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ここ数年で一気に世に知られるようになったワードの一つに、「インフルエンサーマーケティング」があります。
SNSや動画投稿サイトにおいて、多くのフォロワーを有し、多大な影響力をもつインフルエンサーたち。彼らの影響力を活用して、商品やサービスの紹介、宣伝を行うのがインフルエンサーマーケティングです。そして、その市場規模は急速に拡大しています。
例えば、2018年に消費者庁が発表した「口コミサイト・ インフルエンサーマーケティングの動向整理」内に記載された「2015年以降の国内のYouTuberの市場規模」を見てみましょう。2015年には33億円だった市場規模が、わずか2年後の2017年には219億円まで拡大しています。この数字は今後も伸びると予想され、2022年には579億円まで拡大する見込みです。
さらに、同調査内では、「インフルエンサーを活用した広告マーケティング活動を行う企業の割合」も公開されており、調査を行なわれた115社のうち、実に59%がインフルエンサーマーケティング施策を実施していると回答しました。
つまり、インフルエンサーマーケティングは今後のマーケティング施策において欠かすことのできない存在となっているのです。
企業はフェイクインフルエンサーを見抜けているのでしょうか?その是非を問うにはインフルエンサーマーケティング企業のMediakixが行なった興味深い実験結果が参考になるのではないでしょうか。
同社が行なった実験は、2種類の偽アカウントを作成し、フォロワーやエンゲージメント(いいねやコメント)を購入し、有償でブランド契約ができるか否か、というもの。そこで、この2つの偽アカウントのフォロワーが1万人に達した時点で、インフルエンサーマーケティングを仲介するサービスを利用したところ、各アカウントにつき2件ずつ、計4件の有償ブランド契約を獲得したそうです。
この結果は、企業側がフェイクインフルエンサーを見抜くことはなかなか難しいということを教えてくれます。
では、いったい何を見ればフェイクフォロワーを見抜けるのでしょうか?
その問いのヒントとなるのが、 インフルエンサーマーケティング企業Captiv8が行なった「フェイクフォロワーを見抜くためのデータ調査」です。
同社は、Instagram上で認証マークのついたアカウントから無作為に5000アカウントを抽出し、2018年8月から11月までの90日間におけるフェイクフォロワーの数やエンゲージメント率からフェイクインフルエンサーを見抜けると報告しています。各アカウントはファッション、エンタメ、旅行、美容、ゲーム、フィットネス、育児、食、ペット、芸能人・セレブの10カテゴリに分けられデータ化しています。
そこで、今回はこの調査レポートから、フェイクインフルエンサーを見抜く基準を紹介していきます。
フェイクフォロワー率が最も多かったカテゴリはファッションで14%、最も低かったカテゴリが芸能人など、もともと有名だったインフルエンサーで、4%でした。それが意図的なものか否かは置いておいて、ほとんどのインフルエンサーのフォロワーにフェイクアカウントが入っていました。
ですので、多少のフェイクフォロワーを有している場合は問題ありませんが、このグラフの値よりも著しく高い場合は注意が必要でしょう。
ちなみにフェイクアカウント率が高い国は、インドネシア、ベネズエラ、フィリピン、トルコ、インドだったそうです。
インフルエンサーの平均的なフォロワー増加率は、1.2%だったそう。レポートでは、特にイベントもない状態で、平均的なフォロワー増加率がこれよりはるかに大きい値をとっている場合、フェイクアカウントである可能性が高いと警告しています。
また、普段の投稿とスポンサー付きの投稿について、フォロワー数に対するエンゲージメント率(いいねやコメント)をカテゴリ毎に調べたところ、 どのカテゴリにおいても、スポンサー付きの投稿のエンゲージメントは普段の投稿のエンゲージメントに比べて低い値をとるということがわかりました。
この結果を受け、レポートでは、エンゲージメント率がこの値よりも著しく低い場合はフェイクインフルエンサーである可能性が高いことを示唆しました。
もし同様のアカウントを見つけた場合はボットやフェイクアカウントなどでフォロワーが埋め尽くされていないかチェックする必要があるとレポートは述べています。また、普段の投稿に比べスポンサー付きの投稿のエンゲージメントが高いアカウントについては、警戒する必要があるでしょう。
という三点です。
ちなみに、上述のフェイクフォロワーは診断サイトやアプリを使えば見ることができますし、エンゲージメント率はフォロワー数にいいねやコメント数から大まかに算出できます。
Captiv8はこの調査を通じて、「より効率的にインフルエンサーマーケティングを行うために、フェイクフォロワーや偽のエンゲージメント率を正しく見分けることが必要です。そのためには、インフルエンサーたちのパフォーマンスをベンチマークし、SNSに同時たマーケティング費用の本当の効果を測定すべきだ」と述べています。
さらにフェイクインフルエンサー撲滅を目指し、Instagram自体からも、偽アカウントや偽エンゲージメントをAIで検出しコメントを削除したりフェイクアカウントに警告を出す、という動きが出てきています。
今回の調査結果を見て、今後企業が効果的にインフルエンサーマーケティングを行うためのデータがまだまだ不足しているな、と感じました。
実際、消費者庁の調査において「インフルエンサーマーケティングの課題」の上位には「効果が分かりにくい」や「効果計測がしにくい」という意見が上がっていました。企業と顧客を正しくつなぐため、きちんと費用対効果を測定していきたいですね。
【参考引用サイト】 口コミサイト・ インフルエンサーマーケティングの動向整理 | 三菱UFJリサーチ&コンサルティング インスタの「偽インフルエンサー」を見分ける方法 | Forbes Japan Instagram、フェイクないいねやコメントをAI検出で削除へ ツール悪用アカウントに警告 | ITmedia News
(大藤ヨシヲ)
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