「データを見ていれば何か課題や気付きが見つかるのではないか」
こう考えてデータ分析に取り組む人がいます。でもその結果「やっぱりうまくデータが使いこなせない」という結論に至ることが少なくありません。
それもそのはず、大量のデータに潜んだ大事なポイントは、”目的“というアンテナを張ってこそ網にかかるからです。
つまり、「自分は何を知りたいのか」という目的を明確に持つことが第一ステップです。
では、次のような”目的“を立てて、データでその実態を探ろうとしたとしましょう
目的:「A事業のパフォーマンスが下がっている要因をデータから探りたい」
この”目的“のためにデータを活用する場面を想像してみて下さい。どんなことができるでしょう。
まず、どんなデータを使い、それをどう見るべきか、きっと迷うはずです。ここでいう「パフォーマンス」とは具体的に何を指すのでしょう。
売上高でしょうか?集客人数でしょうか?利益率でしょうか?
これが具体的に決まらない限り、何のデータを見るべきかが定まりません。
同じく「下がっている」とは、何(いつ)に比べて、どのくらい下がっていることを具体的に指すのでしょうか。
それが定まらない限り、どの範囲(期間)のデータを集めて見るべきか、また、「下がっているか否か」をどう評価するのか、が定まりません。
これらが定まらない状態で、データを眺めていても、「何となく」の主観的な評価や結論しか出てこないでしょう。
それだけでなく、本来データの底に埋もれている情報にも目が留まらないかもしれません。これではせっかく客観的で具体的なデータも、1ミリも活かされることがありません。みなさんは「データから意味を見いだせない」と言う前に、しっかりと具体的な目的を設定しているでしょうか。
まずは、「自分は何を知りたいのか」という目的を明確に持つこと、これがが第一ステップです。今一度、目的を明確を持ちデータを見てみましょう。今回は、データ分析の5つのステップの内、STEP1「目的は明確か?」をご紹介しました。
次回は、STEP2「その内容は具体的か?」をご紹介致します。
お話をお伺いしたDataLover:
データ&ストーリー LLC代表
データ分析・ロジカルシンキングを武器とした課題解決トレーナー
横浜国立大学非常勤講師 多摩大学大学院客員教授
柏木 吉基(カシワギ ヨシキ)氏
慶応義塾大学理工学部卒業後、日立製作所入社。在職中、欧米両方のビジネススクールにて学び、2003年MBAを取得。Academic Award受賞。2004年日産自動車へ転職。海外マーケティング&セールス部門、ビジネス改革グループマネージャ等を歴任。 グローバル組織で、数々の経営課題の解決、ビジネス改革プロジェクトのパイロットを務める。2014年、プロの実務家、ビジネススキルトレーナーとして独立。データ分析を“活用”するための思考法、分析力を分かり易く伝えた著書や講義には高い定評がある。
著書
・「それ、根拠あるの?」と言わせないデータ・統計分析ができる本/日本実業出版社
・データ競争力を上げる上司、下げる上司/日経BP社
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