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ここ最近、京急「エアポート急行」の消滅やJR北海道「エアポート快速」の改正など、特別料金が不要な空港急行、空港快速の話題で鉄道界は盛り上がっています。ただ、このような動向はマニアだけでなく、出張や旅行など多くの人にとっても決して他人事ではありません。そこで、普段はあまり注目されない特別料金が不要な空港アクセス列車を取り上げたいと思います。
ここでは日本を代表する国際空港、すなわち新千歳空港、成田空港、羽田空港、中部国際空港、関西空港に乗り入れる特別料金が不要な空港アクセス列車を紹介します。なお、情報は2023年11月25日時点です。
新千歳空港にはJR北海道が乗り入れますが、そもそも特急列車は運行されていません。主力は快速「エアポート」です。新千歳空港~札幌間は約40分、1時間あたり5本の頻度です。朝ラッシュ時間帯と夜間時間帯には停車駅を絞った特別快速「エアポート」も運行。新千歳空港~札幌間を約35分で結びます。
「エアポート」には確実に座れる指定席車両「uシート」を連結。リクライニングシートと大型荷物置きを配し、特急列車並みの設備となっています。成田空港には京成電鉄とJR東日本が乗り入れており、京成は成田スカイアクセス線と京成本線経由の2ルートがあり、それぞれに料金不要な空港アクセス列車を運行しています。ただし、都心へ速くアクセスできるのは成田スカイアクセス線経由です。
成田スカイアクセス線経由の特別料金不要なアクセス特急は1時間あたり1本~2本。都心から羽田空港へ向かいます。所要時間は日本橋駅まで65分です。車内はロングシートを基本とし、リクライニングシートはありません。また、一部の車両を除き、大型荷物置き場はありません。
JR東日本は1時間に1本、千葉・東京・横浜方面に向かう快速を運行。所要時間は千葉までが約50分、東京までが約90分、横浜までは2時間強です。車内はセミクロスシート車とロングシート車があり、リクライニングシートのグリーン車を連結しています。2018年3月までは「エアポート成田」を名乗っていました。
羽田空港には京浜急行電鉄と東京モノレールが乗り入れますが、ここでは京急を取り上げます。京急では羽田空港第1・第2ターミナル駅から都心、横浜方面へ直通列車を運行しています。日中時間帯は羽田空港第3ターミナル~京急蒲田間が無停車(エアポート快特は京急蒲田駅は通過)の都心に向かうエアポート快特・快特は1時間あたり3本です。エアポート快特ですと日本橋までの所要時間は約30分を要します。
ところが、朝ラッシュ時間帯・夕方ラッシュ時間帯は羽田空港第1・第2ターミナル~京急蒲田間の各駅に止まる急行が主体になります。日本橋までは約40分です。車両はロングシート主体で基本的に大型荷物置き場はありません。
中部国際空港には名鉄が乗り入れます。名鉄は有料特急「ミュースカイ」を運行し、特別料金が不要な種別は特急と準急を主体としています。名鉄名古屋駅へ向かうのは特急の利用が現実的です。中部国際空港~名鉄名古屋間の所要時間は約40分、運行本数は1時間に2本です。
車両はクロスシート車両もあればロングシート車両もありますが、特筆すべきはリクライニングシートの特別車。プラス360円で利用できます。
関西空港にはJR西日本と南海が乗り入れます。JR西日本は天王寺・大阪方面の関空快速を1時間あたり4本運行。天王寺駅までの所要時間は約50分、大阪駅までの所要時間は約70分。車両はクロスシートを基本としていますが、大型荷物置き場はありません。
南海も料金不要の空港急行を1時間に4本運行。難波駅までの所要時間は約45分です。車両はロングシート主体で、大型荷物置き場はありません。大阪市内までの普通運賃はJRよりも安いのが特徴です。
このように料金不要の空港アクセス列車は想像以上に多種多様であることがわかります。また、それほど運行本数が多くないケースも散見されます。
それでは料金不要なアクセス列車はどこが便利なのでしょうか。まず運行本数を見ると、JR北海道の快速「エアポート」がトップに挙げられます。約12分間隔という高頻度は魅力十分です。特別料金を要する特急列車を運行していない分、快速列車に統一している感じです。
ところで、快速「エアポート」のライバルの北海道中央バス・北都交通が運行する空港連絡バスが12月1日より料金を改定しました。札幌都心線の一部・真駒内線の1100円区間が1300円、同じく1000円区間が1200円に。現在、新千歳空港~札幌間のJRの料金は1150円ですから、料金面でもJRが優位に立ちます。
速度面でも快速「エアポート」の表定速度は時速70キロを超えます。一方、注目したいのが京成のアクセス特急。成田スカイアクセス線の成田空港~高砂間の表定速度は時速70キロを超えます。同区間における有料特急「スカイライナー」は最高時速160キロを誇りますが、アクセス特急も最高速度は時速120キロと、なかなかの韋駄天ぶりを発揮します。
料金不要ですが、ちょっとのプラス料金でリクライニングシートに座るなら名鉄がお得。値上げしたとはいえ、プラス360円でリクライニングシートに座れる点は評価ポイントです。
偶然ではありますが、全国的に料金不要のアクセス列車に関して、大きな改定があります(ありました)。京急では11月25日に羽田空港から都心、横浜方面へ向かう「エアポート急行」が「急行」に変わりました。停車駅や使用車両は従来のままです。「エアポート急行」の種別幕には飛行機のイラストが描かれていましたが、これも消滅しました。
2023年11月23日付の朝日新聞によると、訪日観光客による誤乗を防ぐために名称を変更したとのこと。従来、羽田空港駅発のエアポート急行でも飛行機マークがあり、訪日観光客が「空港へ向かう列車」と勘違いしたケースが多数あったようです。
一方、JR北海道は2024年春にダイヤ改定を実施します。目玉は快速「エアポート」の白紙改正です。
日中時間帯において、「エアポート」を1本増やし、1時間あたり6本体制にします。うち1本は「特別快速」とし、停車駅を絞ることで速達性を実現。また2本は「区間快速」とし、北広島~新千歳空港間の各駅に止まります。新千歳空港駅から快速「エアポート」通過駅へ乗り換えなしでアクセスできるようになるというメリットがあります。
また、新千歳空港の空港連絡バスの料金改定のように、高速バスの運行事情は年々厳しさを増しています。今後も他の空港連絡バスにおいても料金改定や運行本数の調整などが行われることが予想されます。
つまり、料金不要の列車と空港連絡バスとの競合関係が変わるかもしれない、ということです。来年以降は従来の常識にとらわれず、鉄道と空港連絡バスのコスパ関係をよく確認することをおすすめします。
著者:新田浩之
2016年より個人事業主としてライター活動に従事。主に関西の鉄道、中東欧・ロシアについて執筆活動を行う。著書に『関西の私鉄格差』(河出書房新社)がある。
(TEXT:新田浩之 編集:藤冨啓之)
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