データのじかん週報では、データのじかんの編集部内で会話されるこばなしを週1度程度、速報的にお届けいたします。
野島:6月12日にウイングアーク1stが主催した「実務家が知っておきたい!生成系AIの現在地点」を実施しました! 広告などをほとんど打ってないのにも関わらず、100名を超える方にご参加いただきましたね。ChatGPTをはじめとした生成系AIの興味関心の高さが伺えましたね。
大川:そうですね。アンケートにも積極的に書いてもらったのもありがたかったですね。貴重なFBをいただいた意味でも「やってよかった」セミナーでした。
野島:セミナーへのFBはかねがね好評でした。一方、「シャドーIT」など出席いただいた企業が抱えている本質的な課題も改めて見えてきました。「テクノロジーにどれだけ追いつけるか」というのがファーストステップでどれだけ大事か、まざまざと感じられました。
■シャドーITとは? |
大川:今まで色々と理由を付けて向き合わなくてよかったのですが、ChatGPTくらい事務作業に影響力を及ぼすクラウドサービスが出てくると、そうもいかなくなった感じが非常に強くなりましたね。
野島:確かにそうですね。クラウドサービスのセキュリティで躓いている企業にとっては、ChatGPTをめぐる動きからは完全に「蚊帳の外」ですから。今後、そう遠くない時期にアウトプットでその差が生じるかもしれませんね。
大川:完全にその気配しかありませんね。実際、ChatGPTを使い倒しているIT縛りの勉強会「IoTLT」でも「本題を入る前に『余計な話』をしてくるのが鬱陶しい」という愚痴なんかも良く聞こえてきます(笑)。課金してAPIをかませれば無駄な話は省けるんですが、無料でどうやるかという粒度の話にまでなっていますからね。その差はどんどん離れていると思います。
大川:GISTセミナー「データ連結によるコネクションからデータ連成によるイノベーションへ」に参加しました。これだけで一コマ話せるくらい、非常に面白い内容でしたね。
野島:セミナーサイトにある資料を拝見したんですが、ちょっとこれだけだと理解が難しかったですね。
大川:非常に抽象度が高い話なので資料だけだと理解は無理だと思います(笑)。まず大澤さんによるとデータは「定量的に取るもの」と「解釈・説明のために取るもの」の2種類があるというんですね。IoTやAI、エンジニアリングに関しては前者が多いが、世の中に出てくるデータは後者がほとんどというんです。データを意味化、構造化するためにはオルタナティブな情報が必要になる。という切り口なんです。
野島:確かに非常に抽象的ですね。
大川:例えば、人流を調べたいときに人流そのもののデータではなく、他のアナロジカルなデータを「代替(オルタナティブ)」しているのが現状ということです。
野島:なるほど。人流といいつつ、GPSやスマホの動きのデータを代替していることにすぎないということでしょうか。
大川:そんな感じです。そんなオルタナティブデータが連なることを大澤さんは「連成現象」と呼んでいます。意味解釈する際は、何かがきっかけでさまざまなデータが連なって事象が発生することが「データ連成」を意識するのが大切で、データ活用には欠かせないというテーマで、セミナーの内容はその手法が主な話題となっています。最終的には「絵を描く」ことに着地していました。
野島:絵を描く?
大川:自分が得たい結果やイメージを描く「フューチャーコンセプト」という手法です。これをもとに「どうデータを解釈するか」を共有するためのツールということでした。テーマだけでも面白いですがGripsに参加する人たちからのえげつない質問も面白かったですね。「フューチャーコンセプトはローデータ定義までできるのではないか?」といった質問が出たときは素直に「その発想はなかった」と思っていました。確かに仮想的なメタデータとしても扱えるはずですよ。
野島:抽象的なだけでなく、資料などを読むと大澤先生はフューチャーコンセプトを非常に科学的に実践されているのも分かりますね。
大川:構造計画研究所の社会連携研究部門シンポジウム「データ統合と数理で導く気候変動の緩和と適応」に参加しました。パネル発表がどれも刺激的でした。特に印象に残ったのは、個人情報と避難・救助の関係性ですね。
野島:基本的に個人情報は保護する傾向が強いですよね。それが救助とどう結びつくかというと……。
大川:例として、アメリカの要介護度などの情報を提供している人から、優先して救助が行われているケースが挙げられていました。つまり行政に積極的に個人情報を提供するインセンティブがあるということですね。
野島:日本では要介護状態などの情報は行政は把握できていないですよね。
大川:日本はあくまでコミュニティベースで行政が主導して救助できないのが現状という比較は、まさにさもありなんといった事実でしたね。
データのじかん編集長 野島 光太郎(のじま・こうたろう)
広告代理店にて高級宝飾ブランド/腕時計メーカー/カルチャー雑誌などのデザイン・アートディレクション・マーケティングを担当。その後、一部上場企業/外資系IT企業での事業開発を経て現職。2023年4月より上智大学プロフェッショナル・スタディーズ講師。MarkeZine Day、マーケティング・テクノロジーフェアなどにて講演。
近著に「今さら聞けない DX用語まるわかり辞典デラックス」(左右社)。静岡県浜松市生まれ、名古屋大学経済学部卒業。
データのじかん主筆 大川 真史(おおかわ・まさし)
IT企業を経て三菱総合研究所に約12年在籍し2018年から現職。専門はデジタル化による産業・企業構造転換、製造業のデジタルサービス事業、中小企業のデジタル化。(一社)エッジプラットフォームコンソーシアム理事、東京商工会議所学識委員兼専門家WG座長、内閣府SIP My-IoT PF、ロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会 中堅中小AG、明治大学サービス創新研究所客員研究員、イノベーション・ラボラトリ(i.lab)、リアクタージャパン、Garage Sumida研究所、Factory Art Museum TOYAMAを兼務。官公庁・自治体・経済団体等での講演、新聞・雑誌の寄稿多数。直近の出版物は「アイデアをカタチにする!M5Stack入門&実践ガイド」(大川真史編、技術評論社)
データのじかん編集 藤冨 啓之(ふじとみ・ひろゆき)
経済週刊誌の編集記者として活動後、Webコンテンツのディレクターに転身。2020年に独立してWEBコンテンツ制作会社、もっとグッドを設立。ライター集団「ライティングパートナーズ」の主宰も務める。BtoB分野を中心にオウンドメディアのSEO、取材、ブランディングまであらゆるコンテンツ制作を行うほか、ビジネス・社会分野のライターとしても活動中。データのじかんでは編集・ライターとして企画立案から取材まで担う。1990年生まれ、広島県出身。
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