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IoTモニタリング技術で製造業界に革命を:【第2章】タイランド4.0に貢献するiSTCのカイゼン活動。タイのSAM工場を取材!

         

SAMでのカイゼン活動

左から:iSTC COO 黒川氏、iSTC CTO 今井氏、SAM社長 石川氏

現在、タイ王国工業省の協力のもと、SAM(Siam Asahi Manufacturing)を含む8社でカイゼン活動の実証実験を行なっています。これは木村社長の講演を聞いた日本の経産省の担当者から打診があり、実現しました。

SAMはタイの現地法人で、旭鉄工の関連会社です。旭鉄工と同様に自動車部品を製造しています。22の製造ラインがあり、現在140名の従業員が働いています。この工場では2017年7月から遠隔モニタリングを開始していますので、日本からでも稼働率など生産状況の数値は確認できます。ですが、データを見ているだけではカイゼンは起きません。カイゼンを促すには旭鉄工の工場で行っている「ラインストップミーティング」が不可欠である、と考え、2018年2月からは旭鉄工の工場で行なっているのと同じラインストップミーティングをSAMでも実施しています。

旭鉄工から出向してきている数名の日本人スタッフ以外はタイの方ですので、通訳を介して彼らとコミュニケーションを取っています。通訳の方は専門用語や現場の知識を持っていない場合が多いため、うまく意思疎通ができないことも少なくありません。

ですが、この工場にはプロムセリーカ・ナセーナ(通称セさん)、という過去に3年ほど日本で働いていた経験を持つ日本語が話せる従業員がいますので、現在はセさんを中心にカイゼン活動を行なっています。カイゼン活動に関する理解を深めてもらうため、セさんには2018年の4月から7月の3ヶ月間、日本でカイゼン研修を受けてもらいました。その後、2018年9月から12月までiSTCはコンサルタントという立場でSAMのカイゼン活動をサポートしました。日本人スタッフが中心となってカイゼン活動を行うと、日本人スタッフがいなくなった途端にカイゼンが行われなくなる、ということが起こりがちです。なので、現在は現地スタッフにカイゼンの概念を理解してもらった上でノウハウを学習してもらい、さらにその人がその知識を別の人に引き継ぐ、というサイクルが定着するように意図的に仕向けています。現地スタッフだけでもカイゼンが自走することを最終的なゴールにしていますので、iSTCが中心になるのではなく、あくまでもコンサルティング的な立場で支援するようにしています。

ラインストップミーティングの様子

カイゼン活動を開始した当初の可動率は56%でしたが、4ヶ月後には73%まで向上しました。3年以内に22ライン全ての可動率を80%以上に引き上げることを目標にしています。80%の可動率は特に海外の工場では高い数値です。

また、現在のラインストップミーティングでは、プリントアウトした前日のデータをボードに貼り出す、という方法を取っていますが、将来的にはMotionBoardを使い、リアルタイムのデータをダッシュボードに表示させる予定です。データをより深掘りすることが可能となるので、さらにカイゼンを加速できるのではないかと期待しています。またレポート作成などの事務作業にかかっている工数が削減できるようになる見込みです。それが完成すれば、中小企業の工場としては世界最先端のIoT設備と言えるのではないでしょうか。

 

タイランド4.0とは?
日本とタイの違いおよび共通点 

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