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データで観るサッカー その1:「日本xコロンビア戦」を統計から読み解く!

         

多くのサッカーファンや専門家たちの予想に反して、初戦コロンビアに勝利し、日本代表は最高のスタートを切った。続くセネガル戦も引き分けて合計勝ち点を4に伸ばして、決勝トーナメント進出に大きく前進した。

直前の監督交代、国際Aマッチでのふがいない結果、それに加えて見えてこない戦略、とファンたちも半ばあきらめかけていた2018W杯に期待を持たせてくれたのは本戦前最後のパラグアイ戦だった。前半こそ堅かったものの、後半、チームが理想としていた形で乾が得点したことで明らかに選手たちが躍動し始める。ディフェンスに課題を残したものの、4得点と、それまでのうっ憤を晴らした彼らの試合後の表情はとても明るく、自信に満ちていた。

上り調子で臨んだコロンビア戦

https://youtu.be/6eSyx0djviY

コロンビア戦は、パラグアイ戦で得た自信と、チームとして「上り調子」という状態で試合に挑めたことが勝利、またその大きな要因となったPK獲得に繋がったはずだ。

試合開始直後から、相手を恐れて受けに回ることなく、前線からプレスをかけたことでコロンビアは浮足立つ。前半3分クリアボールに抜けだした大迫はうまく体を使って相手DFを抑えシュート。キーパーの好セーブに阻まれるも、こぼれ球に香川が詰めて再びシュート。それをコロンビアDFカルロス・サンチェスがハンドで止めて日本PK獲得、しかもコロンビアは退場者を出すことになる。

このPKを香川が大胆にもゴール中央に蹴りこんで先制点となった。大迫、または香川がサンチェスに当てることなくゴールしていた場合、退場者が出たことによる数的有利を得ることはなかった可能性もある。そう考えると理想以上の形で得点を挙げることができたと言える。

スポーツにおいてたらればは禁物だが、もし大迫がそのままゴールに流し込んでいたら、試合の結果はまた違ったものになっていた可能性もある。

日本xコロンビア戦を統計で振り返る

今やデータ活用はサッカー業界においても重要な役割を担っている。この試合の統計データを見てみよう。(FIFAによるデータ)

数的有利に立った日本はボール保有率で日本61.2%・コロンビア38.8%と大きく上回った。しかし前半だけに限れば五分五分で、退場者を出した直後は多少の混乱が見えたもののうまく立て直したといえる。

一人当たりの平均走行距離でも、日本が9.815km・コロンビア10.041kmと、コロンビアが勝る。日本の走行距離トップは長友佑都(10.74km)、2位が原口元気(10.15km)。この二人はトップスピードでも原口元気32.2km/h、長友佑都30.2km/hで上位を占め、チームへの貢献度がうかがえる。原口元気のトップスピードは出場していた選手の中でも、運動能力の高いコロンビア選手を抑えて一位だった。

パス成功率は日本が87%・コロンビア82%。日本の上位には昌子源93%、長谷部誠92%、吉田麻也90%と守備を形成するセンターバックと守備的MFである三人が高い成功率をマーク。そして、ここでも原口元気が94%と最も高い数字を出している。走行距離・トップスピードと共に上位に入るが、得点に絡めなかったということは、ディフェンスや自陣でのプレー時間が長く、逆サイドの乾貴士とのバランスもあるのだろうが、本人としてはもう少し攻撃に比重を置きたいのも知れない。また香川真司も92%という高い数字だが、時間がたつにつれてゲームから消えてしまった。

コロンビアで特筆すべきはファルカオのパス成功率90%で、シュートこそ2本に抑えたものの、前線でこのセンターフォーワードがいかに奮戦していたかがわかる。

後半、体力を落としたコロンビアに対し、日本は攻勢を強め、本田圭佑のコーナーから大迫勇也のヘディングで勝ち越し点を挙げる。このコーナーを得るきっかけも、ゴール前で大迫勇也がポストプレーで体を張って、酒井宏樹のシュートを引き出した。後半70分台まで、体格に勝るコロンビアDFと渡り合えるのは、大迫勇也の強さと経験を物語っていて、彼がMVPなのは大いにうなずける。シュート数でも日本14・コロンビア8と倍近く、またボール奪取数もコロンビアの40回に対して日本は46回と、試合を通し数的有利を活かし、集中してプレーしていた。またコロンビアに出されたイエローカードは2枚、レッドカードが1枚、ファウル数が15回であり、対する日本はイエローカード1枚、レッドカード0枚、ファウル数9回、というところからも、コロンビアの苦戦っぷりが読み取れる。

いずれにせよ、この大舞台で同点に追いつかれたにもかかわらず、勝利できたことは、今回の日本代表チームの気持ちの強さを証明した。

しかし前半、失点につながったフリーキックは、南米選手のしたたかさにやられた結果とも言える。長谷部誠のファウルを取られる直前のクリアーミスから生まれたピンチであり、ワールドカップという舞台では、そうしたミスがすぐ相手のビッグチャンスになるという教訓を再度認識する形となった。

平均視聴率48.7%:実際は高かった国民の関心度

とにかくW杯で初の南米チームに勝利、そして対コロンビアには未勝利だったことを思えば、歴史的勝利だということに間違いはない。今回のチームには期待を感じられない、負けるに決まっていると言っていた人たちはどう思ったのでしょうか。試合前のインタビューで「国民の関心は低いようですが」と聞かれ「知らなかった」と答えた西野監督。ところが、ふたを開けてみれば平均視聴率は驚異の48.7%。勝利の瞬間はなんと55.4%を記録した。

勝利に感動し、結局みんな応援している、ということがデータからも読み取れ、色々な意味で満足感の高い第1戦となった。

ちなみに初戦に勝利したチームが決勝トーナメントに進む確率は86%だそうだ。

日本代表の第2戦、日本・セネガル戦のデータ分析記事はこちらからどうぞ。

マシタアツシ

 

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