが確認できた。展示会で垣間見えたRPA製品、OCR機能、チャットボットのそれぞれの現状についてまとめてみた。

RPA製品

「AIを活用すれば、業務の効率化が可能」的なキャッチフレーズは昨今、どこに行っても目にするが、では実際にどんな業務をどんな風に効率化して、それはいくらくらいで導入できるのか、というのを具現化した1つの形がRPAだ。RPAとはRobotic Process Automationの略で、ルールを作成した作業をそのまま実行する。よって、作業の自動化が可能となる。厳密に言うと、単純作業のみを行う仕様となるため、AIとは異なるが、業務自動化という観点では現在主力の製品だ。RPA製品について、ZationINNOVATION NEXTBizteXなどのブースで話を聞いた。

実際の業務として現在のRPAが対応できる作業は限定的だ。とは言え、ユーザー側に専門知識がなくても十分に業務に活用できるレベルには落とし込まれている。例としてあげられていたのが、ヤフーなど一般的なサイトへアクセスし、そこから電車代などの情報を検索し、その情報を経費精算の申請書に書き込んだり、申請内容が正しいかどうかのチェックを行う、というものだ。この手の単純作業は一回一回はさした手間ではないが、多数の従業員を抱える大企業の場合ではかなりの時間が必要となる。とは言え、まだまだ導入費用は高額の部類に入るもので、100万円以上の投資が必要な場合が多い。クラウド版を提供しているBiztex cobitの場合は30万円程度の初期費用で開始できるが、費用対効果が保証できるか否か、という意味では、多くの場合、リスクを伴う決断になる可能性が高いだろう。業務がすでにストリームライン化され、ロボットによって行うことが可能な膨大な量の単純作業だけを行う人員がいる場合などには有効だろう。今後に対する期待値は高く、進化スピードも速いイメージだが、すぐに導入するべきか、という意味ではやや時期尚早という印象を受けた。

また、RPAはデータが揃っている状態での作業を前提としているため、紙でしか存在しないデータを活用するためのデータの電子化や、様々な形で存在するデータの形式を揃えることがRPAの活用へ向けた課題点だと言えるだろう。

だが、これらのRPA製品に、データの分析などを行うEPA機能(Enhanced Process Automation)や、データそのもの、およびその文脈を理解し、それに対してどんなアクションを取るべきなのかを判断してくれるCA(Cognitive Automation)機能などが追加されれば、人の働き方はまた次の段階へ突入するだろう。その部分の実用化に関しては、まだしばらくの時間がかかりそうだ。

OCR機能

紙の書類をデータ化するのに、読み込んだ書類の文字を認識し、文字データに変換してくれるOCR機能は必須だ。そして、OCR機能はかなり成熟してきている。OCR機能に関しては、AIスキャンロボを提供しているネットスマイル株式会社に話を聞いた。

AIスキャンロボは書類をスキャンすると、それぞれの書類のテンプレートを自動認識し、適切な項目へデータを取り込んでくれるようになっているため、多種多様なフォーマットに対応できるようになっている。大量の請求書をさばくには間違いなく重宝する便利な機能性だ。読み取ったデータを他のシステムやサービスなどと連携する場合には特に。しかも、過去に読み取ったデータから学習する機能がついているため、使えば使うほど精度が上がるようになっている。定期的に紙の書類を大量に処理している場合であれば、導入する意義も十分にあるだろう。今後、OCR機能は将来的にはあらゆるサービスに最初から組み込まれている「当たり前の機能」になるだろう。実際、クレジットカードなどごく限られた情報を読み取る場合など、人間が目視確認しながら手入力するよりもすでに高い精度となっている。

だが、いかに技術的に成熟しようとも、手書きの文字の読み込みとなるとやはりその精度には限界がある、というのも事実だ。書いた本人すら読めない想像を絶する悪筆、というのも世の中には存在するからだ。

チャットボット

LINEやSlack、Facebookのチャット機能などでコミュニケーションを取ることが増えるにつれ、リアルタイム性やスピード感がさらに重要視されるようになっている。そんな中で、チャットボットは即戦力となりうるAIツールの1つだ。サイトにある情報を訪問した人に探し出してもらう、あるいは検索して必要な情報を見つけてもらう場合と、チャットによる対応が可能となった場合、ユーザーの心理的には大きな違いを生み出す。ブースを出展していたチャットプラスの担当者によると、チャットを導入することには下記の3つの利点がある。

1. 心理的なハードルを下げることが可能。
2. リアルタイムレスポンスが可能
3. 匿名性が高い

ことがチャットボットの魅力だと言う。確かに、メールを送るための文章を考える必要がない分、ユーザーは欲しい情報を収拾ことに集中することができる。ユーザーもこの方がより気軽に問い合わせを行うことができるようになるはずだ。また、質問をしてから回答があるまでのタイムラグをなくすことで、ユーザー側のストレスを減少させる、と同時に特にECサイトの場合など、購入熱が冷める前に有益な情報を届けることが可能となる。そして、メールによる問い合わせと異なり、自分のメールアドレスが相手に送られることもなく、面倒な個人情報の入力も不要なため、心理的なハードルだけでなく、実際の作業も省いた状態で必要な情報のみを得ることができる。これらの効果により、問い合わせ率だけでなく、売り上げアップも期待できるという。また、チャットボットを導入することで、電話による問い合わせに必要となるリソースを減らすことも可能だ。

しかも、チャットボットを導入した事例を分析してみると、質問の70%から90%は同じような内容の問い合わせであることが明らかになった。それらの内容を先回りして準備しておくことで、質問回数を減らすことができ、同時に顧客満足度も向上できるという。導入にかかる初期費用もなく、月額1500円(税別)からのプラン(年間契約の場合。月単位での契約の場合は1980円。)も用意されており、数多くの企業がすでに導入しているというビジネスプランの場合でも、5980円とかなりリーズナブルな価格設定となっている。

チャットボットは、すでに比較的実用性が高く、ユーザーに価値を提供してくれる場面も増えてきている。加えて、導入コストもずいぶんとリーズナブルになってきている。今後のさらなる発展に期待が持てる分野だ。

まとめ

AIで何ができるのか、というのは、現在と、例えば1年後、5年後では全く違う次元に進化しているだろう。機能性は増え、コストは下がり、AIの民主化は加速していくことが予測されている。実際、先日グーグルが行なったプレゼンテーションで、AIのパーソナルアシスタントが実際の店舗に電話をかけ、美容室の予約を取る、という一連の流れを記録した動画が再生された。さらに、レストランの予約を取る電話では、「7日に予約したいのですが?」と言ったAIに対して「7名様ですか?」と店員が答え、会話がうまく噛み合わない状態でもAIがうまく話を進めることができる場合もある、という例が紹介された。今後、レストランで電話対応する方もAIになっていき、予約はAI同士のやりとりで成立する時代になっていくのではないだろうか。

AI・業務自動化展は今回が第1回であり、AI自体がバズワード的な扱いを受けているということもあり、玉石混淆な側面もあったが、活気に溢れた見応えのあるイベントだった。AIの活用によりさらに豊かになるであろう我々の未来に期待したい。

(データのじかん編集部)

(*この記事内に表記されている価格はすべて2018年5月現在のものです。)

 

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