自分たちが本当に欲しい・活かせるDXとは?
サワライズが現場・顧客起点から模索する
未来のDXと組織のかたち

「Rise Your Life.」をスローガンに、次の100年をアップデートするカンパニーとして人を主軸においた多様な生活環境の充実を目指す株式会社サワライズ。本記事では、データのじかん主筆大川真史がワークショップのファシリテーションを行ったサラワイズでのデジタル活用を通じた新たな組織開発プロジェクトをレポートします。

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“越境者の背中を押す”をコンセプトに掲げるデータのじかんでは、次の越境者を生み出すべく、デジタル活用を通じてビジネスや組織で起こるさまざまな障壁に立ち向かう企業・組織・チームの取材を続けています。また、取材からその先のより背中押しになる活動として、デジタル・データ活用を通した筋のいい切り口を見出すためのアイデアワークショップも提供しています。このワークショップを重ねて創発的思考のエッセンスを組織内へと落としこみ、適切なデジタルツールの導入、能力開発、未来事業の解像度を高めていきます。

その事例として、福岡に本社を構える株式会社サワライズのとのお取り組みをご紹介します。サワライズは「人に感動を、街に豊かさを、未来に笑顔を。」というフィロソフィーのもと、現在の事業と社員を活かしつつ、より豊かな未来の価値を探ろうとしています。その一つとしてデジタル活用を通じた、新たな組織開発を進めることになりました。

株式会社サワライズは年間売上77億円/従業員数516名の不動産・鉄鋼事業を中核とし、飲食・エネルギー事業を行っている。(参照:株式会社サワライズHP

その活動は社内に留まらず、ウィングアーク1st 大川貴史氏も講師を務めた「内閣府SIP(My-IoTコンソーシアム)」などにも積極的に参加。そこから今回のデジタル活用プロジェクトに繋がりました。

組織を醸成をするにあたって、デジタルを共通言語にする取り組みの様子をレポートします。

ウィングアーク1st データのじかん主筆 兼 エバンジェリスト 大川貴史氏

講義およびワークショップの目的

  • 1)DXとはそもそも何か?の理解度を深める。
  • 2)社内で必要なデジタル活用とは?を自前で考えるためにどんな方法があるのかを知る。
  • 3)どのような視点をもってデジタル活用に望むのか共通認識をもつ。

当日の流れ

参考:近年のデジタル活用全体の動き

コロナ禍によってデジタル推進は一気に進んだ。またデジタル活用を推進できた企業ほど、労働生産性や売上高が躍進している傾向にある。
各部署を超えて選出したサワライズ社員の皆さん。年代もデジタルへの理解度もさまざま。当日はリアル参加できなかった社員はオンラインで参加。

ワークショップ参加前の声


— デジタルの知見がほとんどないのでこれを機会に勉強したい。—

— 営業課所属だが今のデータを十分に活用できているか自信がもてない。より活用でき、効率化できる方法を見出したい。—

— 得意先の受発注システムが変わった。乗り遅れたくないのでブラッシュアップしていきたい。—

— データ管理担当でこれまでも管理システムを刷新しているが、まだまだ改善の余地はある。業務効率をあげて、半自動から全自動へと進化していきたい。—


このように業務でITツールを使っていながらもまだまだ業務効率に課題が残る、現場においてのデジタル活用へのスコープ設定が想定できず、まずは理解度を上げたいという声があがってきました。

それを踏まえて、講師・大川貴史より「筋のいいデジタル活用とは何か?」のマインドセットができるよう、前半では全国各地で開発・導入されたデジタル事例を、後半ではワークショップを進めていていくことを説明。今回はデジタル活用とは何かを咀嚼し腹落ちすることを目的としていることを参加者と共有しました。

デジタル活用をマクロとミクロの視点から。冒頭ではコロナ禍に伴い、デジタル活用で一人あたりの労働生産性がどれだけ国内でも伸びているか、全体的な潮流を解説しました。その後、全国各地の事例紹介へと移ります。

『現場起点』目線が、コア・コンピタンスの素地となる。

「今日のキーワードは『現場起点』です。論理的・理屈で考えていても、あまりいいアイデアは出てきません。アプローチとして、今日の午前中に困っていたことを解決するにはどうしたら?から考えていく方がいいアイデアは浮かんできます」と大川は説明したのち、もう一つ、DXについての問いを投げかけます。

「生産管理システムを入れ替えてやることが増えたと感じることはありませんか?実は、現場請けが増えたと感じる組織も少なくないんです。データ管理システム自体は、作業支援システムじゃないので、管理をちゃんとやればやるほど大変になっていく。そういった事例は世界的にみてもよくあることなんですね」

と失敗しがちなケースとしてDX起点になってスケールが合わない選択をしようとする、または、経営者目線に偏りすぎて現場が回らず使われなくなってしまうという問題をまずは共有しながら、現場起点の目線とはどういうことか?を説明していきます。

そして、事例紹介へ。ここでは規模感にはとらわれず、しかしながらかなりのイノベーションを生み出しているものを絞りこんで紹介していきました。全てが、現場起点のデジタル活用であることにフォーカスしており、中には魔改造に近いようなUXもありながらも現場によりそうDXとは何かを詳しく丁寧に伝えていきます。

まだニュースでも取り上げられていない数々のデジタル導入の事例をここでシェア。中小企業から個人商店、副業から世界中から発注が来る様になった事業などさまざまな粒度の事例を紹介することにより固定概念のはしごを外していきます。発想のタネが撒かれた時間でもありました。
説明に聞き入る社員の方々。現場起点というイメージがしやすくなったのか、事例を知るごとに表情が明るくなっていくのが印象的でした。
事例紹介では、各種の課題からどんなアプローチで解決したか。その方法と使われているツールの名前やレビューサイトなども抜粋して紹介していきました。

理屈で考えない。着眼点は、現場で今日の午前中に困ってたところから。

そして後半。ワークショップは個人ワークから行いました。もしかしたらできるかも、という可能性を秘めたアイデアとなるよう、日々の業務で使う人やシーンを具体的にイメージしながら出していき、それぞれ発表していきます。

およそ5分間で10アイデア、ほぼ直感で書いていきます。全員がつまづくことなく書き綴っていたのが印象的でした。
その後、発表。各部門ごとに分けてアイデアを共有していきます。
発表者と近い意見のものがあればどんどん付箋を重ねて説明していきます。
続々とホワイトボードに集まっていく社員の方々。ペーパーレスから現場での図面作成について、長期在庫についてなど製造現場ならではの目線でのアイデアがたくさん出ていました。
現場では兼任作業も多くあります。そんな中で重要となるのが「お知らせ」のアラート機能。メッセージの内容や知らせ方などが音か光かによって、効率が変わることも。生の声を聞かないとわからないことです。
アイデアをグルーピングしながら大川からもフィードバック。他社で導入しているツールや活用方法、難易度などを適宜アドバイスしていきます。また、休憩やお弁当についても着目してみては、と意外な視点からも掘り下げていきます。この時間を通じて各部署の問題を共有することで普段どこに詰まりを感じているのか、理解を深めることができました。

DXの副次的効果が最も大事。それは社員同士のコミュニケーション。

ワークショップの熱気が冷めやらぬ中で大川はデジタル活用に置いて最も大事な視点は“明日も使いたいツールにするために試行錯誤を前提とすること”、また、“自らがデザイナーとしてクリエイティビリティを発揮していくこと”だと伝えます。また、デジタル活用での効果はそれだけに留まりません。

「作業効率化を目的としていても、実際には想定外の効果を感じたという企業は多々あります。

明らかに現場の雰囲気が変わってコミュニケーションが円滑化した、アイデアや意見が言いやすくなった、若手社員がデータをきっかけに年上先輩と意見交換ができるようになった、それに伴い人が辞めなくなった、若い人が応募に来るようになったなどいう会社もあります。

データを共有することでコミュニケーションの質が変化していく。これは、経営者からみると業務改善よりも大きい効果だとさまざまな企業から声が上がっています。

皆さんも、まさに今から試行錯誤が始まると思いますが、まずはLINEなど普段業務に使ってないものを試してみてください。小さい変化を面倒くさがらず、面白いなと言える職場環境こそが一番大事です。ベテラン勢を中心にぜひ、そんな雰囲気になる職場を作ってみてはいかがでしょうか」

と、デジタルの裏側にある大事な効果について触れ、第一回の講義は無事に終えることができました。

デジタル活用へのプロセスは、年齢・役職・役割を超えてコミュニケーションを取れるきっかけにもなる。
最後まで集中してメモをとっていました。
今回ワークショップを企画した主催の株式会社サワライズ 猿渡 宣弘 氏。「ITはそもそも、情報を見える化してコミュニケーションをとるツールなんです。なのでコミュニケーションが大事だよという理解のもと、どういうふうに技術を取り入れて行くかともに考えられたらと思います」と総括を述べて終幕となりました。

自分達のビジネスの目的意識を引き出し、デジタル活用の次を予測する組織にしたい。

ワークショップ参加後の声


— 非常に積極的に参加している印象があってよかった。雰囲気が大事なんだと改めて思ったし、日頃の業務もこの雰囲気で意見が言えるようになったら必ず出口が見つかる気がした。—

— 課題が見えてもどんな手段やどういう風に解決するかわからなかったけれど、他の企業の事例をみてまだまだやれることはあるなと可能性を感じた。—

— 固執した考えに寄りがちだったが、これを機に変わっていきたい。—

— 雰囲気がよく考えを柔らかく出すことができた。IT=自動化のイメージだったけれどコミュニケーションにつながると聞いて考え方を変えようと思った。—

— デジタルに弱い人間でも今までで一番わかりやすかった。試行錯誤してみんなで最終的な目標を目指していくことが楽しみです。—


最後に、個別に猿渡宣弘様に感想と今後の活動方針を伺いました。

「第一回目より皆の意見が活発に出ていたのはとても印象的でした。また、今回のデジタル活用プロジェクトを通じて、まずは自分達のビジネスの目的意識を問う必要性も同時に感じています。私自身も大川さんと同様、社員全員がデザイナー目線を持てると思っています。課題をそのままにするのではなく、かたちにできるのがデザイナーです。自動化の先にある絵をしっかりとデザインできるように社員の中にある起業家マインドを育てながら、新しい未来のかたちを見出したいと思っていますし、自分もそこまで引っ張ってやっていかないとと思っています」

自分達にあったデジタルツールの導入だけでなく、その裏にある各々のコンピテンシーを活かし、また次のステップを踏み出そうと考えるサワライズ。今後どのような変化を遂げるのか、引き続き伴走を続けたいと思います。


大川 真史 氏(写真右)
ウイングアーク1st株式会社 データのじかん 主筆 兼 エバンジェリスト
IT企業を経て三菱総合研究所に約12年在籍し2018年から現職。専門はデジタル化による産業・企業構造転換、中小企業のデジタル化、BtoBデジタルサービス開発。東京商工会議所ものづくり推進委員会学識委員兼専門家WG座長、東京商工会議所東京の将来を考える懇談会学識委員、明治大学サービス創新研究所客員研究員、内閣府SIPメンバー、Garage Sumida研究所主席研究員、Factory Art Museum TOYAMA DXエヴァンジェリストなど兼務。経済産業省・日本経団連・経済同友会・各地商工会議所・自治体等での講演、新聞・雑誌の寄稿多数。直近の出版物は「マーケティングDX最新戦略」「最新マーケティングの教科書2021」(ともに日経BP社)


猿渡 宣弘 氏(写真左)
株式会社サワライズ
「Rise Your Life.」をスローガンに、次の100年をアップデートするカンパニーとして人を主軸においた多様な生活環境の充実を目指す。事業は多岐に渡り、不動産開発、製造業、医療介護、教育、レジャーと主に福岡でさまざまな事業展開を見せている。今回訪問したフューテックセンターでは、鉄鋼事業のみならず、ドローン、ランドリー事業と新規事業を生み出し続けている。ホームページ:https://www.sawarise.co.jp


(取材・テキスト・写真:フルカワカイ 編集:野島光太郎)

 

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