
ラスパは “ラストパートナー” の略で、人生の後半を共に歩む相手を指します。入籍という法的な選択肢に限らず、事実婚、同居しない「別居婚」や週末だけ会う「週末婚」まで、関係の設計は柔軟です。シニアマーケティングの調査では、ラスパは2024–2025年の注目トレンドの一つとして掲げられ、シニアの恋愛・パートナー観のアップデートを象徴するキーワードになっています。
まず日本の年齢構造です。内閣府『高齢社会白書(令和7年版)』によれば、2024年10月1日現在、65歳以上は3,624万人で、総人口に占める割合は29.3%。75歳以上が65~74歳を上回る構造が定着し、人生後半の過ごし方が社会全体のテーマになっています。
一方、夫婦関係のデータを見ると、同居期間20年以上の「熟年離婚」の割合は2022年に23.5%で過去最高。離婚件数全体は長期的には減少傾向にあるものの、長年連れ添った夫婦の離別比率は上がっており、関係の再設計が可視化されています。
こうした構造変化のもとで、「結婚する/しない」の二択から、“自分たちに合う関係の最適化”へと発想を広げるシニアが増えています。シニア向けのトレンド分析でも、ラスパが明確に挙げられ、関心の高まりが示されています。
出会い方も変わりました。独身ミドル・シニア(50~79歳)を対象とした調査では、「結婚相手・恋人がほしい」人が21.5%。そのうち行動に移している層では「マッチングアプリの利用」が最多で、SNSなどと併用する動きも見られます。若年層ほどの利用率ではないものの、デジタルは確実に定着しつつあります。
オフラインの場も活況です。例えば「シニア婚活バスツアー」など、旅行と出会いを組み合わせた体験型のイベントが人気を集めています。安全性や運営設計への配慮(少人数・日帰り・スタッフ同伴など)が支持され、会話のきっかけが生まれやすいのも特徴です。
さらに、ダンス/ディスコのように、みんなでわいわいするイベントのニーズもあるといいます。デイタイム・禁煙禁酒・ひとり参加歓迎といった安心設計のコミュニティが、シニアの外出機会を後押ししていくのではないでしょうか?このようにさまざまな交流のハードルを下げる仕掛けが増えています。
心理面では、孤立リスクの低減や健康行動の継続といった効果が期待できます。日中に安心して参加できるイベントや短距離旅行は、外出の機会を増やし、地域の小売・飲食にもプラスの波及をもたらします。シニア女性においても交流の“再開”が着実に進んでいるといえます。
家計では、アプリ課金やイベント代など“出会いコスト”が新たに発生する一方、二人での支え合いにより、食事の質の向上・運動習慣の維持・通院のサポートなど、生活のQOLに寄与する支出が増える傾向があります。75歳以上人口の厚みが増すなかで、同じ「シニア」でも必要な支援・楽しみ方は大きく異なるため、年齢ではなく生活状態(健康・収入・家族関係)で捉える視点が欠かせません。
ラスパは、法的ステータスよりも「二人にとっての最適解」を重視するムーブメントです。高齢化の進行、熟年離婚の高止まり、オンライン/日中リアルの出会い場の充実という三つの追い風がそろい、「一人で生きる不安」から「二人で整える安心」へと価値観は静かに移行しています。出会いの前段(情報接触)から、旅行・レジャー、住まい、法務・金融まで、人生後半の再設計を支えるサービスは、今後も拡大していくはずです。
(大藤ヨシヲ)
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