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コミュニティの中で育む、データ好きの文化 –データ界隈100人カイギキュレーターインタビュー vol.02

「データ界隈100人カイギ」では、データに携わる様々な人々がつながるコミュニティを目指しています。今回は、キュレーターとして参加される石井さんに、データとの出会いや思い、今後の展望についてお話を伺いました。

         

全方位型ビジネス推進から独立起業へ──第一線での挑戦

佐々木:
まずは石井さんの自己紹介と、これまでの経歴についてお聞かせください。

石井:
私は、新卒の頃に独立系のITベンダーでシステムエンジニアをやっていました。基幹システムのエンジニアをしていたのですが、上司から『自分の力で利益を出せるビジネスを考えなさい』と言われたことがきっかけで、データ分析に着目しました。最初はひとりでデータ分析ツールを導入し、お客様に提案していました。マーケティング・営業・プリセールス・設計開発・保守を、朝から晩までやっていました。

そのあとにBIツールメーカーに転職して、プリセールスとカスタマーサクセスを経験しました。

同じ頃、幼なじみが高田馬場で町中華の3代目をやっていたので、そこに通っているうちにそのお店のホームページやオーダーシステムを自作することになりました。

BIツールの魅力をお客様に提案する仕事をしながら、データを入力から分析するまでのプロセスが体感できて、すごく楽しいと思ったんです。

データ界隈100人カイギ キュレーター 石井亮介さん(株式会社データパレード 代表取締役)

佐々木:
町中華のシステム作成までされているんですね!面白いですね。

石井:
はい。そこから独立して会社を作り、BIのコンサルティングやデータ分析チームのチームビルディングに取り組んでいます。また、本業のほかに、若い世代にデータを好きになってもらいたいという思いから、大学でデータサイエンスの講師になりました。

この業界には、新卒の頃から本当にお世話になってきました。だからこそ、今度は自分が業界に恩返しをしたいという気持ちがあります。これまでにも社会人や後輩に向けたデータ活用人材の育成には関わってきたのですが、もっと前の世代、たとえば大学生や高校生など、もっと若い世代にも「データって面白い」と思ってもらえる機会を届けたいと考えていました。

データ界隈に横断的な交流を──キュレーター参加の経緯

佐々木:
キュレーターとして参加することになった経緯を教えていただけますか?

石井:
「100人カイギ」という取り組み自体はネットで知っていましたが、「データ界隈」でも同じ仕組みを取り入れられないかと考えていました。実は、これは私自身ずっとやりたいと思っていたことなんです。

私はさまざまなBIツールのコミュニティに参加していて、例えば「Tableau」というBIツールの人が集まって中華料理を食べたり、うちの会社のツールである「MotionBoard」が好きなコミュニティが集まったりと、高田馬場の町中華を軸にいろんなデータ界隈の人が会える場を作っています。

りょうさんがCDOを務める一番飯店を舞台にした、データに関わる方々がゆるくトークをするYouTube番組「データ飯店」も配信中 https://www.youtube.com/playlist?list=PLiKWx-Lq44xo_IIdgvrMZ_TjidO3fgV8C

佐々木:
すごいですね、データ界隈の人が集まる中華料理店というのはあまり聞いたことがないです。

石井:
同じツールでも違うツールでも、皆さん深い思想を持っています。

たとえば、データをどうビジネスに生かしていきたいか、あるいは自分自身をどう変えていきたいか——そういった思いやビジョンは、使用するツールの枠を超えて、大きな影響を持つものだと思うんです。複数のコミュニティを見てきた中で、今回のテーマであるデータ界隈の皆さんを集めるコミュニティを作るというのは、私もやりたいと思ったことだったので、運営メンバーにぜひやりたいとお伝えしました。

データのワクワクを伝える──身近な可視化から始まる気づき

佐々木:
キュレーターとして担当するテーマや、それにどんな思いを込めているかをお聞かせください。

石井:
特に出したいテーマとしては「データのおもしろ企画」を考えています。私自身、趣味と実益と半々ぐらいでデータを可視化することをやっていますが、私の知り合いにも趣味と実益半々でプライベートでもデータに触れ合っているような人がいて、その人たちの話はとにかく面白いんです。データを好きになってもらいたい、さまざまな立場の方々にデータを身近に感じてもらいたいという思いがあるので、「データってこんな面白いこともできるんだ」というところをお話したいと思っています。

佐々木:
最初のハードルを一歩下げるという狙いなのでしょうか。

石井:
そうですね。仕事でデータを使う人は多いと思いますが、興味本位のデータから分析してみても面白いよということを伝えたいです。

例えば、今運営している町中華では売上データとホームページのデータとインスタグラムのデータを持っています。そうするとテレビに出たときにホームページのPV数は伸びるし、インスタグラムのフォロワーも伸びるのですが、売上はそんなにすぐについてこなかったりするんです。

佐々木:
なるほど。

石井:
そういったデータを見ていると、「土日になったら売上上がるんじゃない?メディア出演が金曜だったらいいんじゃない?」とか色んな仮説が出てくる。その仮説はデータを見ていて知る面白さから出てくるものなので、ワクワクが最初にあるんです。ビジネスでは、「どうやって売り上げを上げよう?」という発想が先に来てしまうため、ワクワクを最初に感じることはなかなかないと思います。

データと遊ぶ力が、ビジネスを動かす──企画セッションの狙い

佐々木:
企画したいセッションや取り上げたい話題について教えてください。

石井:
今2名の登壇者を考えています。1人は淡路島に住んでいて、データ分析のエンジニアの仕事をリモートでやりながら、趣味でハチミツ作りをしている人です。養蜂に対して適切な温度や気候をデータ分析してダッシュボードにしています。また植栽も行っており、IoTで土の湿り気を測って、特定の時間になると自動で水を与えるという仕組みを作り、それをダッシュボードで可視化しているんです。

佐々木:
データ活用の進んだ養蜂ですね。

石井:
そうなんです。もう1人はバリバリのIoT機器を作る人です。自分でセンサーを作ったりしています。

我々はデータ可視化が得意ですが、この方はそのデータ元を作る人で、趣味で自宅にハンダゴテがあっていろいろと工作しています。データを取得したらAWSに入れて、ダッシュボードに表示し、リアルタイムで音を流すなどデータの発生から可視化までを一気通貫で作るタイプの人です。

佐々木:
すごいですね。お話を聞いているだけで、皆さんの表情がキラキラしていることが伝わってきます。

石井:
休日に「ここまでできた」と報告をくれて、動画で動きを見せてくれます。その機器をお客さんに提案するときのデモで使ったりして、実際の案件になったりもします。自分のやりたいことを趣味でやってみて、それがビジネスになるという好循環を、実現しているのです。

そういったデータが好き、データって楽しいという気持ちがビジネスにつながるということを、皆さんにお伝えしていきたいと考えています。

データを好きになる文化を育てたい──実務者としての願い

佐々木:
データと文化、人という観点で意識されていることはありますか?

石井:
まさに最初に話したとおり、まずデータに対してワクワクしてほしいと思っています。データに関わる人は世の中にたくさんいらっしゃいますが、『やらされ仕事』でレポーティングしたり、データに触れたりしている人も多いと思うんです。そういった人たちにもデータを好きになってもらいたいという思いがあります。データ好きな文化を作りたい、たくさんの人にデータに笑顔で接してもらいたいですね。

あとは自分自身がやる側の人間として、一番楽しんでいないといけないと思っています。楽しみながら事業に取り組む私の後ろ姿を見て、みんながデータに前向きになって取り組んでもらいたいと思っています。

佐々木:
確かにそうですね。

石井:
これからは新しくビジネスとして、町中華だけでなくさまざまなお店で使えるオーダーシステムを作っています。自分の趣味で始めた、データの可視化のためのデータ入力システムが、製品として売れる道を作っていきたいです。この夢を追いかけている姿を、学生の方々にも見てもらいたいですし、データ界隈のコミュニティを通じて、データを追い求める姿をみんなに見てもらって、「データ好き」な人を増やしたいと思っています。

好奇心を原動力に──自分らしい生き方を

佐々木:
登壇を検討している方々に一言お願いします。

石井:
オリジナルの話をどんどんしてほしいと思っています。データにまつわるという縛りだけで、何に引っかかるかは正直わからないです。技術者的なマニアックな話でもいいですし、データのこの部分が好き、得意なこと、こんなデータとこんなデータを組み合わせるとこういう面白い結果があったとか。データというカテゴリーの中でも話すことはバラバラだと思うので、自分ならではのオリジナルの話を披露していただけるとすごくいいと思います。

佐々木:
なるほど。まさに「データ」というキーワードで集まると、最初はお互いのこと何をしているかわからない人同士が集まることになるかもしれませんが、そこで生まれる偶発性もありますよね。最後に何か伝えておきたいことはありますか?

石井:
まさにそうですね。

データって楽しいよということを、とにかくアピールしたいです。私はデータにもっと深く携わりたいと思い、会社を辞めてデータ分析専門企業を立ち上げました。データを趣味としても仕事としても使いながら、自分のビジネスを作っていくという、こんな生き方もあるのではないかと思います。全員が起業家になるわけではないですが、自分の好きなものに対してもう一歩踏み込むこともできると思うので、そういった点で皆さんと話して何か繋げていけたらと思っています。

 

データ界隈100人カイギ運営事務局 主催
データ界隈100人カイギ #1
データ文化を支援するメディア会

イベント名データ界隈100人カイギ #1「データ文化を支援するメディア会」
開催日時2025年5月16日(金) 18:30~21:00
会場ウイングアーク1st株式会社コラボスペース
〒106-0032 東京都港区六本木三丁目2番1号 六本木グランドタワー36階
主催データ界隈100人カイギ運営事務局
対象者データに携わる全ての方
・ITツールベンダー
・コンサルタント
・Chief Data Officer(CDO)
・データサイエンティスト
・エンジニア
・ビジネストランスレーター など
参加費・定員・現地参加:1,000円(定員:50名)
・オンライン参加:500円(定員:50名)
・学生の方:現地・オンライン参加ともに無料(定員:10名 ※各5名)
URL2025年05月16日開催|データ界隈100人カイギ#01|データ文化を支援するメディア会

 

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