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日本DX大賞実行委員会は、2023年6月23日にDXコンテスト「日本DX大賞2023」の受賞企業を発表しました。
2023年6月19日から23日にかけて開催された「日本DX大賞2023決勝大会」では、「BX(ビジネストランスフォーメーション)」、「UX(ユーザーエクスペリエンス)」、「SX・GX(サステナビリティトランスフォーメーション・グリーントランスフォーメーション)」、「人と組織」、「行政機関・公的機関」の5つの部門別にプレゼンテーション審査が行われました。
最終日の6月23日に東京ミッドタウン日比谷BASE Qで行われた表彰式では、それぞれの部門の大賞、優秀賞、スポンサー賞、特別賞が発表されましたので、栄えある企業が取り組んだDX(デジタルトランスフォーメーション)の施策について紹介します。
BX(ビジネストランスフォーメーション)とはビジネス変革やビジネスの再構築のことで、企業が業務の運用を効率化するため、あるいは創作した新しいビジネスモデルの実現に、デジタル技術を利用して変革することを意味します。
BXは企業が競争力を維持・向上させるために、既存のビジネスモデル、業務プロセス、社員のスキルセットなどを見直し、最適化や革新を図り続ける必要があり、これには、テクノロジーの採用、組織構造の変更、社員のスキルアップなど、様々な手段が用いられます。
日本初のデジタルバンク設立 “みんなの銀行“
「みんなの銀行」は、10年後の金融業界を予見し、日本初のデジタルバンクとしてデジタルネイティブ世代向けの新しい金融体験を提供。親会社であるふくおかフィナンシャルグループのDX戦略の一環で、従来の制約を超越し、全てをゼロベースで再設計・再定義し、新しい銀行機能を創造。3つの事業ドメインを展開し、フルクラウド型の銀行基幹システムを日本で初めて構築し、20か月という短期間で新銀行設立を実現。サービス開始から2年で、デジタルネイティブ世代を中心に60万口座を獲得しました。
大田区町工場の「仲間まわし」デジタル化 による稼ぐ力の向上プロジェクト
「I-OTAプロジェクト」は、東京都大田区の中小製造業に焦点を当て、特徴的な分業体制「仲間まわし」をデジタル化。これにより、高付加価値なものづくりにチームで挑戦できる環境を構築。顧客ニーズが部品加工から提案型ものづくりへとシフトしている現在、中小製造業が1社で対応することは困難です。この問題を解決するために、「仲間まわし」のデジタル化により、一社だけでは難しい課題に対応できるよう、各企業が協力しあう体制を築き上げました。この新体制により、加工企業がハブ企業へと成長し、全体としての提供価値を高めています。また、このシステムを全国に展開し、参加企業を増やすことで、顧客への価値提供をさらに拡大する予定です。
自動車事故からの復旧を早期化する 画像認識AIを現場で駆使する全社トランスフォーメーション
損害保険ジャパンは、自動車事故から保険金支払いまでの過程を大幅に改善しました。技術アジャスターによる長時間の査定プロセスを、画像認識AIを活用することで短縮し、エフォートレスな顧客体験を提供。このAIは技術アジャスターと同程度の精度で「全損」の判断を行い、かつて1週間かかっていたプロセスを高速化し、保険金の即日支払いを実現しました。この画像認識AIは、ロンドン発のスタートアップである「Tractable」によって開発されたもので、Tractableは2014年の創業以来、自動車事故や自然災害からの復旧という社会課題に取り組んでおり、本プロジェクトは損害保険ジャパンと共に推進しました。
UX(ユーザーエクスペリエンス)とは製品、システム、サービスを利用する際のユーザーの感じる体験全体のことで、具体的には製品のデザイン、ブランド、使い勝手、効率性、そして使用中や使用後の満足度などを指します。
特にデジタル製品やウェブサイト、アプリケーションの設計では、UXは極めて重要とされており、良いUX設計はユーザーが製品を簡単に、効率的に、そして楽しく使用できるようにします。
モノを売る企業から体験を提供する企業への進化
モノを売る企業から体験を提供する企業へと進化を遂げるため、3つの柱を基盤にしたプロジェクトを展開しました。1.新たな顧客体験の創出へ向けたデジタルの活用。これは、「和服らいふ」という顧客向けアプリの開発と、それを活用した新事業「きもの保管サービス」の立ち上げを実現しました。2.顧客との繋がりを深めるためのコミュニケーション設計で、これは、営業社員と顧客との関係だけに依存しない体制を築き、SNSを通じて店舗・本社が直接顧客とコミュニケーションをとれる仕組みを構築しました。3.社内業務アプリの内製開発とデータ分析で、営業社員が手帳に記録していた顧客との接点をデジタル化し、社内アプリに登録・蓄積。これにより、顧客をより深く理解するためのデータ分析基盤を構築しました。
それぞれが ちょうど良い ご近所付き合いができる 社会をつくる GOKINJO
“GOKINJO”は、デジタルとリアルを融合し、街やマンションでの適度な近隣交流を実現する地域社会を作り出しています。自社でのアプリ開発により、ユーザーヒアリングやデータ分析に基づく最適なUI/UXを提供しています。DXの取り組みとしては、登録コードによる認証システムとニックネーム/匿名投稿のUI/UXを開発し、信頼できるコミュニケーション空間を作り出しました。また、次世代型地域コミュニティの形成とデータプラットフォームの開発を行い、利用者数と利用率を高めることにも成功しています。さらに、アプリのビッグデータを活用したビジネスモデルを構築し、ユーザーニーズや興味関心を把握し、それを新たなビジネスチャンスへと繋げています。
AI業務支援システム「エイディ」の社内開発社内で開発されたAI業務支援システム
「エイディ」は映像をリアルタイムで解析し、番組制作から送出業務までの幅広い分野で効率化と表現の高度化に寄与しました。システムは「CG・テロップ操作の効率化」、「映像監視の一部無人化」、「ボカシなどの編集作業の時間短縮」、そして「生放送における高度なCG合成」など、これまでに解決できなかった課題を次々と克服し、多くの現場で導入されました。様々な部署から集まった有志による「エイディキャンプ」は、期待を超える成果を生み出し、社外からも導入の要望が寄せられています。
SX(サステナビリティトランスフォーメーション)、GX(グリーントランスフォーメーション)は企業がビジネスモデルやオペレーションを変革し、持続可能性と環境配慮を組み込むプロセスのことです。
SXは、企業が環境、社会、ガバナンス(ESG)の観点からビジネスを運営する方法を改革し、持続可能な未来に向けて進化するプロセス、一方、GXは、企業が環境問題への取り組みを強化し、ビジネスの全体的な環境影響を低減するためのプロセスを指します。
SX、GXは、企業が社会的・環境的責任を果たし、持続可能なビジネスモデルへの移行を促すための重要な考え方であるため、昨今注目が高まっています。
スマホが命を救う!登山地図アプリのユーザー参加型DX 登山者コミュニティを通した「共助」の仕組み
株式会社ヤマップは、登山地図GPSアプリ「YAMAP」を通じて、登山者の遭難防止対策を実施しました。ビッグデータを活用し、「日本一道迷いしやすい登山道」を特定し、改修。ユーザーが歩いた登山道の軌跡を分析して道迷いが誘発しやすいポイントを発見し、その結果を遭難対策協議会で報告しました。さらに、道迷いがゼロになったという結果も可視化しました。また、登山者が遭難した際、YAMAPユーザー同士のBluetooth通信とサーバーのデータ共有を活用し、遭難者の位置情報を救助機関や家族に提供し、救助活動を支援。これらの取り組みは、ユーザー、自治体、警察、救助機関を含む広範なDXを実現し、「山のインフラ」として命を守る役割を果たしています。
みどりクラウドらくらく出荷によるJA青果集出荷業務のDX化
株式会社セラクは、農林水産業におけるGXの実現を目指し、安定した農業経営を実現するための取り組みを展開しています。JAの職員が栽培指導や生産規模拡大に向けた活動を行い、一方でJAが生産者からの荷物の集荷と市場への販売を行っています。しかし、目視による計数や手書き伝票、FAX通信などの手作業が多く、生産者とJA職員双方に大きな負担をもたらしていました。このため、セラクは手作業を排除し、デジタル化によるデータ活用の業務フローを構築し、生産者とJA職員の負担軽減に取り組みました。この取り組みは、農業者の収益性向上、早期支払いの実現、果物のトレーサビリティの実現などに貢献し、今後、一層の拡大が期待されています。
「人と組織」のDX(デジタルトランスフォーメーション)は、組織内の人々とその構造に焦点を当てたデジタル化の取り組みなどで、具体的には、組織構造の改革、社員のスキルアップ、新しい働き方の導入、そしてより良いコラボレーションとコミュニケーションを促すデジタルツールの活用などが例として挙げられます。
主な施策としては、従業員のデジタルスキルを向上させるための教育とトレーニング、リモートワークやフレキシブルワークの可能性を拡大するための技術の導入、組織の意思決定プロセスを改善するためのデータ分析の活用などがあります。
このような取り組みは、組織がデジタル時代に適応し、より効率的で効果的に業務を遂行することを可能にすることだけでなく、新しいテクノロジーやビジネスモデルを活用して、競争優位性を獲得するために重要です。
日本最先端クラスのデジタル県を目指して
群馬県は、「新・群馬県総合計画」のもと、「日本最先端クラスのデジタル県」を目指しています。2020年4月に全国初となる「デジタルトランスフォーメーション戦略課」を設置し、知事を本部長とする「DX推進本部」を組織。これを支える「群馬県庁DXアクションプラン」や「ぐんまDX加速化プログラム」を策定し、各部局にDX推進係を配置しました。具体的な活動として、データ活用を感じる農政部局による「DXer普及指導員育成研修」や、Microsoft365に関する「M365総合コミュニティ」等が実施されています。これらの継続的な人材育成から新たなDXの取り組みが生まれ、群馬県庁内の取り組みは市町村や地域社会のDX推進へと波及し、県民の利便性を向上させています。
事業戦略実現のための「DX 人材戦略」5年で4倍の事業成長を支えた DX 人材の発掘・育成ノウハウ
エン・ジャパン株式会社は、事業環境の変化に迅速に対応するためのDX組織を確立しました。売上低迷から脱却するため、2014年に主力サービス「エン転職」を全面リニューアルし、エンジニア不足の課題に直面しながらも「5年で4倍の事業成長」を目指しました。事業部長が「事業部からDX人材を輩出する」と意志決定し、適性テストを用いて候補人材を発掘、組織化。非IT人材でも扱えるノーコードツールを活用し、業務フロー改革を推進した結果、5年で目標を達成。コロナ禍などの社会経済の変化に迅速に適応する内製開発のDX組織が形成され、そのDX人材育成ノウハウはサービス化され、他の企業の変革を支援しています。
人材をコアとしたDX推進プロジェクト
都城市は、市長自らが全国初のCDOとなり、デジタル統括課を設置することで、自治体の縦割りを打破しました。各部局長が参加するデジタル統括本部とともに、一般的には政策推進に加わらない財政課を含むカルテット体制を推進。これにより、横串力を保証し、強力な推進力を発揮できる体制を築きました。さらに、民間の外部人材を活用し、土木技師をデジタル統括課に登用。これにより、より強固で総合的な推進体制が確立されています。
行政機関や公的機関のデジタルトランスフォーメーション(DX)は、デジタル技術を用いて公共サービスの提供や業務プロセスを効率化、改善する取り組みを指します。
具体的な例としては、公的機関が電子文書管理システムを導入する、市民とのコミュニケーションを効率化するためのデジタルツールを活用する、申請や支払いなどのサービスの提供をオンライン化する、そしてデータドリブン型の意思決定を可能にするためのデータ分析と共有のためのプラットフォームを開発する、などがあります。
これらの取り組みは、公共サービスの提供を改善し、市民の利便性を高め、行政の効率性と透明性を向上させることを目指しています。また、新しいテクノロジーの活用は、行政機関がより柔軟に変化する環境に対応し、新しい課題に対する解決策を見つける能力を強化します。
マイナンバーカードでふるさと納税DX
都城市は、マイナンバーカードの交付率が約94%と全国の市区で1位であり、ふるさと納税でも寄付額で過去3度日本一になるなど、デジタル化に積極的な自治体です。これを受け、カードを活用してふるさと納税のワンストップ特例申請をデジタル化するアプリ「IAM」を民間企業と共同で開発。リリースから5ヶ月で100万DL、3月末時点で133万DLを達成し、カードの公的個人認証民間アプリとして圧倒的なDL数を誇っています。都城市のこの取り組みは、国民の利便性向上に大きく寄与しています。
アナログから始める窓口業務DX
北見市は、市民から見てわかりやすく、職員から見て効率的な窓口業務を目指すべく、12年前からアナログから始めるDXに取り組んできました。市民と職員の双方の視点で業務分析を行い、手続きのワンストップ化や進捗管理を担う支援システムを開発。その結果、人力や紙に頼っていた窓口業務をデジタル化し、職員がシステムを使って一緒に手続きを進める新しいスタイルを生み出しました。また、バックヤードの業務システムへの入力作業もRPAで自動化。この取り組みは他自治体にも広がり、開発した支援システムは14の自治体で利用されています。北見市のDXは、手段として捉えられ、その目的は「書かない」ことではなく、仕事のやり方や手順を変えることであると強調されています。
ぐんま大雨時デジタル避難訓練 ~「デジひな」の軌跡~
群馬県は、LINEを利用した避難訓練ツール「ぐんま大雨時デジタル避難訓練」(通称「デジひな」)を開始した。都道府県の公式アカウント上に実装されたものとしては全国初である。大雨や台風時の情報収集から避難までの流れを確認でき、イラストや簡潔な文章により5分程度で気軽に取り組むことができる。システムの構築は庁内プロジェクトチーム員がDIYで行った。令和4年の台風シーズンには「台風編」にリニューアルし、現在はLINE公式アカウント「群馬県デジタル窓口」に常駐させ、平時の防災対策ツールとして活用している。
株式会社鈴花
エン・ジャパン株式会社
株式会社Arent / 学校法人アルコット学園しみずがおか幼稚園 / ユニファ株式会社 / 大日本印刷株式会社 / 国立大学法人東北大学 / 磐梯町
我が国は、デジタル技術を活用して地域の魅力を引き出し持続可能な経済社会の実現をめざす「デジタル田園都市国家構想」を掲げています。
この実現には、デジタル技術のさらなる応用で組織やビジネスの変革を実現する「DX事例」の拡充が不可欠です。
自治体、民間企業、産官学や官民連携などDXの推進と支援現場における優れた「DX事例」を掘り起こし、広く共有する機会として「日本DX大賞」を実施しています。
イベント名 | 日本DX大賞2023 |
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開催日時 | 2023年6月19日~23日 |
開催形式 | オンライン |
主催 | 日本DX大賞実行委員会 (Re-Innovate Japan /日本デジタルトランスフォーメーション推進協会/ノーコード推進協会) |
後援 | 総務省 経済産業省 デジタル庁 独立行政法人 情報処理推進機構 |
メディアパートナー | ビジネス+IT EZ EnterpriseZine Ledge.ai DX MAGAZINE 地方公務員を応援するメディア Heroes of Local Government デジタル行政 データのじかん by WingArc1st |
URL | https://dx-awards.jp/ |
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