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業務でデータを利用することになったけど、統計や分析について何も知らなければ、Excelもよくわからない——そんなビジネスパーソンの強い味方となるのが、国や研究機関が提供している「データ分析に関して学べる講座」の数々です。自分の分析レベルについて知りたければ、検定試験のサイトで過去問を解いてみるのもお勧め。本稿では、統計局や経産省、学会などの公的機関が提供するデータ分析講座や資格を取り上げます。
ある日突然、仕事でデータ分析を任されることになったーそんな経験はありませんか?
データ分析が本業ではなくても、たとえば販売推移から今期の売上予測を立てたり、新規事業を任されて事業計画を立てたりなど、仕事でデータを使う場面は多いものです。「学生時代、数学や統計学をきちんと勉強しておけば良かった」と思う方も多いことでしょう。
そんな社会人に向け、データ分析や統計学の基礎を教えてくれる講座が人気です。学ぶ形態も、オンライン講座から通信教育、通学して受講するものまでさまざまです。また、統計やデータ分析に自信のある方は検定試験を受けてみるのも面白いでしょう。ご自身のキャリアアップに役立てるも良し、統計やデータ分析の基礎を学ぶも良し、気になった講座や資格試験にトライしてはいかがでしょう。今回は、公的機関が開催する主なデータ分析講座や認定試験をご紹介します。
総務省統計局が提供するデータ分析の基礎から応用まで体系的に学べるオンライン講座です。ドコモgaccoが運営するオンライン講座プラットフォーム「gacco」に登録すればPCやスマートフォンを使って無料で受講できるところも、忙しいビジネスマンに最適です。
実は統計局では、2014年に開講した「統計学Iデータ分析の基礎」に始まり、2015年より本格的に「社会人のためのデータサイエンス入門」を開催しました。2016年にその第2弾として「社会人のためのデータサイエンス演習」という講座を開き、いずれも多くの社会人が受講して好評を得たそうです。
そして今年6月6日より、第3弾として「誰でも使える統計オープンデータ」の講習が始まります。今回は、統計局が提供する政府統計の総合ポータル「e-Stat」を活用したカリキュラムで、オープンデータをビジネスで活用するための実践を学べます。e-statは5月12日に統計ダッシュボードが公開され使いやすくなっているので、この機会に活用方法を学ぶのいいでしょう。
受講者の基本スキルとしては「Excelを使うことができれば学習時間の目安は週3時間ほどで、毎週定められたカリキュラムに沿って課題をこなせばデータ分析の基礎から応用まで身に付くとのことで、初めてデータ分析を学ぶ社会人にお勧めです。
経済産業省が提供する「地域経済分析システム(Regional Economy Society Analyzing System:RESAS)」の使い方をゼロから学べるオンライン講座です。
RESAS(リーサス)は、産業構造や人口動態、観光業、農業といった地域経済に関する官民のビッグデータを統合・視覚化するツールです。RESASに搭載しているデータはAPIを通じて自由に利用できるため、RESASデータを活用した分析アプリを開発できるなど、アイディアに応じてどんな活用法でもできるところが魅力。この講座は、そんなRESASの概要や実際の使い方をオンラインで学べる実践講座です。
「基礎編(入門コース)」では、基本機能や「何ができるのか」というRESASの概要を学ぶことができ、また「基礎編(必須受講コース)」では、コースガイダンス1本と7本の操作法科目、そして5本の活用法と13本の受講科目でRESASの使い方を習得できます。
応用編は、コースガイダンスと分析手順を学べる3本の科目に加え、実務に役立つ参考情報の5科目で構成されています。こちらも統計局のオンライン講座同様、タブレットやスマートフォンで学べるので、忙しいビジネスパーソンに最適です。
大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 統計数理研究所では、統計科学の最先端理論・手法から基礎的なものまで、多様な公開講座を毎年開講しています。今年(平成29年度)に開講される講座は次のような科目です。
A.統計学概論(5月9日(火)〜12日(金) 10時〜16時 ※本年度の申し込みは終了)
B.ベイズ統計の理論・モデリング・評価について(6月7日(水)~8日(木) 10時〜16時)
C.スパース推定(7月4日(火)10時〜16時)
こちらの講座は、東京都立川市にある統計数理研究所で開催されるもので、受講料は5000円〜2万円と低価格で専門知識を深められることが特徴です。
講座の目的は、理化学研究所などを中心に進めている人工知能やビッグデータ、IoT、サイバーセキュリティ統合プロジェクトに関わる人材育成事業の展開の一環で、ニーズによって統計科学の最先端理論や手法、基礎理論まで幅広く対応しているそうです。なお今年度は、「健康科学に関わる人材育成に適した内容」を充実させているとのことで、医療や健康ビジネスに従事している方は一度受講してみてはいかがでしょうか。
オフライン講座はこれ以外でも、大学の公開講座など短気にデータ分析や統計の基本が学べるものがたくさんあります。中には数日で修了する講座もあるので、気になる講座の資料を取り寄せてみるのもお勧めです。
【資格試験】
統計検定は、2011年から一般社団法人日本統計学会が実施している「統計に関する知識や活用力を評価する全国統一試験」です。受験者は中高生や大学生、社会人までと幅広いのも特徴で、Webには過去問もあるので自分のレベルを確かめたい人は上記のサイトを覗いてみてはいかがでしょう。
この統計検定では以下のような級・資格を認定します。
統計検定 1級 | 実社会の様々な分野でのデータ解析を遂行する統計専門力 | 論述式 |
統計検定 準1級 | 統計学の活用力 ─ データサイエンスの基礎 | マークシート・論述式・部分記述 |
統計検定 2級 | 大学基礎統計学の知識と問題解決力 | マークシート Webで受験可能 |
統計検定 3級 | データの分析において重要な概念を身に付け、身近な問題に活かす力 | マークシート Webで受験可能 |
統計検定 4級 | データや表・グラフ、確率に関する基本的な知識と具体的な文脈の中での活用力 | マークシート |
統計調査士 | 統計に関する基本的知識と利活用 | マークシート |
専門統計調査士 | 調査全般に関わる高度な専門的知識と利活用手法 | マークシート |
ちなみに総務省が実施する「データサイエンス・オンライン講座」は、統計検定の3級前後を想定しているそうです。データサイエンス・オンライン講座の受講を希望する方も、一度は過去の問題に目を通しておくと良いかもしれません。
データを活用できる人材育成は、今後の経済政上重要な施策の1つであり、官民上げて優秀なデータ分析者やデータサイエンティストの育成に取り組んでいます※2。こうした背景もあり、無料もしくは低価格、オンラインやオフラインなどさまざまな講座が登場しており、業務でデータを使う必要があるビジネスパーソンの強い味方となっています。これらの講座や教材を上手に活用し、そこで学んだ知識をぜひ実務に生かしてみましょう!
※2 提言「ビッグデータ時代に対応する人材の育成」 平成26年(2014年)9月11日 日本学術会議 http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-22-t198-2.pdf
(データのじかん編集部)
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