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新型コロナウイルス(COVID-19)の感染者数を正しく導き出すには、世界各地で検査が実施される必要があります。検査の絶対数が少ない場合、全体の状況を把握することはできません。
感染者を媒介したさらなる拡大を予防し、必要な治療を施すためには検査は不可欠です。また、ウイルスがどのように広まり、どのように進化していくのかを理解することは、感染拡大を予防する処置を科学的根拠に基づいた方法で行うために極めて重要となります。
いかにして感染拡大を防ぐか、という点がこの中でも重要です。その意味でも検査は極めて重要な役割を担います。感染者が感染していることに気づいていない場合、外出先でさらに感染を拡大させてしまう危険性があるからです。
残念ながら、COVID-19の感染者が確認されている多くの国でもあまり検査が行われていないのが現状です。それには2つの理由があります。
1つ目はCOVID-19に感染している患者の多くは軽度の症状しか示しておらず、検査を受ける必要性を感じていない、ということです。(明らかになっている症状はこちらを参照してください。重症化した症例数についてもここでは言及されています。)
2つ目の理由はCOVID-19の検査が実施できるキャパシティのある場所が少ない、ということです。
COVID-19の検査は、患者の鼻および喉からサンプルを採取するPCRテストと呼ばれる方法で通常は行われます。
ウイルスが発見されてから2週間以内に最初のPCRテストは開発され、現在ではWHOによって症例されたプロトコルの一部となっています。
コロナウイルスの検査工程は下記の動画で確認することができます。
COVID-19の検査を毎日世界中の何人の人が受けているのかを把握し、検査が何を基準に振り分けられているのかが分かれば理想的ですが、WHOによって集計されているCOVID-19検査に関するデータベースは存在しません。また検査数に関する正式なレポートはほとんどの国で発行されていません。
実施された検査の集計見積もりを公開している国も中にはあります。これらのレポートは個々のウェブサイト、統計レポート、プレスリリースなどで発表されていますが、発表されている言語もアップデートの周期もまちまちです。
グローバルな概要が存在しないため、Our World in Dataではそれぞれの国のレポートの膨大な数のデータソースを集計しました。
下記の2つのチャートは2020年3月13日時点で確認できた最新の検査状況を示しています。国ごとに公開されている情報の日付がまちまちなため、それぞれの日付が括弧内に示してあります。
1つ目のチャートは記載されている日付までに実施された検査の合計数です。これによると日本では2020年3月12日までに10,205件の検査が行われたことがわかります。対して韓国では24万8647件の検査が2020年3月13日までに行われています。
2つ目のチャートは人口に対する検査数になります。ここでは人口100万人に対して実施された検査数となっています。
これらのデータによると中国を除いた国で検査数が最も多いのは韓国です。つまりこれは、韓国で確認された感染者数は、他の国の数値よりも実際の感染者数に近いであろう、ということを示しています。
下記のチャートは韓国で確認された感染者数を日毎に示したものです。1日毎に確認された感染者数が減少している傾向にある、ということは世界的にも同じ傾向が見て取れるのではないか、という仮説が成り立ちます。
一方、アメリカでは検査を行うための戦略を発表するまでに時間がかかってしまったために大きな問題が起きています。アメリカ疾病管理予防センター(Centers for Disease Control and Prevention)によると2020年3月12日までに行われた検査数は13,624件となっており、これは韓国で行われた検査数の18分の1に留まります。
アメリカの人口数を考慮すると実際の検査状況の差はそれ以上と言えます。人口が少ない国の方が100万人に対する検査数が多くなる傾向が見て取れます。100万人あたりの検査数が最も多いのはバーレーンですが、バーレーンの場合、人口が100万人を少し上回るくらいなので、ほぼ実際の検査数の合計と同じ数値となっています。
(注意:アメリカの見積もりは2パターン算出されています。1つはUS – CDC samples testedというラベルが付いているもので、これは検査人数ではなくアメリカ疾病管理予防センターによる検査の回数に基づくものです。もう1つのUS – COVID Tracking Projectとラベルが付いている方は各州によるレポートに基づき検査人数の合計数を算出したものです。)
韓国で検査が迅速に実施されるようになったという事実は、検査を行う体制を早急に整備することは可能である、ということを示しています。特に、これから感染が広がる可能性が高い国では検査体制を素早く整えることが大きな意味を持つと考えられます。
検査が重要である、という観点もよく分かりますが、医療機関の混乱や医療機関での待ち時間における拡散や感染を防ぐ意味でも、全ての人が検査を行うことに関しては賛否両論があります。実際に、コロナウイルスに感染していたにも関わらず検査の結果は陰性であった、というケースもあるようです。
新型コロナウイルスは潜伏期間や感染ルートなどまだまだ未知の部分が多いため、今後も常に情報をアップデートしていくことが必要となります。その際には、その情報がどこから発信されていて、それは信頼できる情報なのか、というのを含めて確認し、誤った情報を鵜呑みにしたり、SNSなどを介して拡散してしまわないように十分に注意してください!
この記事の内容はOur World in DataのHow many tests for COVID-19 are being performed around the world?の記事をもとにデータのじかん編集部が翻訳・編集したものです。
(データのじかん編集部)
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