About us データのじかんとは?
実は、今回ご紹介してきたような一見実用性がなさそうな不思議な、そしてユーモアのある研究に贈られる賞が存在します。
本家のノーベル賞に「否定」の意味を持つ「ig」を付けた「イグ・ノーベル賞(Ig Nobel Prize)」は、ノーベル賞のパロディとして1991年に作られた賞で、「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる業績」に対して贈られています。
過去にイグノーベル賞を贈られた研究には、「辛み成分を抜いた唐辛子を作り出すことに成功」したニューメキシコ州立大学の研究や、「名前をつけられた牛は、名無しの牛よりもたくさんの牛乳を出すことを示した」ニューカッスル大学の研究があります。どれも「なんでそんなことを研究したんだよ!」とツッコミたくなるようなものですが、イグノーベル賞はこういった研究だけをあえて選考し、皮肉を込めて賞を授けているのです。
ただ、イグノーベル賞に関係する研究者は毎度風変わりな研究をしているわけではありません。本家であるノーベル賞とイグノーベル賞の両方を受賞した研究者もいます。また、毎年授賞式に「観客から飛ばされた紙飛行機を掃除する係」としておなじみとなっているハーバード大学のロイ・グラウバーさんも、ノーベル賞の授賞式に参加したことがあるというエピソードを持っています。さしずめ「天才と奇人は紙一重」ということなのでしょうか。
ところで、日本人研究者はイグノーベル賞の常連だったりします。2020年にも「ワニもヘリウムを吸うと声が高くなる」という研究を行って京都大学霊長類研究所の西川剛教授は「音響学賞」を受賞しています。これで14年連続イグノーベル賞を受賞している日本ですが、過去には仮想ペット「たまごっち」や、犬の言葉を翻訳する「バウリンガル」、「カラオケ」などが受賞しています。世界的に見てもクセのある業績が多いのが日本なのでしょう。しかし、こういう突拍子もない発明や発見がひょんなタイミングですごい結果に結びつくことも十分考えられますよね。人間、実用性だけが全てではない!と意味の分からない勇気がもらえることには間違いありません。
不思議なもの、謎なものに面白みを感じるのは世界共通のようです。実は、冒頭の「オシッコ」の研究も、2015年にイグノーベル賞を授与されている研究なのです。
データの世界においても、「役に立つ」や「コストパフォーマンス」といった言葉と対極にあるような、一風変わったデータのほうにこそ、新たな視点を与えてくれる要素が秘められているのかもしれませんね。データにおける「ユーモア」という要素はいたって人間らしい部分であり、データのじかんでも面白おかしいことは今後も積極的に取り扱っていきたいと思っています。
【参考引用サイト】 ・哺乳類の小便時間は一定? イグ・ノーベル賞、今年も独創性競う❙BBC NEWS JAPAN ・Duration of urination does not change with body size ・本川達雄のホームページ ・イグノーベル賞公式サイト(英語) ・イグノーベル賞❙wikipedia
(織田哲平)
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