東京都構造改革推進チームが立ち上がったのは2020年8月のこと。新型コロナウイルスの流行により浮き彫りとなった構造的な問題を踏まえ、ゼロベースで既存の仕組みや制度を見直していかなければならないという思いがあったことが、チームリーダーである武市敬東京都副知事によって語られています。
※参考:東京都の構造改革推進チームって何?【入都1年目の職員が副知事に聞いてみた】┃東京都 構造改革推進チーム(東京都 公式)note
「1年前にはWi-Fiもなかった」という都庁がドラスティックに変わろうとしている背景には、コロナ禍のほかに元ヤフー株式会社代表取締役の宮坂学東京都副知事が就任したことや、ニューヨーク市の4分の1に過ぎないICT人材の割合に危機感があったことの影響などもあるでしょう。
東京都構造改革推進チームがその取り組みの核に据えているのが以下の7つのプロジェクト。
プロジェクト名 | 概要 |
未来型オフィス実現プロジェクト | クラウド、ウェブ会議システム、フリーアドレスや保健所へのデジタル機器設備で職場環境を変革する |
5つのレス徹底推進プロジェクト | 「ペーパーレス」「はんこレス」「FAXレス」「キャッシュレス」「タッチレス」を推進する |
ワンストップ・オンライン手続きプロジェクト | スマートフォン申請や共同電子申請など、あらゆる行政手続きが行えるオンライン環境を構築する |
オープンデータ徹底活用プロジェクト | 都庁各局が保有するデータを公開し、シビックテックや民間企業のデータ活用を促進する |
スタートアップ・シビックテックとの協働推進プロジェクト | スタートアップと連携した行政課題の解決やシビックテックの活性化を図る |
内部管理事務抜本見直しプロジェクト | 文書、契約、支出、人事といった領域にわたる内部管理事務のプロセスをデジタルにより最適化する |
DX推進体制構築プロジェクト | 多様なICT人材を確保し、都のDXを牽引するデジタル局(仮称)を設置する |
参考:都政の構造改革レポート ver.0~都政のQOS向上のために~ 2 0 2 0 年 1 1 月 2 7 日┃東京都構 造 改 革 推 進 チ ー ム
上記の7つに加え、各局リーディング・プロジェクトやnoteやデジタル提案箱から収集した意見への対応により、都のQOS(Quality Of Service)向上は進められています。
データ活用という観点から注目したいのが「オープンデータ徹底活用プロジェクト」の取り組みです。その背景にあるのは行政データは公共財であり、公開することで新たな価値が生まれるという考え。「DX推進体制構築プロジェクト」の一環として2020年12月2日に開かれた都政デジタルセミナーでは、以下のような事例が紹介されました。
・「新型コロナウイルス感染症対策サイト」のソースコード公開により官民の「新型コロナ対策サイト」立ち上げが活発化した
・静岡県静岡市で食品衛生許可に関するデータを公開したところ情報公開請求件数が劇的に減り、業務時間削減につながった
・データシティと名高い福井県鯖江市でバスの位置情報データをオープンデータ化し、市民の利便性が高まった
現在も東京都オープンデータカタログサイトで以下の14カテゴリについてのデータが公開されていますが、サイトへのアクセス数は2020年11月末時点で200PV/日と伸び悩んでいるようです。
1.防災・災害計画
2.治安
3.まちづくり
4.人口減少、少子高齢化
5.医療・福祉
6.生活
7.税金
8.観光
9.オリンピック、パラリンピック
10.芸術文化
11.産業雇用創出
12.環境
13.交通情報
14.その他
税金を使って作られたこれらのデータ。なかにはあなた自身や会社にとって大きな意味を持つものもあるかもしれません。ぜひ一度アクセスしてみることをおすすめします!
都政のDXと構造改革を進める東京都構造改革推進チームの取り組みについてご紹介しました。 新型コロナウイルスの流行をきっかけのひとつとして立ち上げられた同チーム。コロナ禍が企業のDXを加速しているという声は多く上がっていますが、それは行政においても例外ではないようです。
Wi-Fiもなかった状態から劇的に変化しようとしている都に負けずに、貴社のDXも進めていきましょう!
【参考資料】 ・東京都 構造改革推進チーム(東京都 公式)┃note ・構造改革の推進┃東京都政策企画局 ・D Xレポート~IT システム「2025 年の崖」の克服と DX の本格的な展開~┃経済産業省 ・ICT人材、都庁に新風 中途採用職員が一役 コロナ対策、デジタル化推進を後押し┃東京新聞 ・なぜ東京都がソースコードを公開?コロナ対策サイトを速攻で完成させたDX戦略┃HIP
(宮田文机)
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