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データで見る国際結婚の動向。日本初の国際結婚はいつ?そして国際結婚の闇に見え隠れする人権問題とは?

         

国際結婚数の乱高下の背景にある、「アジアの花嫁」という闇

しかし、国際結婚数のグラフを見ると、不自然なほど数値が上下しています。国際結婚数が5万件に届かないほどの数値にも関わらず、数値は毎年数千単位で変化しているのです。

この背景には、「アジアの花嫁」と呼ばれる人身取引の問題があります。

まず、国際結婚における日本人、外国人の男女の組合せ別に婚姻数をグラフ化した以下の図を見て下さい。

出典:人口動態調査

妻が日本人、夫が外国人の国際結婚はこの50年間比較的なだらかに変化しているのに対し、夫が日本人、妻が外国人の国際結婚は、1980年以降、値が上下に大きく変化していることがわかります。

したがって国際結婚するの乱高下の原因は、夫が日本人、妻が外国人の国際結婚にあると考えられます。

そこで、値が特に大きく変化している2000年前後や2005年前後に何があったのか、調べてみました。

すると2000年と2005年に人身取引対策が強化されていることがわかりました。 2000年には、国連において「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人(特に女性及び児童)の取引を防止し、抑止し及び処罰するための議定書」(略称「国際組織犯罪防止条約人身取引議定書」)が採択され、人身取引の規制が国際的にも強くなりました。 また、2005年には、日本国内で、人身売買罪の創設等を内容とする「刑法等の一部改正案」(含む入管法改正)が施行されています。

こうした規制の背景の一部には、結婚仲介業者を介してアジアなどの貧困地域から日本に嫁いで来る「アジアの花嫁」という問題があります。女性たちは、貧困に喘ぐ家族を救うため、あるいは自分の生活を変えるために、異国のお金を持っている男性の元へと嫁いでいきます。場合によっては、家族によって売られ、母国語しか話せず状況も分からないまま日本へ来るという人もいるそうです。

結婚仲介業者を介する結婚においては、男性側が仲介業者に手数料や花嫁資金などを支払うことで取引が成立するということです。このようなジェンダー的に非対称かつ営利的な結婚は世界各国で問題視されており、年々規制が厳しくなってきています。

グラフをみると2010年代後半になると、数値の乱高下が少しずつ治まってきているように見受けられるため、日本においては、様々な規制によって結婚による人身取引は少しずつ解消されていると考えられます。調べてみると、このような事例は他国においても多く存在するようです。

まとめ

今回、調べたことをまとめると以下のようになります。

・日本において、国際結婚をしても国籍は基本的には、変わらない
・イランやアフガニスタンなどの一部の地域では結婚と同時に自動的に国籍が付与される場合があるため確認が必要
・国際結婚をすると自分を筆頭とする戸籍が作られる
・結婚相手の名前は戸籍に記載されるが苗字を一緒にする必要はない
・80年代から2010年代前半にかけて、国際結婚数は大きく乱高下を繰り返している
・数値の大きな変化には人身取引規制の強化など制度の変化が関係している

インターネットやモバイル端末が発達し、世界中の人といつでもどこでも連絡が取れるようになった今、国籍にかかわらず、誰もが好きだと思う相手と結婚できるようになるというのはとても素敵なことだと思います。

一方、結婚という人生の祝い事が人身取引のような悪事に繋がることもあるため、規制や手続きについてより慎重に考える必要があるのかもしれません。そうした中で、国際結婚数がどのような変化を見せるのか、は一つの大きな判断の基準になっていくのではないでしょうか。

参考引用サイト
・ 人口動態調査 人口動態統計 確定数 婚姻
日本における人身取引対策の現状と課題 - 国立国会図書館
国際結婚 - Wikipedia
国際結婚と国籍、戸籍との関係について | オリ行政書士事務所
法務省:国際結婚,海外での出生等に関する戸籍Q&A
結婚仲介業と移民の花嫁たち:ぼやける境界線 - 国連大学

(大藤ヨシヲ)

 
約50年間に渡る国際結婚の動向をデータで追う

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