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長寿大国日本。厚生労働省が発表した2021年のデータによると、男性の平均寿命は81.4 年、女性の平均寿命は87.57年となっています。平均寿命が非常に高い数値で推移する一方、近年注目を集めているのは健康寿命です。健康寿命は、人生の中で、日常生活に制限のない期間を指します。
平均寿命(2021)と健康寿命(2019)との差は、男性で8.79年、女性で12.19年となっており、平均で10年前後不自由な期間があるということです。
長い人生、できる限り老化を抑えて長く健康でいたい、と考える人も多いのではないでしょうか?
そうした中で近年、老化にまつわる研究への関心が高まっています。
老化を進めるもの、というと、喫煙や飲酒、不摂生などが思い浮かぶ人も多いのではないでしょうか?しかし、近年の老化研究によってタバコ以上に体に悪いもの、が明らかになってきています。
そもそもここでの老化とはなんなのでしょうか? 老化自体は誰しも生まれた直後から始まります。時間の経過の中で細胞が分裂し、50回程度で限界を迎え、これ以上分裂できない状態になります。この状態の細胞を老化細胞と呼びます。
若い頃は老化細胞があっても新しい細胞に入れ替わることで組織としての機能が保たれ老化を防ぐことができます。しかし、年齢を重ねるにつれ、この入れ替えのスピードが遅くなり、老化細胞の比率が高くなっていくことで老化が進んでいきます。
この老化細胞が蓄積するスピードが早い場合、老化は加速度的に進んでいきます。
近年では、体内にあるマーカーを測定することで老化をモデリングし、生物学的年齢を割り出す「老化時計(aging clocks)」が考案されています。そして、この老化時計をもとに個人レベルから集団までさまざまなアンチエイジング療法が模索されています。
老化に特化した生物医学ジャーナル「Aging-US」に掲載された論文では、老化と精神の関係が新たに明らかになりました。
アメリカと中国の研究者による共同研究で中国の成人、11,914人を対象に、血液と生体認証データを収集し、コホート(共通した因子を持ち、観察対象となる集団のこと)分析が行われました。
調査の結果、以下の因子を持つ人において、老化の加速が見られたといいます。
そして、絶望感、不幸感、孤独感を感じることが、最も老化を加速させ、その効果は喫煙以上であることが明らかになったのです。
一連の研究を通し、研究者は、研究段階においても、実用においても、老化防止を考える上で精神状態は無視するべきではない、と警鐘を鳴らしています。
実際老化防止の支援やサービスはそのほとんどが、運動の推進や、禁煙をはじめとする生活習慣の改善にとどまっています。もし、精神状態の改善を促進するようなサービスが開発され一般的に使われるようになれば、これまで以上に大きな改善ができるかもしれません。
これを逆に考えると、毎日幸せな気持ちでいるだけで老化を防げる、ということにもなりますので、自分を不幸な気持ちにさせる原因は何なのか、孤独感を和らげるために何ができるのか、ということについて考えて、何か行動をしてみるだけでも一定の効果は期待できそうですね!
【参考引用サイト】 ・Psychological factors substantially contribute to biological aging: evidence from the aging rate in Chinese older adults | Aging ・Being lonely and unhappy accelerates aging more than smoking, study finds ・厚労省:平均寿命(2022)が男性 81.47 年、女性87.57年に ・老化とは何か? | 健康長寿ネット
(大藤ヨシヲ)
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