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上記のような疑問をお持ちの方がいるのではないでしょうか。
2023年から2025年に日本社会の法制度や社会構造が節目を迎えることで発生が予想される問題を「2023年問題」、「2024年問題」、「2025年問題」と表されることがあります。特定の業界にインパクトを与える問題もあれば、日本社会全体に影響を与え、私たちの日常を変えてしまう可能性がある問題も含まれます。
本記事では、目の前に迫っている2025年問題について、主に影響を受ける業界や政府や企業ができる対策方法を詳しく解説します。2025年問題だけではなく、2030年。2035年問題といった年代別に考えられる問題についても紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
2025年問題の原因は超高齢化社会です。厚生労働省によると、2025年には65歳以上の人口が約3,500万人に達し、国民の約3人に1人が65歳以上、約5人に1人が75歳以上になると言われています。また、認知症高齢者数は約320万人、年間死亡者数は約160万人に達します。
これにより、医療費や介護費が増大することは必至ですし、それを支える現役世代の負担は重くなる一方です。一般的なサラリーマンの保険料率は2025年には31%に増えるとも見込まれています。
また、ありとあらゆる業界で人材不足が進みます。企業経営者には事業継承の問題が生まれます。日本の企業の約9割は中小企業が占めていますが、経営者約380万人のうち、2025年には245万人が70歳を迎えます。そして、そのうち127万人は後継者がおらず、廃業の危機にさらされている現状です。
具体的に問題視されていることを挙げると下記になります。
順に詳しく紹介します。
2025年は「労働力不足」が深刻な問題で、2025年には労働者が583万人足りなくfなると予測されています。日本は1970年に高齢化が進み始め、「高齢化社会」に入りました。そして2007年にはさらに進み、「超高齢社会」になりました。今では高齢者の割合は28%を超えています。
一方で、若者の数や出生率は減り続けているため、労働者不足はこれからもっと深刻になると考えられています。特に労働力不足が深刻なのは情報通信・サービス業で、482万人が不足すると見られています。次に不足が予想されるのは卸売・小売業で、188万人が足りないとされています。今すでに、アルバイトが確保できずに閉店する店も出てきており、この問題はこれからもっと深刻になるでしょう。
日本が高齢化するにつれて、社会保障の支出が急速に増えることが予想されます。特に、医療や介護の費用は国の経済成長率を大きく上回り、増加の一途をたどるでしょう。
例えば、2025年には団塊の世代が全員75歳を超えることになり、その時点での国の経済全体の規模を考えると、介護には今の1.4倍、医療には1.3倍の費用がかかると言われています。さらに、2040年には働き手となる20歳から64歳までの人口が大きく減少するため、その影響で介護には1.7倍、医療には1.4倍の支出が必要となると考えられています。
2025年になると、3人に1人が65歳を超え、5人に1人は75歳以上になると予想されているため、遺産相続の件数が増加する可能性が高いです。65歳以上の高齢者が多く住む家庭の80%が自宅を所有しており、一人暮らしの高齢者でも65%が自宅を持っています。
もし相続が起きて、相続人がその家に住めない場合は、どう活用するか考える必要が出てきます。しかし、家を買う可能性のある30代から40代の人口が減っているため、買い手が見つからずに空き家が増える可能性が高いです。これにより、不動産の需要と供給のバランスが大きく崩れ、家の価格にも影響が出ることに加え、この状況はマンションの価格が下落する可能性もあります。
2025年はありとあらゆる業界に影響を与えますが、ここでは影響が特に深刻であると思われる医療業界と介護業界について取り上げます。
2025年以降、後期高齢者は増大する一方であるのに対し、医療現場を担う医師や看護師は減少し続けることが予測されます。結果的に労働環境や病院経営はますます厳しくなることでしょう。
他方で、2014年に医療コンサルティング会社「グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン」は2025年に14万人の看護師が余ると試算しました。高齢者が増え、若い世代が減少するにも関わらずなぜ14万人もの看護師が余るのでしょうか?
この試算は厚生労働省が「平成26年度診療報酬改定」において定めた高度急性期病棟を約35万7,500床から18万床に減らす方針に基づいています。つまり、「余る」とされた看護師は、急性期にある患者に対して診療密度が高く、高度な医療を提供する病棟で働く看護師を指していることが分かります。現時点で厚生労働省は、2025年には約6万~27万人の看護師が不足するとしています。
2025年には約253万人の介護人材が必要とされますが、約38万人不足するだろうとの見通しが立てられています。介護人材が不足すれば、いわゆる必要な介護を受けられない「介護難民」や独居高齢者も増加することでしょう。
2025年問題に対して今できることや対策を紹介します。
それぞれでできる対策を紹介します。
まず政府が行なっている2025年問題への対策は下記が挙げられます。
順に紹介します。
地域包括ケアシステムとは、医療介護総合確保促進法によると、「地域の実情に応じて高齢者が、可能な限り、住み慣れた地域で、その有する能力に応じ、自立した日常生活を営むことができるよう、医療、介護、介護予防、住まい、および自立した日常生活の支援が包括的に確保される体制」のことです。
できるだけ在宅で生活を送れるように地域が連携することで医療費・介護費を抑制すると同時に、できるだけ病気の予防を行うことで重症化する前に適切な医療を地域で提供できます。
現在でも多くの人が医療・介護現場は過酷なイメージを持っています。給料アップや職場環境の改善に向けて、国はさまざまな対策を講じています。同時に他の業界と同様、介護ロボットやITの活用も積極的にすすめ、2025年に向けて人材を確保することが必要です。
2025年問題の中で社会保障費の増大を紹介しましたが、その社会保障費を安定して確保するために公費負担の見直しを政府は行なっています。
厚生労働省の「今後の社会保障改革についてー2040年を見据えてー」によると、2025年から15年後の2040年まで視野を入れて、社会保障の給付と負担見直しに手をつけているようです。
具体的には下記が挙げられます。
上記のような対策・制度の改正によって、平成31年度(令和元年度)には1200億円程の公費抑制につながっています。
次に、2025年問題に対して企業ができる対策を紹介します。
それぞれ紹介します。
2025年問題に対する企業の対策としては、公的支援の活用による事業承継の進行が挙げられます。
高齢者が増える現代において、企業は働き手を見つけることが重要ですが、新しい従業員を見つけるのが難しくなるのが現状です。したがって、国や自治体の支援を受けることが大切です。
具体的に高齢者を雇うための機会を増やすためには、以下のような支援制度を使うことで、高齢者を雇いやすい環境を作れます。
上記のような公的支援を活用して、事業承継を進めましょう。
2025年問題で企業ができる対策としては、多様な雇用形態の導入が挙げられます。
高齢者が増える中で、仕事をしながら家族の世話をする「ビジネスケアラー」も増えています。これからの企業には、彼らが力を発揮し続けるためのさまざまな働き方を提供することが欠かせません。
具体的には、「短時間正社員制度」は、正社員として安定した収入を得ながらも、フルタイムより短い時間で働けるというメリットがあります。このような働き方を導入する企業はまだ多くありませんが、これから増えるビジネスケアラーのためにも、制度の導入を考えてみる価値はあるでしょう。
また、専業主婦や働きたいと考えている高齢者など、まだ働ける「潜在労働力」を雇用することも重要です。さまざまな働き方を提供することで、会社の人手不足を和らげることが可能です。潜在労働力の人たちは長時間働くのが難しいこともあり、パートやアルバイトとして雇われることが多いですが、彼らがその働き方を選んでいるなら、会社にとってもメリットがあります。働き方にこだわらず、幅広い視点で人材を探すことで、多様な人材を確保できるのです。
2025年問題に企業が対策できることとして最後に紹介するのは、DXの推進です。
労働者が不足している状況で、生産効率を保つか高めるためには、デジタルトランスフォーメーション(DX)を進めることが欠かせません。デジタル化によって仕事の効率が上がるだけでなく、人的ミスも少なくすることができます。
DXの進行は、いわゆる「2025年の壁」とも深く関連しています。経済産業省が2018年に出した「DXレポート」によると、約80%の会社が古くなったシステムに頭を悩ませていると答えています。DXを進めるためには、まず経済産業省が出している「デジタルガバナンス・コード2.0」を見てみましょう。
そして、経営者は自分の会社のDXをどう進めるかを決め、実際の現場も巻き込んで取り組むべきです。
また、DXについてもっと詳しく知りたい方がいましたら、下記のデータのじかんにて詳しく紹介してますので、ご覧ください。
2025年問題と一緒に押さえておきたい社会問題を紹介します。
順に紹介しますので、2025年問題とともに押さえておいてください。
ここでは、2023年問題を引き起こすとされている2つの原因について取り上げます。それは、時間外労働の割増賃金の引上げと、不動産の空き室率の上昇です。
以下で一つずつ解説します。
2023年問題を引き起こす原因の1つとして指摘されているのが、時間外労働の割増賃金の引上げです。2010年4月1日から一定規模を超える大企業に対して、月60時間を超える残業の割増賃金率を50%にすることが義務付けられていましたが、2023年4月1日以降は中小企業に対してもその制度が適用されるようになりました。
割増部分を有給休暇として代替することも可能ですが、労使協定の締結や本人の希望が条件となりますし、25%の割増賃金は支払う必要があります。従業員にとっては有難い法改正ですが、企業側、特に中小企業にとってはコスト高は経営に大きな影響を与えます。
日本の人口は2008年をピークに減少しつづけていますが、単独世帯や核家族化などにより、世帯数は上昇傾向にありました。しかし、それも2023年をピークに減少していくといわれています。世帯数が減れば不動産の空き家率もそれに伴って上昇します。
個人向け不動産だけでなく、都心を中心にオフィス需要のバランスが崩れることも懸念されています。2023年は「虎ノ門ヒルズステーションタワー」や「東京三田再開発プロジェクト・オフィスタワー」など、大規模オフィスを備えた再開発の竣工が相次ぎます。ただでさえコロナ禍などによりテレワークが浸透し、オフィス面積を抑える大企業が増えている中で、企業向け不動産の過剰共有により、借り手がつかないビルも増えているのです。
2024年問題の原因を端的に言えば、2024年4月1日以降、働き方改革関連法の一環として年間の時間外労働時間の上限が適用されることです。この上限規制に違反すれば、6カ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金に処されます。
そもそも働き方関連法は大企業では2019年4月、中小企業では2020年4月から施行されており、原則として時間外労働の上限は月45時間、年間360時間に制限されました。労使間協定を結んでも年720時間を超えることはできません。
しかし、この上限規制が2024年まで5年間猶予された5つの業務が以下の通りです。
「2030年問題」とは、子どもの数が減り、高齢者の割合が増えることで生じる社会問題です。この問題は特に高齢化率が31.8%に達し、働く年齢の人口が不足することで深刻になると考えられています。
少子高齢化と働ける人口の減少に対応するためには、働きやすい環境を作ることが求められます。年齢だけでなく、実績や成果に応じた給料を導入すれば、働く意欲を保ち、スキルアップを促進できるでしょう。これにより、仕事を辞める人も減ると考えられます。
さらに、一度仕事を辞めた女性や意欲のある60代・70代の高齢者など、多様な人材を雇用することも「2030年問題」への解決策です。これら「潜在労働力」としての人々を活かせば、労働力の不足を緩和できるでしょう。
「2035年問題」とは、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になることで、私たちの社会にどんな影響が出るかという問題です。日本の人口が1億1200万人まで減ると言われている中で、高齢者の数は増え続ける一方です。この問題は経済や医療の分野にさまざまな影響を及ぼすでしょう。
例えば、経済では下記のような問題が心配されています。
医療の分野では、必要とされるサービスの増加や多様化、医療従事者への過重な負担、生活習慣病や様々な病気の増加による治療の複雑化などが予想されます。これにより、医療や介護のサービスが上手く機能しなくなり、今のシステムを見直す必要が出てくるでしょう。
「2035年問題」に対処するためには、企業が従業員の再教育や新しいスキルの習得を支援したり、賃金の体系を再検討したりすることが有効です。また、国民が健康で長生きするための取り組みを進めることで、医療サービスへの圧力を減らすことが期待されます。
「2040年問題」とは、働き盛りの20歳から64歳までの人口が減ることで、社会にどんな影響を及ぼすかという課題です。2040年には、高齢者の割合の増加が少し落ち着くものの、この年齢層の人口が全体の半分以下に大きく減ると予想されています。
この結果、働き手が不足して問題が深刻になるだけでなく、公共施設や建物の老朽化といった問題も発生すると見られています。そのため、医療や福祉のサービスを見直す必要があり、政府は医療費をはじめとする社会保障費が財政に重くのしかからないように、国民の健康づくりや病気の予防に力を入れています。また、医療や福祉の現場では、ロボットやAIを使ったサービスの導入や、高齢者の経験を活かすことも検討されています。
2025年問題というような様々な社会問題について考えると、日本の将来について暗澹たる気持ちになるかもしれません。実際、日本社会がどんな状態になるのか、その時になってみないと分かりません。懸念しているようなことは起きないかもしれませんし、状況はさらに悲惨かもしれません。
いずれにしても、大切なことは中小企業であれ、個人であれ、現在分かっている情報や把握しているデータに基づいてできることを行って、可能な限り備えておくことでしょう。
著者:河合良成
2008年より中国に渡航、10年にわたり大学などで教鞭を取り、中国文化や市況への造詣が深い。その後、アフリカのガーナに1年半滞在し、地元の言語トゥイ語をマスターすべく奮闘。現在は福岡在住、主に翻訳者、ライターとして活動中。
(TEXT:河合良成 編集:藤冨啓之)
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