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非エンジニアが切り拓く、データ界隈の“越境”と共創の場づくり–データ界隈100人カイギキュレーターインタビュー vol.06–データ横丁 臼井 琴美さん

         

事務局運営のエキスパートとして30年、非エンジニアが切り拓いたデータの世界

佐々木:
まず、自己紹介とこれまでの歩み、データの世界に入ったきっかけなどをお聞かせください。

臼井:
社会人キャリアのスタートは、国際機関の事務局スタッフでした。3年勤めた後に上司と一緒に事務局専門会社「ハートウェア21」を立ち上げ、以来30年ほど事務局屋さんとして様々な団体の運営に関わっています。

データの世界に入ったきっかけは、1990年代後半頃。私は非エンジニアですが、日本サン・マイクロシステムズ(以降、Sun)の開発者コミュニティの運営に関わりました。以降、IT業界の事務局屋さんとして認識されるようになったのだと思います。

データ界隈100人カイギ キュレーター 臼井 琴美さん|データ横丁 主宰

佐々木:
データに関する業界の創世記とも言える頃から携わってらっしゃるのですね。

臼井:
はい。当時、Sunが創業期から掲げていたビジョン “The Network is the Computer” に触れたとき、単なる技術の話というより、時代を切り開いていくような空気を感じました。コンピューティングの未来像という技術的ビジョンにとどまらず、「それが社会をどう変えていくのだろう」という、大きな期待感があったように思います。当時のSunの方々とは、今でも親しくさせてもらっているんですよ。

佐々木:
新たな世界に自分から飛び込んでいかれたのですね。
現在取り組んでいる主な活動やプロジェクトについて、詳しく教えていただけますか?

臼井:
そうなんですよ。昨年の夏に、データ実務者のためのコミュニティ「データ横丁」を立ち上げました。
“テーマへの関心で集まる小さなグループ(=店舗)が、連なって横丁(=業界)を形づくっていく”、そんなイメージを込めました。

個人の立場でも気軽に参加できて、好きなことを好きな仲間と自由に楽しめる場所をつくりたかったんですよね。

データ横丁のデビュー戦ともいえる初イベントは、「金融業界のデータマネジメント最前線」。全6回のシリーズで、金融業界の重鎮の方々や金融庁CDOにもご登壇いただき、盛況に開催できました。

もちろん、私ひとりではとても成り立たない活動で、多くのデータ業界の皆さんに支えていただいています。本当に、恵まれているなと感じます。

これからもデータ関連の団体と連携しながら、業界の発展に少しでも貢献できたら…純粋に、そう思っています。

データ実務家コミュニティ。データ実務家を応援する活動として、イベントや情報発信、交流会などを実施。データ関連団体との連携を重視し、業界の発展に貢献することを目指す。

佐々木:
臼井さんは、さまざまな業界において、当たり前になってしまった壁を超える企画をされているとお聞きしました。

臼井:
何が「当たり前の壁」なのかは、正直、自分でもはっきりとは分からないんですよね(笑)。でも、私にできるのは“場をつくること”だと思っていて。

たとえば、金融業界のイベントを開いたときには、製造業の方も多く参加してくださって、
業界を越えたやりとりが自然に生まれました。

この6月から始まる「エンタメ業界のデータエンジニアリング最前線」も、きっといろいろな業界の方が来てくれると思っています。業界特有の工夫や悩みが共有される一方で、他の分野へのヒントも生まれるんじゃないかなあと。

業界ごと×専門テーマのシリーズは、データ横丁の看板企画に育てていきたいですね。とはいえ、コミュニティイベントとして楽しみながらやっていきます。

データ界隈100人カイギに込めた願い──個人が元気になる場をつくる

佐々木:
「データ界隈100人カイギ」との出会いや関わる理由についてお聞かせください。

臼井:
きっかけは、「データのじかん」編集長の野島さんに声をかけていただいたことでした。私は普段、運営側というか裏方の立場が多くて、こうして表に出るのは実はほとんど初めてなんです。

正直かなり心配ではあるんですが(笑)、「データ界隈100人カイギ」の 「未知の領域やリアルな現場に飛び出そう」 という趣旨に触れて、「自分も苦手なことに挑戦しなきゃな」と。頑張ります。

佐々木:
「データ界隈100人カイギ」に対してどんな期待を寄せていますか?

臼井:
社外で同じ立場の人と話すと、ふっと元気になれることがありますよね。これまでさまざまなコミュニティに関わってきた中で、「このコミュニティがあったから乗り越えられた」という声も実際に聞いて、あらためて場の力の大きさを感じています。

昔の集落みたいに、顔が見えて、自然と情報や気持ちが行き交う――そんな場所をイメージしてます。「データ界隈100人カイギ」での、新しいつながりは楽しみですね。

垣根を越えて対話を──団体同士が語り合う場をつくりたい

佐々木:
キュレーターとしてのテーマや思いについて教えてください。

臼井:
データに関わる団体やコミュニティの方々と一緒に場をつくれたらと思っています。データ界隈は、それぞれ専門分野に特化してすごく活発になっていますが、もうデータはIT部門だけのものではなくて、会社全体の経営にも関わる話になってきています。団体同士が経営目線でもつながって、いつもとちょっと違う視点の議論が生まれたら面白いのかなと。

あとは、運営の苦労とか現場あるあるとかも、共有し合える場になるといいなと思ってます。

佐々木:
どんなセッションを企画してみたいですか?

臼井:
出演してもらった団体同士で、「一緒に何ができる?」を考えるセッションはどうでしょう。

佐々木:
それは面白そうですね。
業界が違うと視点も違い、新しい視点で見ることはこれまで扱ってきたデータが一風変わった情報を持つものに見えることもありますよね。

臼井:
そうですよね。

あとは、運営のノウハウを共有するセッションはどうでしょう。たとえば、立ち上げ当初は少人数や熱意ある個人に支えられていた団体が、規模が大きくなると、同じやり方では回らなくなってくることもありますよね。

「属人的になりすぎないよう、でも熱意を冷まさないように」というジレンマもあります。このバランスをどうしているか、私自身も関心あるテーマです。

合理と情のあいだにある“人”──データ界隈の静かな優しさ

佐々木:
実務者として大切にしている価値観は何ですか?

臼井:
私自身は感覚的に動くことが多いんです。そうすると、それがちゃんとロジカルな動きになっているのか、データに裏付けされているのかという裏付けが欲しくなります。私の周りには温和で左脳系の強い人たちがいて、そういう人たちに助けてもらっています。感覚とロジックを接合するように心がけてます。

佐々木:
データ界隈の人は、人を大事にしている方が多いなと感じます。データ界隈なのにデータやツールを持って、その先にいる人にフォーカスを当てている点が面白いですね。

臼井:
データ界隈は心優しい人が多いですよね。

佐々木:
はい。そしてインタビューをしながら、臼井さんのお人柄があって、合理性と人を大事にする考え方が共存したコミュニティができているのだと感じました。

職種や専門を超えて出会う、データを語る場へ

佐々木:
最後に、これから登壇・参加される方へのメッセージをお願いします。

臼井:
登壇を検討している方へは「お願いを断らないでください」というお願いです(笑)。ぜひ登壇してほしいと思っていますので、お願いします!

佐々木:
幅広いステークホルダーと繋がりをお持ちの臼井さんが、「この人に登壇してほしい」と考える方がどんな方なのか、今から楽しみです。参加者にとってこの場がどうなったらいいと思いますか?

臼井:
あとになって「そういえば、あの100人カイギで会いましたよね?」なんて声をかけ合える関係ができたら、いいなって思うんです。

そのきっかけをつくる“ゆるめの仲人”くらいのポジションで、私も動けたらいいなと(笑)

 

データ界隈100人カイギ運営事務局 主催
データ界隈100人カイギ #02
ラーニングヒーロー会

イベント名 データ界隈100人カイギ#02「ラーニングヒーロー会」
開催日時 2025年7月18日(金) 18:30~21:00
会場 ウイングアーク1st株式会社コラボスペース
〒106-0032 東京都港区六本木三丁目2番1号 六本木グランドタワー36階
主催 データ界隈100人カイギ運営事務局
対象者 データに携わる全ての方
・ITツールベンダー
・コンサルタント
・Chief Data Officer(CDO)
・データサイエンティスト
・エンジニア
・ビジネストランスレーター など
参加費・定員 ・現地参加:1,000円(定員:40名)
・オンライン参加:500円(定員:20名)
・学生の方:現地・オンライン参加ともに無料(定員:10名 ※各5名)
URL 2025年07月18日開催|データ界隈100人カイギ#02|ラーニングヒーロー会

 

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