まいどどうも、みなさん、こんにちは。
わたくし世界が誇るハイスペックウサギであり、かのメソポ田宮商事の日本支社長、ウサギ社長であります。年末ということで、カリスマ経営者の例に漏れずわたくしも各所を走り回っている日々が続いており、師走を体現している今日この頃であります。暦通りですと12月31日が2週間後の水曜日となるのですが、さすがにそこはお休みを頂いて、これを今年最後のラビットニュースとさせて頂きたいと思っております。ちなみに、10日のことを「とおか」、20日のことを「はつか」と表現するのは口語でもよく使われますが、従来30日のことを「みそか」と言うそうです。しかしながら、30日そのものよりも月末を指す意味で使われることが多いため、30日ないし31日の月の最終日を「みそか」と呼ぶようになり、12月のみそかである12月31日というのは月末ではなく年の終わりの大ボス、ということで、大みそか、と呼ぶのだそうです。毎年この時期になると使える鉄板の豆知識ですね(笑)。
さて、最近は高市総理大臣の発言がニュースなどで取り上げられることがとても多いようにわたくしは感じております。これは、石破さんが具体性のある発言を極力避けていたせいで切り取る術がなかった、ということがこの体感頻度の一因となっているのかも知れませんが、そんな中で12月15日の参院予算委員会で再生可能エネルギーについて発言していた内容について、ほほう、と思ったものがありましたので、ちょっとそこを掘り下げてみようかと思っております。具体的には「海外から輸入した太陽光発電パネルを並べるのではなくて、むしろ日本で発明されたペロブスカイト太陽電池を普及していく」という発言でして、首相はさらに「これは海外にも展開できるから、日本がもうかる」とまで言い放っています。しかし、ペロブスカイト太陽電池について熟知している日本国民はごく僅かだと思いますので、今回は高市総理が推している「ペロブスカイト太陽電池」という技術についてお話していきたいと思います。ぜひ最後までお付き合いくださいませ。

ペロブスカイト太陽電池、という単語を初めて聞いたという日本国民がマジョリティーであるかと思いますので、まずペロブスカイト太陽電池とはなんぞや、という話から。
めちゃくちゃわかりやすく言うと、ペロブスカイト太陽電池は「塗って作れる、新しいタイプの太陽電池」です。従来の太陽電池はシリコンで作られているため、分厚い板を高温で加工して作る必要があったのですが、ペロブスカイト太陽電池はインクのような材料を薄く塗って乾かすことで作れます。しかしながら、基本的な電池の構造は従来の太陽電池と変わらず、光を吸収すると電子が動き出し、その流れを電気として取り出す、という仕組みになっています。違うのは、光を受け取る材料が「シリコン」ではなく「ペロブスカイト構造の材料」である、ということです。
で、ペロブスカイトの何がすごいかというと、フィルムのように薄くて軽い、という点がまず素晴らしいわけです。これまで重量の問題でソーラーパネルの設置ができなかった屋根にも設置ができるようになるだけでなく、窓や壁などでも発電することができるようになるかも知れません。これは平地が少ない日本にとって魅力的なお話です。また、光を吸収する力がとても強く、厚みも不要なので、材料コストの大幅カットが見込めます。製造工程も高温加工が不要で印刷・塗布に近い工程なので、将来的には新聞紙を印刷するかのように大量生産することも理論上は可能と言われています。
ここまで聞くと、おやまあこれは画期的!さっそく我が家も明日からレッツ・ペロブスカイト太陽電池発電!となるかと思うのですが、そうは問屋が降ろさないのが3歩歩いて2歩下がるテクノロジーの発展の常であるわけです。
現実問題としてわかりやすい課題点が大きく2点あります。一つ目は耐久性。製造工程が新聞紙を印刷するかのように作れる、と簡単なだけあって、耐久性も新聞紙並み、と言うほどは脆弱ではないですが、水や湿気に弱いという致命的な弱点があり、長期間(20年など)持つか否かという部分が課題視されています。もう一つは高性能な材料には人体に有害な鉛が含まれる、と言う点です。鉛なしで効率化する研究も現在進行形で進んではいますが、まだ時間がかかりそう、というのが現状なのだそうです。
しかしながらペロブスカイト太陽電池発電には大きな期待が寄せられています。その理由の一つが、発電効率の向上の早さです。2009年に3%だった発電効率が現在は30%級にまで向上しています。これはわかりやすく言うと、100の光から3の電力が得られる構造だったものが今では同じ光量から30の電力を生み出せるようになった、ということを意味します。別の例をあげるとすれば、一リットルのガソリンで3km走っていた自動車が同じガソリンとエンジンを使って30km走れるようになったイメージです。
シリコン太陽電池の場合は、1950年代に6%程度でした。そして現在でも20%程度に留まっています。つまり、70年以上かけても約3〜4倍にしかなっていないわけです。しかし、ペロブスカイトは2009年から2025年までの16年間で10倍になっており、シリコン太陽電池の効率をすでに上回っているわけですから、これは効率が良くなった、というレベルではなく、将棋の棋士の藤井聡太六冠や大谷翔平選手並み、あるいはそれ以上にレベチの成長だと言えます。
急激に効率が向上した理由としては、物理的に「当たりの材料」だったという点、材料設計の自由度が異常に高く、A、B、Xを入れ替えることで最適化が図りやすかった点、欧州・中国・米国が一斉に投資し研究を一気に進めた点、の主に3点が挙げられます。素材として優秀だった上に時代のニーズにうまくマッチしていたわけですね。
高市総理が「日本で発明された」と述べた通り、実はこのペロブスカイト太陽電池は日本生まれなのであります。このペロブスカイト太陽電池の生みの親は桐蔭横浜大学 医用工学部 特任教授の宮坂力(みやさか つとむ)先生であり、失礼ながらわたくしも今回の記事を執筆するためにリサーチするまでお名前を存じ上げていなかったのですが、上の動画を見ていただくとおわかりになるかと思いますが、柔らかな印象の素敵な教授でありまして、インタビュー動画の言葉のほとんどを太字表記したくなるくらい示唆に富んだ内容となっていましたので、ぜひともご覧になって頂きたいと思います。
宮坂教授はペロブスカイト結晶構造の材料が太陽電池の光吸収層として使えることに気が付き、それを世界で初めて論文として発表したわけですが、発表当時はそれほど注目を集めることもありませんでした。しかし、研究を重ねていくうちに効率が急上昇し、それを見て関心を持った研究者たちがこのペロブスカイト太陽電池の研究を加速させました。なので、日本独自の技術というわけでは決してありませんが、最初の一歩を踏み出したのは宮坂教授率いるチームであり、これが日本初の技術であることには疑いの余地はなさそうです。本当に誇らしいことであります。宮坂教授、カッコ良すぎます。
インタビュー動画で宮坂教授が述べている、家庭菜園で野菜を作るように家庭で自分で使うエネルギーを生み出せるようになれば、エネルギーの大切さをより理解できるようになり、創エネすることが省エネにつながる、という話は非常に鋭く、そして今後わたくしたちにとって極めて重要となってくる考え方のような気がしてなりません。
最近わたくしはエネルギー問題についてよく考えるのですが、省エネよりもむしろ無電源のものこそ無敵ではないかと思い始めております。今の季節くらい寒くなってくるとステンレス魔法瓶の保温力は決してあなどれないものがあり、少しずつお湯を沸かすよりも朝まとめて一リットルくらい沸かして終日保温されたお湯を使う、というだけでもエネルギー効率は結構高まるものだな、というのを実感しております。そういう意味では、日本の住宅の断熱性や保温技術というものはまだまだ改善の余地があるように思えてならない今日この頃であり、なんなら巨大な魔法瓶の中でみんな暮らせば保温性最強なのではないかと考えてみたりもしますが、築年数の古い物件の断熱性を高める効率的で安価な方法が見つかれば日本の住宅事情ももしかしたらガラッと変わるのではないかと考えていたりします。
日本という限られた資源の国で今後も多くの人が幸せに暮らしていくためにはエネルギー問題は避けては通れない問題の一つです。日本発祥のペロブスカイト太陽電池技術が今後どのような展開を迎えるのか、一般家庭でもフツーに使えるレベルまで普及していくのか、それとも絵に描いた餅なのか、あるいはより優れた別の新しい技術が台頭してくるのか、人の暮らしを豊かにするテクノロジーの発展から今後も目が離せません。
そんなわけで、次は年明けの水曜日にお会いしましょう。ちょびっとラビットのまとめ読みはこちらからどうぞ!それでは、アデュー、エブリワン!
(ウサギ社長)
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