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ペーパーレスとは、「紙を無くすこと」を意味しており、ビジネスの場では紙媒体のものを電子媒体へ移行することを指すのが一般的です。業務効率化やコスト削減を目的としており、例えば紙で保存していた書類をデジタル化するといった手段が挙げられます。
ICT技術の発展により、書類のデジタル化が低コストで行えるようになり、ペーパーレス化が加速しています。一方で紙媒体での保管が必須の書類や、また改ざんなどの懸念からペーパーレス化をしない選択をする企業も多く存在します。
総務省の発表する資料によると、現状ペーパーレス化には多くの企業が前向きに取り組んでおり、社内業務に関連する書類のペーパーレス化が最も進んでいます。
ペーパーレス化が進んでいる背景として、インターネットやクラウドサービスやデバイスなどテクノロジー面で環境が整ったことが挙げられます。また、国としてもペーパーレス化を推進しており、2019より働き方改革推進法が施行。この中で挙げられている具体策の一つにはペーパーレス化も挙げられています。
2001年に政府は、国民のITを活用による国際競争力の強化を目的とした「e-Japan戦略」を策定しました。これにより、国のペーパーレス化推進のための法整備が促進。2005年の「e-文書法」の施行や「電子帳簿保存法」改正による規制緩和などよって、書類の柔軟な管理・保管が可能に。このようなペーパーレス化へのハードル低下も、ペーパーレス化が進んだ大きな要因と言えます。
ペーパーレス化は、SDGs達成に向けた取り組みとして政府も推進しています。ペーパーレス化の推進は環境保全効果があるとされており、具体的に挙げられている取り組みは上記の通りです。
紙媒体の資料をペーパーレス化することには様々なメリットやデメリットがあり、主に次のものが挙げられます。
メリット | デメリット |
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・保管スペースの削減 ・情報共有の促進 ・業務効率化 |
・導入時のコストがかかる ・ペーパーレス業務の定着に時間が必要 |
ペーパーレス化を導入することで業務効率化やコスト削減、情報共有の促進などのメリットが生まれます。反面、導入の際には業務変更による現場の混乱など今までになかった弊害が発生するのも事実です。ペーパーレス化の際にはメリットとデメリットを見極め、慎重に導入を進めることが求められます。
保管スペースの削減
企業などで扱う資料は膨大で、保管スペースだけでもそれなりの大きさの場所が必要となり、コストがかかります。一方でペーパーレス化を進めれば保管スペースを縮小でき、コスト削減に繋がります。またデータをクラウド上に残すことで災害や盗難による資料の紛失なども防げます。
業務効率化
ペーパーレス化によって、業務効率化できる点もメリットの一つです。例えばRPA導入により、手動で入力していた内容をソフトウェアロボットが代わりに入力するといったことも考えられます。このように従来人間が定形業務として行なっていたものを完全に自動化できる可能性があります。
情報共有の促進
電子文書にしておけばコピーや添付が簡単になり、メールやクラウドファイルを使用することで情報共有が容易にできます。また検索性が高まるため、情報共有だけでなく、データの活用が促進される効果も期待できます。
導入時のコストがかかる
ペーパーレスにはスキャナやパソコン、データ保管のためのストレージが必須です。そのため、導入時には新たなデバイスやシステム導入のコストが必要になります。また、紙による保存も行わなくてはいけない場合は、紙に加えて電子文書の管理コストが生まれることもあるため注意が必要です。
ペーパーレス業務の定着に時間が必要
ペーパーレス化により、現状の業務プロセスに変化が生じることが考えられます。新しい業務プロセス定着には時間がかかるため、最初のうちは作業効率が低下してしまうことも考えられます。また従業員のITリテラシー追いつかず、ペーパーレス化が一向に進まないという懸念もあるでしょう。こうしたことから、ペーパーレス化の際はオペレーションのマニュアル化などの対策を別途行う必要があります。
ペーパーレス化の例 |
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・ペーパーレス会議の実施 ・Faxのデータ送受信 ・タブレットの導入 ・Web給与明細を活用 |
実際にペーパーレス化を進めた際、どのようなことが起こるのか、その一例をご紹介します。
会議に必要な文書を電子化することでペーパーレス会議を実現できます。膨大な紙資料を配布する必要がなくなるので、用紙コストだけでなく、印刷にかかる時間も削減可能。加えて、印刷や会議資料に伴う事務作業の削減にもつながります。
紙を印刷せず、データのみを送受信できるFaxも存在します。使用する紙の量が減るだけでなく、データのみであれば外出先でも閲覧可能で、業務効率化にもつながります。
タブレットによりペーパーレス化が実現できる場面は多々あります。例えば研修での資料配布は紙ではなく、各自のタブレットで行うことで、膨大な紙資料の印刷コストを抑えられます。また、サインの入力の際にもタブレットによる電子認証システムを使用することで記入負担や受付時間の短縮が可能です。
Web給与明細を発行することで、社員各自がパソコンやスマホで閲覧や印刷が可能に。それに加え配布や印刷の手間がなくなり、コストと事務作業削減に貢献します。
ペーパーレス化が進んでいるとはいえ、場合によっては紙媒体で保存が必要な書類もあります。そのため、紙で保管する書類とデジタル化する書類を見極め、運用していくことが大切です。そこでここではペーパーレス化の対象となる書類について見ていきます。
ペーパーレス化できる書類の例 |
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・ビジネス文書 ・会議資料 ・パンフレットやカタログ ・チラシなどの促販物 |
かつては紙媒体での保存が義務付けられていた帳票も、法改正により電子データとしての保管が可能になったため、ペーパーレスの恩恵を受けられるようになりました。
会議やミーティングで配る会議資料はペーパーレス化することで、会議の出席人数分の資料を紙に印刷する時間やコストを大幅に削減可能です。昨今はWEB会議などが普及したことにより、紙よりもデータでの資料のほうが見やすく、また素早く共有できるメリットがあります。
パンプレットやカタログをペーパーレス化することで、営業の際に持ち運ぶ資料を減らすことができます。また、更新性の高さも魅力の一つです。
パンフレットやカタログは内容が頻繁に変更になることもあるのではないでしょうか?
ペーパーレス化されていれば容易に内容を変更でき、結果としてコスト削減にもつながります。
チラシなどの販促物をペーパーレス化することで、デザインの変更を簡単にすることが可能になります。また、内容やデザインの変更のたびに印刷する必要がないので、大幅なコスト削減が期待できるでしょう。
書類の中にはペーパーレス化できない書類があります。具体的には、安全手引書など緊急時に必須となる書類や免許書などの現物性の高い書類などです。また、不動産関連の書類は他の業界と比較すると特にペーパーレス化できないものが多いので注意が必要です。
ここではペーパーレス化を実現するために必要な手順や方法をご紹介します。ステップにならって作業を進めていくことで簡単にペーパーレス化ができます。
Step.1 | 紙が必要になる業務をピックアップする |
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Step.2 | 電子化できるかを検討する |
Step.3 | 導入するツールを決める |
Step.4 | 段階的に導入を検討する |
まずは紙を使用している業務を洗い出します。その際、資料を分類化し、誰がどんな目的で使用している書類なのかを明確にしておきましょう。
次に洗い出した業務の中から電子化が可能かどうかを切り分けてきます。「取引先との取り決めで書類の取扱い方が決まっている」または「法律で管理や保管方法が決まっている書類」などペーパーレス化が難しいものは除外します。残りの候補の中からペーパーレス化できそうなものを抽出していきましょう。
社内だけで完結する業務に関連する資料は、ペーパーレス化が容易と言えます。
ペーパーレス化可能な業務を割り出したら、ペーパーレス化のために導入するツールやシステムを選定します。その際、ペーパーレス化そのものを目的とするのではなく、その先の業務効率化やコスト面を見極めて選定することが大切です。
従業員間のITリテラシーにも注意を払いましょう。社員間のITリテラシーに大きな乖離がある状態で、一気にペーパーレス化を進めてしまうと、社内が混乱してしまうことも考えられます。この結果、本来の目的を果たせず、効率が落ちてしまうのは本末転倒です。そのためペーパーレス化のための教育期間を設けるなど、段階的な導入を検討することが重要です。
ペーパーレス化の際に有効なツールは以下です。下記は一例ですが他にも様々なツールを活用することでスムーズなペーパーレス化導入の助けになるでしょう。
ペーパーレス化推進のツール例 |
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・ストレージツール ・電子文書化システム ・文書活用ソリューション |
ストレージツールは、デジタル化した書類を保管するためのものです。ストレージツールにはSSDなどの物理的な記録媒体とクラウドを使ったオンライン上のストレージがあります。ストレージツールは容量やアカウント数によって料金が異なるため、確認しておくと良いでしょう。
電子文章化システムはOCR機能により、紙面上のデータを読み取り、電子化されたテキストデータとして保存してくれるシステムです。手作業でデータを入力する必要がなく、大幅な業務効率化が実現でき、また入力ミス等のヒューマンエラーも防げます。
企業に蓄積された膨大な電子データに対し、AI技術を活用することで、文章や書類の分類等の整理にかかる時間の大幅な削減、さらにはデータ分析による新たなビジネス戦略の発見につながります。
・自治体・行政 ・製造業 ・サービス業 ・不動産 ・保険・金融 ・卸売・小売 ・情報・通信 |
課題 | 行政活動に伴う書類の運用・管理に膨大な手間がかかる |
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解決策(導入時のポイント) | タブレット端末によるペーパーレス化 |
効果 | 印刷に伴うコスト削減、および情報共有の容易さが向上した |
行政業務には膨大な必要書類があり、運用や管理に手間とコストがかかっていました。書類をデータ化し、タブレットに格納することで、印刷に伴うコストの削減や持ち運びの手間の軽減に成功。プレゼンへの活用や円滑な情報共有も実現しています。加えて、二酸化炭素削減効果にも寄与しています。
課題 | 情報共有のタイムラグによる業務上のロスが発生していた |
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解決策(導入時のポイント) | ペーパーレス化し、データをクラウド上で保管 |
効果 | 素早く情報共有が容易になった |
グローバルにビジネスを展開する中で図面書類などの情報共有にかかるタイムラグは業務の効率を著しく低下させていました。図面等を電子化することで、世界中のどこからでも素早くアクセスができるようになり、タイムラグが減少、業務効率化に繋がっています。また書類をすべて一元管理できることでセキュリティ面の強化にも寄与しています。
課題 | 紙の領収書や保管がバックオフィス業務の負担となっていた |
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解決策(導入時のポイント) | SPAの導入により、領収書や請求書の電子化 |
効果 | 業務負担の軽減。さらには顧客サービスの向上につながった |
取引先から受け取る領収書や請求書の管理が従業員の大きな負担となっており、電子帳簿保存法改正に伴い、SPAを導入したことで書類の電子化を進めることができました。紙の書類の保存スペースを削減でき、またファイリングなどの手間の軽減にもつながりました。加えて、顧客のニーズにより早く確実に答えられるようになり、結果として顧客サービスの向上に寄与してくれました。
課題 | 紙の請求書等の事務処理が大きな負担となっていた |
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解決策(導入時のポイント) | SPA導入による請求書の事務処理を自動化 |
効果 | 大幅な工数削減を実現できた |
仲介業者からの紙の請求書の事務処理やデータ突合を手動で入力するのに膨大な手間と時間が必要だったことから、大きな負担となっていました。SPAを導入し、請求書から支払いデータを自動作成することで入力負担を大幅に軽減できました。結果として、1,000時間以上の工数削減効果が見込まれています。
課題 | 莫大な帳票の管理や運用の業務効率改善が急務となっていた |
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解決策(導入時のポイント) | OCRによる書類のデータ化、SVF Cloudによる帳簿運用 |
効果 | 初期費用にかかった投資額の3倍近いコスト削減に成功した |
請求資料や申込書、保険証券など様々な書類を取り扱うため、業績を伸ばしていく中で、業務効率化が大きな課題となっていました。SVF Cloudの導入により、帳票管理の一元化だけでなく、帳票のバージョン管理とリリース管理の負担が軽減し、運用コストを抑えることに成功しました。結果として導入に際してかかった初期費用の3倍に相当するコスト削減効果を見込んでいます。
課題 | 既存の紙帳票システムと電子帳票システムの老朽化に伴う業務への弊害が出ていた |
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解決策(導入時のポイント) | 紙帳票をRDE、電子帳票をSPAで刷新 |
効果 | 電子化により紙資源を削減し、また残高確認業務を大幅に効率化することに成功した |
既存の紙帳票システムと電子帳票システムが老朽化したことにより、新たな業務用件への対応が難しくなっていました。柔軟なシステム対応のため、紙帳票をRDE、電子帳票をSPAに刷新することで、システム保持がしやすくなり、またコスト削減にも繋がりました。
課題 | 帳票の作成を手作業で行っており、業務効率が課題となっていた |
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解決策(導入時のポイント) | SVF Cloudの導入で、帳票の作成を自動化 |
効果 | 書類作成作業を大幅に効率化し、ヒューマンエラーによるミスがなくなった |
帳票作成を手作業で行っていましたが、リモートワークに伴い、請求業務が煩雑化し、大きな負担となっていました。SFV Cloudを導入し、見積書や請求書を自動で発行できるようになり、帳票発行業務が大幅に効率化されました。また、顧客が必要な書類を適時取り出せる環境の整備に大きく寄与してくれました。
・事務 ・人事 ・マーケティング |
課題 | 大量の紙帳票の作成・取り扱いにコストがかかっていた |
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解決策(導入時のポイント) | SPAによる電子化 |
効果 | 手作業の業務がなくなり、作業効率がアップした |
帳票作成を手作業で行っており、その煩雑さが課題となっていました。また、顧客からの問い合わせに対し、資料を探すのに手間がかかり、回答にかなりの時間がかかっていました。SPAで電子化することにより、手作業がなくなり、大幅な工数削減が実現しました。また、顧客に対しても必要な資料をすぐに引き出して提供できるようになったため、顧客サービスも向上しました。
課題 | 電子帳票の作成と配布で2つのシステムが並走しており、運用性が悪かった |
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解決策(導入時のポイント) | 電子帳票システムをSVFに統合 |
効果 | 帳票の管理が一元化され、必要な情報へのアクセスが容易になった |
電子帳票の作成と配布で別々のシステムを使用しており、管理性と運用性がよくありませんでした。電子帳票の作成と配布をSVFに統合することで、管理が一元化され、運用性が向上しました。必要な帳票をすぐに検索できるようになったことで、ヘルプデスクへの問い合わせが劇的に減少もしました。
課題 | 有効なデータ資産がグループ全体で共有されておらず、有効に活用できていなかった |
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解決策(導入時のポイント) | 電子化により、グループ全体でのデータ共有 |
効果 | グループ全体でデータを集約、分析できるようになり、マーケティング戦略に活かせるようになった |
グループ各社がエクセルでそれぞれデータ作成を行っていたため、データが重複するなどの効率の悪さが目立っていました。電子化し、グループ全体でデータを共有できるデータ分析基盤の構築を整備したことで、スピーディーにデータの分析やレポートの作成が可能となりました。また、横断的なデータ活用ができるようになったことでマーケティング戦略に活かせるようにもなりました。
テクノロジーの進歩やSDGs達成に向け、ペーパーレス化の流れはさらに加速していくでしょう。ペーパーレス化には導入のコストや時間がかかるなどのデメリットがありますが、それ以上にコスト削減や業務効率化といった大きな恩恵があります。RPAの導入などにより、新たな業務プロセスが見えてくるかもしれません。
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