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野村総合研究所(NRI)の調査によると、2024年9月時点で、ChatGPTの利用率は20.4%です。一方その認知度は72.2%。ChatGPTの知名度の高さとは裏腹に、実際に利用しているという方はまだまだ少ないということが分かります。ましてや、会社など組織での戦略的な活用は、まだまだ一部の先進企業に限られるのが実際のところでしょう。
2024年10月、書籍やSNSでデータ分析や生成AIにまつわる発信を積極的に行うAIベンチャー出身のエバンジェリスト‟マスクド・アナライズ氏”により執筆された『会社で使えるChatGPT―個人の業務改善も組織への導入&活用も1冊で完全理解!』(東洋経済新報社、2024)はそのような状況の突破口となるかもしれません。
本書ではその内容をレビュー。一体なぜ書かれたのか、何の役に立つのかを同書と同様に‟誰にでもわかりやすく”ご紹介します!
『会社で使えるChatGPT―個人の業務改善も組織への導入&活用も1冊で完全理解!』(以下、『会社で使えるChatGPT』)は、その名の通り企業の一社員がChatGPTを理解し、活用し、企業全体の導入プロジェクトを進めるところまでをわかりやすく解説する書籍です。
著者のマスクド・アナライズ氏はnote記事「なぜ「会社で使えるChatGPT」を書いたのか?」で以下のような主張を綴っています。
・ChatGPT関連の本は大量に出版されているものの、本当に役立つ本はまだ多くない
・日進月歩の生成AIを、刊行に数カ月~1年以上の時間がかかる書籍で解説するにあたって、最新の情報ではなく「会社において個人や組織でChatGPTを導入活用して成果を出す方法」に注力することに決めた
・SNSやYouTubeには、フォロワー獲得やバズを目的に大げさで不正確な情報を発信する「プロ驚き屋」が少なくない
→著者や編集者、校正などが関わり信頼性や可読性が担保された情報を、書籍という媒体でわかりやすく体系立てて伝えることが大事
書店に足を運べばChatGPTにまつわる書籍が大量に陳列されていますが、個人の活用術やプロンプト(命令文)の書き方を取り扱ったものが多く、普通のビジネスパーソンが「会社で使える」という観点で執筆されたものは確かにあまり多くありません。
また、SNSの情報が玉石混交なのは言わずもがなです。そこから玉(=今日から役に立つ最新技術やそのノウハウ)を知れるチャンスがあるのも事実ですが、そのリテラシーは一朝一夕で見につくものではなく、またやはり「組織で活用する」という観点で発信された情報はさらに限られます。
──仕事が実際に楽になったり、社内で利用の輪が広がったりするようなChatGPT活用を進めたい
そんな思いを抱く方に向けて書かれたのが『会社で使えるChatGPT』といえるでしょう。
『会社で使えるChatGPT』はどんなメリットを持つ書籍なのか? 3つのポイントで見ていきましょう。
『会社で使えるChatGPT』はシンプルな文体かつ、難しい専門用語やカタカナ語は廃して執筆されています。命令文は日本語で記述されており、特に最初にChatGPTアカウントを作成して回答を生成するまでの手順は実際の画面の画像つきで誰にでもわかるよう解説されています。
データのじかんのインタビュー記事で「データ分析をはじめ、デジタル技術の利活用を企業のみから社会全体へ広めていくのが私の役割だと感じています(※)」と語っていたマスクド・アナライズ氏。『データ分析の大学 10年先も揺るがないビジネススキルを身につける』(書評記事はこちら)にもあった‟フツーの人‟に目線を合わせる意識がここでも全面的に発揮されています。
※引用元:マスクド・アナライズ氏に聞く 「プロレスに学ぶ、会社を変える突破力」┃データのじかん
『会社で使えるChatGPT』ならではの発想であり、Amazonの書籍紹介ページや前述のマスクド・アナライズ氏によるnote記事でも紹介されているのが‟3つの「型」”と‟6つの「系統」”という考え方です。
引用元:なぜ「会社で使えるChatGPT」を書いたのか?┃note(マスクド・アナライズ)
『第3章 ‟仕事”で使える ChatGPT』で紹介されているこの考え方は、ChatGPTでやること・できることを分類することで、具体的な業務にChatGPTを適用する際の道筋を与えてくれます。
わかることは分けること。‟3つの「型」”と‟6つの「系統」”は、今自分がChatGPTで何をしているのかを明確にし、成果を実感したり、期待通りにいかない場合にどこでつまずいているのかを探ったりするための手掛かりとなるでしょう。
付録コンテンツとして用意された「もっとChatGPTを使いこなす」の内容は、すでにChatGPTを使いはじめているユーザーにも有用です。
『会社で使えるChatGPT』の最大の狙いのひとつが、個人のみならず会社でChatGPTを活用するためにどのようにプロジェクトを進めるべきなのか、何に注意すべきかが体系的にまとめられているということです。そのなかには社内政治や経営陣・現場の説得など泥臭い取り組みへの観点も多分に含まれており、データ活用やDX支援の領域で培われてきたマスクド・アナライズ氏の知見がChatGPTという領域で十二分に応用された結果といえるでしょう。
既存の知見のみならず、三井住友海上火災保険、ライオン、住友生命保険、ベネッセホールディングスの4社に対する取材の成果も書籍では盛り込まれており、企業人目線で実用性を高める工夫が施されています。
『会社で使えるChatGPT』にはこれまで触れてきたような実用的なノウハウとは別のテーマを取り扱う最終章が設けられています。
そのタイトルは「人間に残された仕事は“土下座”だけなのか?」。
非常に刺激的なタイトルですね。文章、音声、画像、動画などのクリエイティブからデータ分析、アイディア創出までどんなことでもハイクオリティで生成AIがこなせるようになった時代に、人間ができることって土下座くらいなのでは。
「プロ驚き屋」でなくとも、ChatGPT関連のニュースを目にするとそのような感想が浮かんできますよね。
2023年2月の対談イベントにて、note・CXOでインタラクションデザイナーの深津貴之氏は、人類に最後に残される仕事として以下の2つを挙げています。
・「最終決定をする」こと
・「責任をとる」こと
対談によると土下座は後者にあたりますが、この2つの概念は非常に似通った部分があり、それはいずれも「心理的なハードルを乗り越える」のが不可欠だということです。
どんなにChatGPTが役に立つとしても、「新しいツールを使うのは面倒だ」「失敗したらどうしよう」という心理的なハードルを越えられなければ、いつまでも最初の一歩を踏み出すことはできません。
すべてのビジネスパーソンに向けて作られた『会社で使えるChatGPT』はそのハードルを乗り越えるためのツールとしても役立つはずです。
今回は、マスクド・アナライズ氏が執筆した『会社で使えるChatGPT―個人の業務改善も組織への導入&活用も1冊で完全理解!』を書評いたしました。マスクド・アナライズ氏のnote記事では同書の「はじめに」が全文公開されています。この書評を通してその内容を実際に確認したいと感じた方は、ぜひアクセスしてみてください。
(宮田文机)
・マスクド・アナライズ (著) 『会社で使えるChatGPT―個人の業務改善も組織への導入&活用も1冊で完全理解! Kindle版』東洋経済新報社、2024 ・日本のChatGPT利用動向(2024年9月時点)┃野村総合研究所(NRI) ・なぜ「会社で使えるChatGPT」を書いたのか?┃note(マスクド・アナライズ) ・ChatGPTなどのAIが人間に提供する「選択肢」とは? 深津貴之氏が語る、AIが創作まで担える時代に「残る仕事」(あなたの仕事が劇的に変わる!? チャットAI使いこなし最前線)┃logmi Business
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