人工知能には、ニューラルネットワークを使って、自律的にコンピュータが学習機能をもったAI(Artificial Intelligence)と、特定のキーワードや統計処理などによってデータを検索、解析するCI(Cognitive Intelligence)の2つに大別することができます。身近なところにもこうした技術が利用されはじめています。
インターネットに自動車や機械といったモノ(デバイスやセンサー)がつながることを、IoT(モノのインターネット)と呼んでいますが、あらゆるモノのデータを人工知能技術で処理すればビジネスに有効利用することができます。ビッグデータと呼ばれるソリューションは、AIとIoTを利用した仕組みだと言えます。
例えば、飛行機の飛ぶ航路情報を、スピード、エンジンの回転量、燃料の消費量など詳細なデータを大量に集めて収集分析すると、どの航路を使えば最も燃料が少なく、かつ効率的な運行ができるのかという結果を見つけることができます。アリタリア航空(イタリア)、エバーエアー(台湾)などが、ゼネラル・エレクトリック社が提供するビッグデータサービスを利用して、大幅な燃料消費の削減に成功しています。
例として、首都圏エリアのお客様に定期的にメンテナンスサービスやサプライ品を配送しなければならない、都内複数の店舗に毎日商品を配送しなければならない、といったケースを考えてみましょう。恐らく多くの人は、近い順に行く先の順序を決めて、毎日同じルートを廻るというやり方が多いのではないでしょうか?このやり方が一番効率的だと思われますが、実際は渋滞や時間帯などによって移動時間ロスや燃費効率が悪い、時間内に終わらず残業するといったケースがしばしばおこります。
こうした想定外のムダが生じる理由は、事故や時間帯による渋滞、トラブル、天候など状況が異なるからです。ここに、AI技術とCI技術を使って過去の膨大なデータから行き先を選ぶと「最適な巡回パターンを見つける」といったようなルートを提案してくれます。さらに、この結果に対してAI技術を適用すると、最新の渋滞情報や状況分析から、そのタイミングの最適な提案をしてくれます。
つまり、日常的に利用しているカーナビの地図情報にAI技術とCI技術を組み合わせるだけで、巡回作業が短時間で、省燃費で、誰にでもできる仕事になります。このように、ビッグデータをビジネス利用することで大きな経済効果が期待できると言われている理由です。
先日、工作機械大手ファナックが協業を発表した株式会社PFI社は、東京大学出身のエンジニア集団が2006年に起業したテクノロジーベンチャー企業です。人工知能技術を製造業や通信業などへ提供して、その高度な技術力を製品開発やサービス開発に提供しています。
しかし、こうした高度な人工知能技術は大手企業とテクノロジーベンチャーの協業というものが始まったばかりで中堅中小企業が身近に利用できるにはまだ少し時間が掛かると思われます。
次回は、身近に利用できるビッグデータ技術についてご紹介いたします。
[著]Wingarc1st Official The BLOG編集部
本記事はウイングアーク1st株式会社の運営するThe BLOGに掲載された記事を許可を得て掲載しています。
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