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「データマーケットプレイス」とは? なぜ注目すべきで、今後どのように成長するのか?

         

データを経営や各事業で活用することの意義が広まる一方、インフォメーション化されたデータ、あるいは個人や他社などの保有するセカンドパーティデータ・サードパーティデータの価値は高まり続けています。そんななかで注目したいのが‟データマーケットプレイス(データ取引市場)”

その概要や市場規模、具体的なサービス名、「PDS」「情報銀行」との違いなどについてまとめてみていきましょう!

データマーケットプレイスは“企業や個人間でデータやデータ関連サービスの取引が行えるオンラインプラットフォーム”

データマーケットプレイスとは、企業や個人間でデータやデータ関連サービスの取引が行えるオンラインプラットフォームです。大手電機メーカーのAIoT家電のログデータ、マクロ経済指標、ナスダック市場で取引される米国株やETFのデータ、医療機関において利用許諾取得済みのレセプトデータ(診療報酬明細書)など多様なデータや、データの分析や抽出、匿名化など多様な用途に合わせたアプリケーションなどが無償・有償で出品されており、また自社のデータセットやシステムのライセンスを販売・配布することも可能です。

データマーケットプレイスの利用イメージとしては以下のようなものが挙げられます。

ビジネスインテリジェンス

企業が市場動向を理解するために、特定の業界・企業や地域の消費者データを購入します。

研究と開発

大学や研究機関が科学的研究や新技術開発のために特定のデータセットを利用します。

製品開発とマーケティング

新製品の需要を予測し、市場戦略を練るために交通データや環境データを取得します。

Grand View Research, Inc.の調査レポートによると、世界のデータマーケットプレイスの市場規模は2023年時点で12億190万米ドルであり、2024年から2030年まで25%という非常に高いCAGR(年平均成長率)で成長し、2030年までには57億3,920万米ドルに達することが予想されています。

参考までに、世界のAIデータマネジメントの市場規模は2023年時点で255億2,720万米ドルでありCAGRは22.3%、世界の消費者向けIoTの市場規模は2023年時点で2億4,090万米ドルでありCAGRは12.7%です。

データマーケットプレイス市場の市場規模はまだ広がり切っておらず、今後10年間は大きな成長が期待されます

今日から使えるデータマーケットプレイスの具体例を5つ紹介!

我々は、具体的にどの様なデータマーケットプレイスを利用できるのでしょうか。ここでは、5つのデータマーケットプレイスをそれぞれの特徴やURLとともにご紹介します。

Snowflake マーケットプレイス

データ活用に特化したクラウドサービスを展開する米Snowflake Inc.が運営するデータマーケットプレイスです。金融、マーケティング、コマース、地理空間、天気、人口統計、健康とライフサイエンスなど様々な領域のデータやアプリケーションが掲載されています。

URL:https://www.snowflake.com/ja/data-cloud/marketplace/

AWS Data Exchange

AWS(Amazon Web Service)が運営するデータマーケットプレイスです。300以上のプロバイダーが3,500以上のデータセットを出品しているというプラットフォームとしての規模やデータ管理や機械学習用途で活用する際の容易さなどが利点としてアピールされています。

URL:https://aws.amazon.com/jp/data-exchange/

JDEX

日本データ取引所の運営するデータマーケットプレイスで、国産ならではのUIのわかりやすさや信頼性の高さが魅力です。クローズドなデータ取引が行える「JDEXプライベートステーション」やデータ出品後のマーケティングがサポートされる「JDEXマーケティングサポート」などさまざまな関連サービスも展開されています。

URL:https://www.service.jdex.jp/

KYOTO DATA MARKETPLACE

一般社団法人京都スマートシティ推進協議会が運営するデータマーケットプレイスで、データ社会に資する活動、研究、事業を表彰する『DATA-EX賞』を2023年に受賞しています。自治体のオープンデータが数多く掲載されているとともに、エリアを超えた企業のデータも数多く出品されています。

URL:https://data-market.smart-kyoto.or.jp/

EverySense

2016年10月にエブリセンスジャパン株式会社が開設した、IoTデータに特化したデータマーケットプレイスです。同社は2018年10月にはより幅広い領域のデータを売買できる『EVERYSENSE PRO』も開設しています。

URL:https://every-sense.com/services/everysense/

データマーケットプレイスと関連する「PDS」「情報銀行」とは?

セカンドパーティデータ・サードパーティデータを取得する方法として、データマーケットプレイス以外に知っておくべき概念として、「PDS(Personal Data Store)」「情報銀行」なども存在します。

PDS(Personal Data Store)とは?

パーソナル、すなわち個人が自らのデータを保存・管理するための仕組みです。その機能の一つとして企業や組織へのデータの提供や移管が含まれます。

情報銀行とは?

個人との契約に基づいてデータの預託を受け、管理や第三者への提供を代行する機関・事業です。すでに2018年秋から情報銀行認定事業が、一般社団法人日本IT団体連盟より行われています。

情報を資産と捉えた場合に、個人情報を管理する電子ウォレットに当たるのがPDS、個人情報を取り扱う銀行が情報銀行、企業や組織間で情報が取引される市場がデータマーケットプレイスというわけですね。

データ主導型経済が発展すれば、貨幣と同じようにデータを保管したり販売したりするための仕組みが必要となります。『情報通信白書令和3年版』(総務省)において、日本はパーソナルデータ、パーソナルデータ以外のデータの双方において「活用している」割合が米国やドイツと比べて低いことが指摘されています

その理由として、データの収集・管理にかかるコストの大きさやデータの利活用方法の欠如が挙げられており、その解決の基盤としてPDS・情報銀行・データマーケットプレイスなどの発展と普及に期待が集まっているのです。

終わりに

データ主導型経済の基盤のひとつであり、今後大きな成長が予想されるデータマーケットプレイスについて解説いたしました。Googleによる延期や方針の転換など色々な動きはあるもののサードパーティクッキー廃止の動きもあり、データの価値を前提としたうえでデータを流通させ、利用させる新しい仕組みを築き上げることが求められています。そこで欠かせない仕組みとしてデータマーケットプレイスに注目していきましょう!

(宮田文机)

 

参照元

・情報通信白書平成29年版「第1部 特集 データ主導経済と社会変革」┃総務省
・情報通信白書令和2年版「第1部 5G時代を支えるデータ流通とセキュリティ」┃総務省
・情報通信白書令和3年版「第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済」┃総務省
・データ取引市場等SWG取りまとめ 概要┃総務省
・Horizon Databook「Global Data place Platform Market Size & Outlook」┃GRAND VIEW RESEARCH
・Horizon Databook「Global AI Data Management Market Size & Outlook, 2023-2030」┃GRAND VIEW RESEARCH
・Horizon Databook「Global Consumer IoT Market Size & Outlook, 2023-2030」┃GRAND VIEW RESEARCH

 

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