Harvard Business Reviewの2012年10月号は、データサイエンティストを「21世紀で最もセクシーな職業」であると表現しました。
そもそも「データサイエンティスト」とはどのような職業なのでしょうか?
一般社団法人データサイエンティスト協会は、「データサイエンス力、データエンジニアリング力をベースにデータから価値を創出し、ビジネス課題に答えを出すプロフェッショナル」と定義づけています。
ここで出てくる「データサイエンス力」とは「情報処理、人工知能、統計学などの情報科学系の知恵を理解し、使う力」、「データエンジニアリング力」とは「データサイエンスを意味のある形に使えるようにし、実装、運用できるようにする力」とされています。前者はデータの解析力や分析力、後者はデータの加工力に近いです。
分かりやすく言うと、データサイエンティストとは、「ビッグデータを高度な統計解析ツールで収集、加工、分析し、ビジネスに活用できる知見を引き出す専門家」のことです。
ビッグデータを扱っていれば、どんな企業でもデータサイエンティストのクライアントとなる可能性があります。代表的な企業としては、webポータルサービス、ECサイト、ソーシャルゲームサービスなどがあげられますが、その他にも様々な分野でデータサイエンティストは必要とされています。
さらにビッグデータを保有するサービスは今後増えていくため、クライアントとなる企業も増え、データサイエンティスト不足は加速すると予想されています。
データサイエンティストの主な仕事内容は「データの収集、運用、分析」などですが、その手段や方法、目的は、扱うデータやクライアント先によって全く異なってきます。例えば、ECサイトにおいては、ユーザの購入履歴を解析し、それに基づく購入予測の仮説を立て、売上向上につながるよう課題解決案を提示します。ソーシャルゲームサービスにおいては、ユーザの満足度を高めて課金意欲を促進させることを目的にデータ解析をおこない、最適な解決方法を提示します。このように、それぞれの分野に合わせて適切にデータ解析し、活用していく力が求められます。
では、最もセクシーな職業「データサイエンティスト」になるには、どうすればいいのでしょうか?
データサイエンティスト協会では「データサイエンティストに必要な能力」として、冒頭に紹介した「データサイエンス力」および「データエンジニアリング力」に加え、「ビジネス力」(課題背景を理解した上で、ビジネス課題を整理し解決する力)が不可欠であると定義しています。データサイエンティストは、データを解析して加工するだけではなく、それをビジネスに役立てられないと意味がないのです。
具体的なものとしては、ビッグデータなどIT関連のスキル、情報処理スキル、統計学、経営企画などビジネススキル、心理学など幅広い知識が必要となります。また、扱うデータによっても必要な専門知識は異なります。
大学などで専門的に学びたい場合、例えば、滋賀大学に2017年11月時点で日本唯一のデータサイエンス学部があるため、大学で学ぶという選択肢もあります。他にも、アメリカの大学に留学してコンピューターサイエンスやデータサイエンス、物理や経済など他の領域を2~3科目専攻して卒業すればデータサイエンティストに必要な基礎能力を身に着けることができるでしょう。
他には、一般社団法人データサイエンティスト協会が運営する「Datascientist Society Journal 」というデータサイエンティストとそれを目指す人のための情報サイトで情報収集をする方法もあります。認定制度や資格、さらにセミナーや勉強会の情報などが紹介されています。
なぜデータサイエンティストは「企業にとって重要な存在」として注目されているのでしょうか?
その理由は、ビックデータの分析、活用が企業にとって非常に重要な課題をなっているからです。センサーや通信機器の発達、ネットサービスの普及によってビックデータの収集や蓄積が容易になり、そのデータ量は急激に拡大しています。そうしたビックデータを分析、活用して効果的なマーケティングやアクションプラン(事業計画)につなげることは、これからの時代に企業が生き残っていくためには必要不可欠です。ビックデータの重要性が増していくにつれ、これらを分析、加工してビジネスに活用するスペシャリストである「データサイエンティスト」への需要も今後ますます増加していくでしょう。
(データのじかん編集部)
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