人間はどんな人間でも主観があり、基本的にバイアスがかかった上で物事を捉える存在です。そこから抜け出すことはできません。ただ、それを踏まえた上でどう本質を捉えるか。それが重要です。「データ」も同じです。
「本質をどう捉えるか」——。現在在籍しているデコムで行なっているアイデア開発やイノベーション創出のプロセスでも、この視点はとても重要です。
例えば、洗濯洗剤は、いまだに洗浄力の強さを競い合っていますが、実は消費者が感じる価値はそこにはなく、「脱スメハラ洗剤」みたいな新しい価値を求めているかもしれません。そうしたアイデアにこそ、イノベーションが隠れています。今、私がデコムで行おうとしているアプローチは「あなたの欲しかったものは、これですよね」と提示できる、そんなインサイトにあふれたアイデア開発支援です。
そのためデコムでは、2019年3月にアイデア開発のためのメディア「Trend banK」(トレンドバンク)をリリースしました。これまでもデコムのアイデア開発のためのプロセスは、「n=1事象」から始めるという手法を採ってきました。たった1人しか起こしていない新奇事象「n=1」に着目し、その背景に存在する新しい価値を発見するというアプローチです。「Trend banK」はそうした新奇事象を独自に収集し、それをメディア化したもので、評判も上々です。企業のマーケッターへ「n=1」の情報をインプットし、アイデアが浮かびやすい脳ミソにシフトするソリューションとして、新しいデータの捉え方を提示できたらと思います。
アイデア・企画出しのヒントを集めたメディア「Trend banK」
人々の考え方や行動が追い付き、やがてデータサイエンスの価値が花開く時が来ます。われわれは今のうちに、必ずしも万能ではないデータといかに向き合っていくのかを、しっかりと考えておく必要があります。
お話をお伺いしたDataLover:
松本健太郎(まつもと・けんたろう)さん
龍谷大学法学部政治学科
多摩大学大学院経営情報学研究科卒。
2007年4月株式会社ロックオンに新卒入社。一貫してシステム開発に従事。その後、培った知見を生かしてデータサイエンス研究に参画。セイバーメトリクスなどのスポーツ分析は評判が高く、NHKに出演した経験もある。他にも政治、経済、文化など、さまざまなデータをデジタル化し、分析・予測することを得意とし、ラジオや雑誌にも登場している。2018年4月からは株式会社デコムに加わり、データサイエンスを使ったインサイト開発支援に携わる。
(取材・TEXT:データのじかん編集部+JBPRESS+田口/安田 PHOTO:Inoue Syuhei 企画・編集:野島光太郎)
10/31(火)~11/2(木)開催のデータでビジネスをアップデートする3日間のビジネスカンファレンス「updataNOW23」に松本氏も登壇。「updataNOW23」はウイングアーク1st社主催の国内最大級のカンファレンスイベントで、DX・データ活用を軸にした約70セッションと30社以上が出展する展示など、会場とオンラインのハイブリッド形式で開催されます。
DX疲れ/進まないDXにマーケティングという補助線を引く
DX白書2023のサブタイトル「進み始めた「デジタル」、進まない「トランスフォーメーション」」が象徴するように、DXは「デジタルという手段で顧客にどんな価値を提供するか、そのために私たちの組織をどうトランスフォーメーションするか」が問われるようになってきました。そのため「今までのアプローチでは上手くいかない」と悩む場面も増えていると聞きます。効率化や生産性向上の「デジタル」から、組織変革や新価値創造のための「トランスフォーメーション」を実現するために、現在のDX推進は大きく変化する必要があります。その1つの手段として「マーケティング」があると筆者は考えます。本セッションでは、データサイエンティストとマーケターのキャリアを活かしたDX推進方法と事例をお話しいただきます。
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