新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大が始まった時期に、マスクと並んでトイレットペーパーの買い占め騒動が続いたことは記憶に新しいですよね。品切れが続く中、自宅のトイレで在庫を数えてヒヤヒヤしていた人も多いのでは。
筆者の住むドイツ・ベルリンでも情勢は厳しく、残り1ロールを切っても新規に購入できなかったときは、苦肉の策として1回あたりの使用量を減らしたものです。
そのときふと湧いたのが、「トイレットペーパーのちょうどいい使用量ってどれくらいなの?」という疑問。少なすぎても不衛生だし、多すぎるともったいない。1回あたりの理想的な量ってあるのだろうか……
決して一刻を争わない脱力系の話題ですが、トイレで用を足す際のお供になれば幸いです。
日本トイレ協会(実に多様な協会がありますね)の調査では、日本人の1回あたりのトイレットペーパーの平均使用量は80cm。もっともこれは国によって差があり、アメリカ人の1回の平均使用量は50cm。ミシン目で切った1葉あたりが15cmほどなので、日本人は1回につき5葉、アメリカ人は3葉ほど使っているわけですね。
小を足すときの平均使用量は66cm、大だと146cm(ともにダブルの場合)で、1ロール30mをおよそ小45回、大20回で使い切る計算です。
ご想像の通り、男女によっても使用量に大きな違いがあります。女性の1日あたりの平均使用量は12.5m、男性は3.5メートル。1ロールあたりの長さを30m(ダブルの場合)とすると、女性は3日経たずに1ロール使い切ってしまう計算です。単純に考えると、女性は男性の3倍以上トイレットペーパーにお金をかけていることになります。
では次に、衛生面から見て、1回あたりのトイレットペーパーに理想量はあるのでしょうか?
「どれくらいの厚みのトイレットペーパーでお尻を拭いたら手に大腸菌が付かないのか」という実験では、トイレットペーパーを36葉重ねて初めて菌が手に付かなくなるという衝撃の結果が出ました。
1葉=15cmで計算すると、なんと1度お尻を拭くのに5.4mものトイレットペーパーを使うことに。これは経済的にも環境的にも現実的ではありません。
幸いなことに、手に付いた大腸菌は水で簡単に洗い流せるため、用を足した後に手を水洗いすればOKです。ただしハンドソープ類は皮膚にいる常在菌を殺してしまい、皮膚の天然のバリアを壊してしまうため、あまり頻繁に使わないようにするのが無難なのだそうです。
ということで現実的に達成可能な1回あたりの理想量は存在せず、各個人で納得のいく分だけ使えばいい、というのがとりあえずの結論です。
こうして見ると、私たちは年間に1人あたりトイレットペーパーを約100ロール消費している計算になります。(男女平均8m、ダブルの場合)1ロール約150gとすれば、年間で15kgです。
15kgのトイレットペーパーと聞くとかなりの量のように感じられますが、代わりにウォシュレットを使うことで環境への負担を減らせるのでしょうか?
大王製紙の調べによると、紙1トンあたりのCO2排出量は1.37トン。15kgのトイレットペーパーを作ると、20,550g(20.5kg)のCO2が排出されます。
対してTOTOの調べによると、ウォシュレットの1人あたりの年間電気使用量は約90kWh、1kWhあたりのCO2排出量は378g。お尻を365日欠かさず洗ったとして、合計CO2排出量は34,040g(34kg)となります。
この数字だけを見ると、ウォシュレットはエコという観点からは分が悪いようですね。全員がインド式にホースの水シャワーでお尻を洗うなら話は変わってくるでしょうが。大王製紙によれば、トイレットペーパーの製紙に使われるのは主に廃材であるため、それ用に木を伐採することはないのだそうです。
ちなみに最近では、好きな絵柄をプリントできるオリジナルトイレットペーパーもあります。例えば1万円札がプリントしてあれば、使うのがもったいなくて使用量が減るかもしれませんね。
【参考リンク】 トイレットペーパーの「平均使用量」&「衛生的な理想量」は? ウォシュレットvsトイレットペーパー どっちがエコ?
(佐藤ちひろ)
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