まいどどうも、みなさん、こんにちは。
わたくし世界が誇るハイスペックウサギであり、かのメソポ田宮商事の日本支社長、ウサギ社長であります。ついに三月に入り、春もそこまでと思いきやこのタイミングでまさかの降雪に見舞われ、テンテコマイしている感じではありますが、某テーマパークでは雪が降る日はグッズが飛ぶように売れるそうでして、いろんなところに予測しない余波があるものだなぁ、としみじみと噛み締めておるところです。
今週もいろいろありましたが、ウクライナのゼレンスキー大統領がホワイトハウス訪問を行い、トランプ大統領およびバンス副大統領と口論になったニュースはなかなか衝撃的な映像でありました。母国語で捲し立てるアメリカンなトランプ大統領およびバンス副大統領に対して、英語がそれなりに堪能とは言え、誤解を生じるような発言や言葉選びをしてしまう可能性があるゼレンスキー大統領が通訳なしで会談に臨んだのはそうは言ってもいささか無謀だったのでは、とわたくしはウサギながらに感じておりました。
さて、今週は、データのじかんでたびたび取り上げてきている将棋の話なのですが、2025年2月27日にHEROZ社が将棋ウォーズ内でリリースした新対局モード「スプリント」が将棋の楽しみ方をさらに深める可能性を秘めたとんでもないものであることが判明したので、それについてお話ししてみたいと思います。
将棋ウォーズは、日本将棋連盟公認の将棋対戦サービスでありまして、ここで取得した段級位は申請すれば日本将棋連盟からオフィシャルな棋力として認定される、という日本最大、つまり世界最大の将棋対戦の場となっておるわけです。ローンチから年数を経て、ついに累積対局数が10億局を超え、ありとあらゆる将棋の対戦の記録をデータとして抱えている世界最大の将棋のビッグデータ保有者でもあります。
通常の対局というのは、最初の駒並びから一手ずつ交代で指していき、より複雑な戦いへと発展していくものであります。今回のリリースは、この根底とも前提とも言える常識を覆すものであり、将棋ファンですらこのような形での対戦が可能になるとは夢にも思っていなかった画期的な対戦モードとなっています。これまでにHEROZ社が蓄積してきた10億局以上のビッグデータを活用し、将棋界では最近すっかり当たり前になってきた形勢の優劣を判断する数値データを活用し、先手後手がほぼほぼ互角であると判断された中終盤の状態から試合を開始する、というのが今回リリースされたスプリントモードと呼ばれる対戦方法です。
将棋の対戦というのは、一般的に序盤・中盤・終盤に分けられます。序盤は囲いなどを組んでいく「駒組み」のフェーズ、そこから駒がぶつかっていく中盤へと進み、そして詰むや詰まざるやの手に汗を握る終盤戦へともつれこんでいく、というのが通常の流れです。最近は序盤中盤の研究が非常に細かいところまで進められており、プロ同士の対戦ではほぼほぼノータイムで序盤中盤を事前研究に基づいて進め、研究が分かれるところから時間を使った「実際の対局」が始まる、と言うケースが多く見られるようになりました。
しかしながら、特に初級・中級のレベルで対戦を楽しんでいる方々が上級者の方と対戦する場合、序盤中盤に深い知見を持つ上級者が終盤に差し掛かる頃には圧倒的に有利になっている、ということが珍しくありません。つまり、実際に頭を使って考えることで試合に勝つ、という部分よりも、その戦略に対する知見の深さによって圧倒的に有利になれる、という場面がアマチュアの対戦でも増えてきました。それはそれで知見が深い人の方がそもそも棋力も高い傾向になるのである程度は仕方のないことなのですが、やはり、次の一手で押すか引くかで勝負の行方が決定づけられる詰むや詰まざるやというスリリングな状況が将棋の対戦における醍醐味でもあるわけですので、それをいかにして楽しむか、というのがある意味イコール将棋の楽しさでもあります。
今回リリースされた「スプリントモード」はいきなり緊迫した状況から対戦が楽しめる、というのが最大の特徴となっています。しかも、ある程度試合が進捗した段階で先手後手の形勢にあまり差がない、いわゆる互角の形勢から始まる、というデフォルト設定になっているのが今回のリリースにおける革命と呼んでも差し支えないであろうコンセプトとなっています。従来であれば、試合がある程度以上進んだ状況でどちらが有利か、というのは判断が難しかったのですが、将棋AIの発展により、将棋の形勢判断はかなりの精度で客観的に数値化できるようになってきました。互角と判断された、つまり、いい勝負である、という状態から対戦を始められることにより、駒組みなどに費やす時間をカットし、棋力の向上において極めて重要であると昔から言われている終盤力にフォーカスができるようになります。将棋の対戦において序盤中盤の部分が面白くないわけでは決してありませんが、やはり勝敗を分ける終盤部分がもっともエキサイティングなことは間違いありません。ここだけを抽出して楽しめるとはなんと素晴らしい。これが革命でなかったなら、一体何が革命でしょうか。
現在、スプリント対局で選択できる持ち時間は3分のみとなっていて、先手後手が明示されると同時に最初に局面を確認するための時間が10秒ほど対戦者に与えられます。つまり、最大でも6分で一つの試合が終わる上に、曲で言うと大サビの一番盛り上がるところだけをアーティストと一緒に熱唱できる感じを楽しむことができるわけです。これほどまでに密度の濃い将棋の対戦モードを思いつくなんて天才だとしか思えませんが、HEROZ社のnote記事によるとこの構想は2年ほど前に思いついたそうです。
そして、膨大な対局データを保有しているHEROZ社はこのサービスのローンチに向けて、互角の熱戦の局面を14万局分ほど用意したそうです。それらがランダムに選択され、その運命の分かれ目の局面から勝負は始まります。これだけパターンがあると同じ局面に遭遇することはまずないと言って良いと思います。いきなり王手がかかっている局面の場合もありますし、自分の戦略ではなかなか辿りつかないであろう局面で戦略を考える、というカオスな体験も往々にしてできるようになります。これは詰将棋や次の一手問題を数多く解くだけでは決して味わえない、将棋の旨みエキスをグツグツと煮込んで凝縮させたものがこのスプリントモードと言ってよいのではないかと思います。いやはや、これはすごい。しかも、ランダムな局面から始まることで、オンライン将棋界で問題になっている「ソフト指し」と呼ばれるAIを使って対戦をするチートが使えなくなる、という対策にもなっている、というのも特筆すべき点かと思います。
あまりの感動にスプリントモードのリリース以来毎日対局を楽しませてもらっているのですが、終盤力が向上してきたような気もしますし、スリリングな局面で冷静さを保つ非常に効率的なトレーニングにもなっているように感じます。そして、時間が迫る中で正しい決断を迫られる、というのは将棋以外の、たとえば経営などの場面でも非常に役に立つスキルであるとも考えられるので、わたくしもこれでより強靭な精神力を持ったさらに成長したカリスマティック経営者になれるのではないかと考えるとついつい鼻息も荒くなってしまうわけであります。
将棋が趣味の読者の方がどのくらいいらっしゃるのかはわかりませんが、将棋好きの方でまだ試していない方にはぜひ試して頂きたいですし、将棋が趣味というわけでもない方には、将棋のようにすでに成熟しきったと思われている対戦ゲームにもまだこのような形で進化する余白が残っているというのは希望でしかない、ということをぜひこの機会に気づいて頂きたいと思って今週のネタとして取り上げてみました。機会があれば再びHEROZ社を訪れて、このスプリントモードについて根掘り葉掘り小一時間ほど密室で問い詰めたい心持ちであります。さまざまなYouTubeチャンネルでもスプリントモードに対する感想などが溢れかえっておりますが、そのほとんどがポジティブなものであるようにも思っております。いやはや、このスプリントモード、これは完全に盲点でした。素晴らしい。素晴らしすぎます。
そんなわけで、また来週お会いしましょう。ちょびっとラビットのまとめ読みはこちらからどうぞ!それでは、アデュー、エブリワン。
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