一方で、これまでと全く違うエネルギー源を活用する電気自動車にはエネルギー補給における設備のあらたな設置など様々な課題があります。
そうした中で、電気自動車の普及という面で注目を集めている国があります。それが北欧のノルウェーです。ノルウェーにおける新車販売台数のうち、電気自動車が占める割合は2017年時点でなんと約40%。最新の報道では、新車販売における電気自動車のシェアは50%に達しているという情報もあるほど。
実際にデータをグラフで見てみると、電気自動車の一般販売が始まった2010年代から見ても急激にシェアが伸びていることがわかります。
電気自動車にとって本来は適さない寒冷地であるノルウェーで、何故ここまで電気自動車が一般化したのでしょうか?そこには北国ならではの事情がありました。
真冬には平均最高気温がマイナスを記録するこの国では、エンジンオイルの凝固を防ぐために普通のエンジン車にはブロックヒーターと呼ばれる充電式のヒーターが付いているそうです。そのため車庫などに電源があることが当たり前。従って気軽に電気自動車を充電できるシステムがすでに多くの家庭に備わっていたのです。
また、起伏が激しい地形で河川も多いという地形的な利点があったことで、ノルウェーでは水力発電によって多大な電力を製造することができるのです。
電気自動車の充電をするための充電システムが多くの家庭に備わっていたこと、自然エネルギーによって豊富な電力を保有していること、二つの偶然が重なったことで、ノルウェーは一大電気自動車大国になったのです。
「エコ」が売りの電気自動車ですが、そのエネルギー源として使っている電力がどのように作られたものかによって、場合によってはガソリン車以上に環境に負荷を与えうる可能性があります。
しかし、風力発電や地熱発電のように、自然エネルギーを利用した発電方法が発達する中、うまく使えば触れ込み通り、環境に優しく快適な移動手段となります。
また、日本のように石油などの資源が少ない国にとって、自然エネルギーなどを活用した自国の発電システムで自動車を動かせるようになれば、他国の情勢に左右されることのない安定的な移動手段として一般化する可能性も十分にあります。
環境問題やビジネスなど、様々な角度から注目を集める電気自動車の未来がどうなるのか、今後も是非注目していきたいですね。
参考引用サイト ・電気自動車 - Wikipedia ・電気自動車の歴史(EVの誕生~EVの復活) ・IEA webstore. Global EV Outlook 2018 ・今、中国の電気自動車がアツい!? オート上海のスタートアップEVメーカー ・ JAMA - 世界生産・販売・保有 - JAMA - 一般社団法人日本自動車工業会 ・「新車の4割」EV大国ノルウェーの裏事情 「水力発電が96%」で使わなきゃ ・ヨーロッパの自然エネルギー普及を支える「縁の下の力持ち」 ・ノルウェー、EVシェア5割超え 3月の新車販売 :日本経済新聞
(大藤ヨシヲ)
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