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体外受精で生まれた子どもは、11.6人に1人!広がる不妊治療、その実態を探る

         

最近、ニュースなどで、不妊治療についての話題を耳にすることが増えていませんか?
不妊治療を受けるカップルの数は年々増加しており、その市場規模も急速に拡大しています。この記事では、不妊治療の市場規模、増加する治療件数、そしてその背景について、詳しく解説していきます。

不妊治療で生まれる子供の数ってどれくらい増えてる?

以下のグラフは、1985年から2021年までの体外受精で出生した子供の数の推移を示しています。

1985年にはわずか27人でしたが、2021年には体外受精で生まれた子供の数は69,797人に達しました。

こうした背景には、生殖医療の広がりや技術の発達があります。1980年代後半から1990年代初頭にかけて、胚培養技術や凍結技術の進歩により成功率が大幅に向上しました。また、体外受精を提供するクリニックや医療機関が増加し、アクセスが容易になりました。これにより、不妊治療に特化した専門医の育成と施設の充実も進みました。さらに、1980年代後半から1990年代初頭にかけて、体外受精に対する社会的な認識と受容が大きく変わり、不妊治療に対する理解が深まりました。政府や自治体による不妊治療の支援政策が導入され、経済的負担が軽減されたことも、治療を受けやすくした要因です。

産婦人科関連の医療用医薬品の市場規模はどれくらい?

不妊治療市場は、世界的に見ても急速に拡大しています。富士経済の市場予測によると、不妊治療薬など産婦人科関連の医療用医薬品市場は2026年度に1000億円の大台に達するとされています。不妊治療の保険適用範囲が拡大された2022年度には882億円となり、その後も年々3%前後で拡大していくと分析されています。

技術の進歩と市場の拡大:どんな影響があるの?

不妊治療の技術は日々進歩しており、成功率も向上しています。体外受精や顕微授精などの高度な治療法が普及し、より多くのカップルが子供を授かることができるようになりました。これに伴い、不妊治療市場も拡大し続けています。

特に1990年代以降、体外受精で出生した子供の数は急激に増加しています。2000年代に入ると、毎年の出生児数が大幅に増加していることがわかります。これは、体外受精技術の進歩と普及が、この増加の主な要因と考えられます。

不妊治療が広がった背景は?

近年、晩婚化と高齢出産が進んでいます。2015年のデータでは、平均初婚年齢は男性が31.1歳、女性が29.4歳であり、20年前と比べて上昇しています。さらに、女性の第一子出産時の平均年齢も30.7歳と、年々上がり続けています。

不妊治療の技術が進歩し、体外受精や顕微授精などの高度な治療法が普及することで、成功率が向上しています。この技術の進歩により、より多くのカップルが子供を授かることができるようになっています。また、女性の社会進出が進む中で、仕事と治療の両立が課題となっています。

経済的支援も重要な要素です。高額な治療費の負担を軽減するため、2004年から「特定不妊治療費助成」が実施されています。これにより、多くのカップルが不妊治療を受けやすくなっています。

経済的負担ってどれくらい?

不妊治療は高額な費用がかかり、1周期当たりの治療費が高額になることが多いです。さらに、通院期間が長期化することもあり、総額治療費が100万円以上になることもあります。また、通院交通費や宿泊費、サプリメントや漢方薬などの代替医療への出費も大きな負担となります。

富士経済によると、不妊治療薬市場(男女含む)は2022年度155億円(同17.2%増)、2023年度171億円(同10.4%増)、2024年度183億円(同6.8%増)、2025年度189億円(同3.3%増)、2026年度193億円(同2.3%増)と推移するとしています。

他の産婦人科関連市場も伸びている?

子宮筋腫・子宮内膜症治療薬市場も22年度298億円(同6.1%増)、23年度306億円(同2.7%増)、24年度311億円(同1.6%増)、25年度321億円(同3.4%増)、26年度328億円(同2.0%増)と推移し、23年度に300億円を超えると分析されています。レルミナやヤーズフレックスが市場をけん引しています。

保険適用の拡大と自由診療の関係は?

不妊治療をめぐっては、2022年4月に人工授精(AIH)や生殖補助医療が保険適用となり、新規患者が増加しました。ただし、保険適用には43歳未満であることや1子当たり6回までとする条件が付いています。富士経済は、2023年度には35%程度が保険診療での市場規模となり、今後もこの構成比は高まると予測しています。しかし、保険適用の年齢などの条件を背景に、今後も自由診療向けが主体になるとみられています。

おわりに

不妊治療の市場規模は拡大を続けており、技術の進歩と社会的支援により、より多くのカップルが子供を授かることができるようになっています。2025年までの子育て支援の指針として少子化社会対策大綱が閣議決定され、希望出生率1.8の実現に向けた具体的な施策も進められています。経済的負担の軽減や保険適用の拡大を含めた支援策が充実することで、不妊治療を希望する全てのカップルが安心して治療を受けられる環境が整うことが期待されます。

(大藤ヨシヲ)

 

参照元

・2021年体外受精・胚移植等の臨床実施成績|日本産科婦人科学会・不妊治療の実態に関する調査研究 最終報告書・26年度予測 産婦人科関連の医療用薬市場が1000億円の大台に 富士経済調べ

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