静岡県は日本のほぼ中央、太平洋に面し、富士山をはじめとして、海・山・川・湖など豊かな自然に恵まれ、歴史文化や農林漁業、ものづくり産業が盛んで、東海道新幹線・新東名高速道路など交通アクセスにも優れた地域です。
政令指定都市である静岡市・浜松市、施行時特例市である沼津市・富士市をはじめ、人口10万人以上の都市が11市と多く、また首都圏から近いため「産業のデパート」と呼ばれるほど、様々な産業がバランスよく発達しています。
伊豆・富士山周辺を中心に観光地として人気の「東部」、静岡市を中心とする商業や文化が中心の「中部」、国内有数の工業都市・浜松市を中心とする「西部」と産業が棲み分けされた地域構成を特徴としています。
そんな静岡県は、デジタル化を導入するまでの基盤整備や働き方改革推進といった環境整備や人材育成を含めたデジタルデバイトの解消、市町が進めるDX(デジタルトランスフォーメーション)の支援、県庁内の全体最適を意識したDXの推進と県の様々なデータの積極的な利活用を基本方針とした「ふじのくにDX推進計画」に取り組んでいます。
【引用元】「ふじのくにDX推進計画」(令和4年(2022年)3月策定)
静岡県内企業687 社を対象に実施された帝国データバンクの「DX推進に関する静岡県内企業の意識調査」を基に、企業のDXの実態を読み解いてみましょう。
まず、DXに取り組んでいる企業の割合ですが、これは全体の12.5%でこの水準は全国平均の15.7%を下回っています。
また「DXを理解し取り組んでいる」、「言葉の意味を理解し、取り組 みたいと思っている」、「言葉の意味を理解しているが、取り組んでいない」の回答の合計は71.4%と全国平均の73%に近く、“DXへの前向きさ”といった観点では、ほぼ平均に位置していると言えます。
No | 回答 | 結果 |
1 | DXを理解し取り組んでいる | 12.5% |
2 | 言葉の意味を理解し、取り組みたいと思っている | 25.7% |
3 | 言葉の意味を理解しているが、取り組んでいない | 33.2% |
4 | 言葉は知っているが意味を理解できない | 14.7% |
5 | 言葉も知らない | 8.2% |
6 | 分からない | 5.6% |
さらに「DXを理解し取り組んでいる」と回答した企業の割合を企業規模別に見比べると、
と大企業・中小業者は全国平均を3ポイント程下回っていますが、小規模企業は全国平均を上回っており、小規模向けの支援や施策が進んでいると推測されます。
次に「DXを理解し取り組んでいる」と回答した企業の割合を業界別で見比べると、
といった結果を示しており、不動産、建設業の水準は全国平均を上回っているものの、他の業界は全国平均を下回っているため、これらの水準の底上げが現状の課題です。
【引用元】DX推進に関する静岡県内企業の意識調査 | 帝国データバンク[TDB]
人口 | 1,772,267人(2022年2月時点) | |
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面積 | 7,777 km² | |
自治体数 | 35 | |
県内総生産 | 15兆4,231億円(2020年実費) | |
産業 | 農業 | 2019年の農業産出額は全国17位の1,979億円。温暖な気候と変化に富んだ自然環境を利用して数多くの農産物が生産されている。その中でも茶とみかんは県を代表する農産物。温室メロン、いちごのほか、ガーベラなどの花きの施設園芸も盛んに行われており、新技術や新品種の導入により品質の高い多彩な農産物が全国に向け出荷されている。畜産業も盛んで、銘柄牛や銘柄豚の開発、ブランド化にも力を入れている。主要農産物の産出額は、ガーベラは全国1位、茶・切り枝・観葉植物(鉢)・ばら・セルリーは全国2位、みかんは全国3位。 |
林業 | 2019年の林業産出額は全国10位の117億円。栽培きのこ類の生産額は全国5位でわさび根茎は全国1位、まいたけは全国2位、わさび葉柄、木・竹酸酢は全国3位、ぶなしめじは全国5位。製材工場数は全国4位で木工産業は盛ん。地域森林計画の対象とする民有林の人工林面積は約24万haで、人工林率は60%。その約9割の約21万haは、林齢41年生以上となっており、木材として積極的に利用を進める時期を迎えている。こうした課題を解決させるべく、静岡県の「ふじのくに林業 イノベーションフォーラム」ではICTやドローンを始めとする先端技術の導入により林業の効率化・省力化・安全確保等を図る施策に取り組んでいる。 | |
水産業 | 2019年の海面漁業・養殖業産出額は全国7位の491億円。海面漁業では、かつお類・まぐろ類、海面養殖業では、まあじ、内水面養殖業ではにじますが全国1位。さくらえびは国内では駿河湾だけで漁獲される特産品で漁獲量は全国1位。漁業者等による生産関連事業の事業体数は、漁家民宿が全国2位、漁家レストラン・水産物直売所が第3位で漁獲から販売まで手掛けたビジネスがこの地域は定着している。 | |
製造業 | 2019年の製造品出荷額等は全国3位の17兆1,540億円。楽器、プラモデル、パルプ・紙の出荷額、医療機器の生産金額は全国1位。輸送機械、電気機械、木工機械製造業、雛具・雛人形は全国2位で飲料・たばこ・飼料、仏壇の出荷額は全国3位。経営革新や新製品・新技術開発、販路開拓など新たな成長分野に積極的に挑戦し、成功を収めている地域企業も数多くあり、県は日本経済をけん引する“ものづくり県”として企業の挑戦を積極的に支援している。 | |
商業 | 2019年の年間商品販売額は全国11位の9兆6,213億円。平成26年商業統計調査(確報)の年間商品販売額の構成比は、卸売業が5兆7,293億円(60.6%)、小売業が3兆7,225億円(39.4%)で他県と比較して卸売業の割合が10%程高い。卸売業では自動車・電気機械器具などの機械器具が18.2%、農畜産物・水産物、食料・飲料などの飲食料品が 15.5%と多く、小売業では燃料、医薬品・化粧品などのその他が13.5%、各種食料品、食肉・鮮魚などの飲食料品が9.9%と多い。県の農林水産業の生産額は、1985年のピーク時に比べて6割程度に減少しており、近年も横ばい状態が続くなど、全体として右肩下がりの状況。市場のニーズを生産に結びつけ、販路拡大と合わせて、市場に安定して供給できる生産体制を構築し、生産拡大と生産者の所得を向上させることを目的として、海外、国内、県内の市場を見定めた「ふじのくにマーケティング戦略」に取り組んでいる。 | |
エネルギー | 2015年における都道府県別使用電力量(電灯)は全国10位の約77億kWh。2019年の電気事業者の県内調達率は27.3%と低く、電力供給は他県に頼っている状況。そのため県では新エネルギーの普及、エネルギーの地産地消、それに伴う次世代産業を創出する再生可能エネルギーや蓄電池等の創エネ・畜エネなどの促進に取り組んでいる。 | |
企業 | 上場企業 | 52社 |
事業所 | 189,862事業所(2019年) |
農業、水産業、製造業の場合、スマート化といった大規模な設備投資を必要とするケースが多く、また個人・中小企業の単独でのDX推進は困難です。
DXの実践ノウハウ、人材育成、経営相談といった立ち上げ、実証実験や補助金といった導入を支援する地域の自治体・団体、またDX戦略・技術支援を提供している地域の企業を紹介します。
運営者名 | 静岡県 |
プロジェクト・サービス名 | ふじのくにDX推進計画 |
活動・事業概要 |
いつでもどこにいても必要なものやサービスを受けられる、豊かで持続可能な社会の構築 ・暮らす・楽しむ:日々のデータが、日常生活に活用される暮らしの実現 ・学ぶ・究める:場所や時間を選ばずに、知識や技能を共有できる学びの場づくり ・働く・磨く:バーチャルとリアルの融合が生み出す新しい働き方と新たな産業の創出 ・つながる・支えあう:言語や障害等の壁を越えた新しいコミュニティの創造 |
支援・取り組み内容 |
○デジタル化の推進に必要なデバイド対策の実施 ・デジタルリテラシー向上のための教育や啓発 ・情報アクセシビリティの確保 ・利用者視点でのUIやUXの改善 ・デジタルデバイド対策の推進 ・社会的支援体制(世代間交流等)の構築 ○超スマート社会の実現に向けた環境整備 ・デジタル3原則に基づく業務の見直しの徹底 ・県有施設等のデジタル化の推進 ・情報システムの標準化・共通化への着実な対応 ・情報通信基盤整備(5G、Wi-Fi等)の推進 ・デジタルID(マイナンバーカード等)の利活用 ○デジタル技術の実装の促進 ・AIやRPA等を活用した業務の革新 ・スマートフォンアプリ等を活用した啓発の実施 ・災害対策等におけるデジタル技術の活用 ・日常生活におけるデジタル技術の活用 ・各分野における業務のデジタル化 ・地域企業のデジタル化や新たな成長産業の支援 ○新しい生活様式への対応 ・行政手続のオンライン化の推進 ・テレワークの活用やペーパーレス化等による働き方改革の推進 ・民間企業におけるテレワークの促進 ・福祉・医療・産業分野等における遠隔技術の活用 ○データの分析・利活用の推進 ・オープンデータカタログ等の充実 ・EBPMの推進 ・データ連携基盤の活用 ・民間企業のオープンデータ化の促進 ・各分野におけるデータの利活用の活性化 ○デジタル人材の育成・強化 ・産業分野におけるデジタル人材の確保・育成 ・学校教育を通じたデジタル人材の育成 ・行政における専門人材の確保・育成 ○情報セキュリティの強化 ・県・市町における情報セキュリティ対策の着実な実施 ・中小企業におけるサイバーセキュリティ対策の促進 |
設立・運営開始日 | 2022年 |
運営状況 | 運営中 |
窓口 | 静岡県知事直轄組織デジタル戦略局デジタル戦略課 |
公式サイト | 静岡県/ふじのくにDX推進計画 |
運営者名 | (公財)静岡県産業振興財団 |
プロジェクト・サービス名 | 創業・ベンチャー・中小企業を応援 |
活動・事業概要 | 新規開業や独立創業を目指そうとしている方、新分野への進出や事業の多角化など経営革新にチャレンジしている中小企業の方、経営基盤の強化を目指そうとしている中小企業の支援や、企業の研究開発を促進するため産学官連携による支援 |
支援・取り組み内容 | 研修セミナー、助成金、相談、経営革新計画支援、起業・創業、取引・販路拡大、専門家活用、DVD貸出など |
設立・運営開始日 | ‐ |
運営状況 | 運営中 |
窓口 | 静岡県DX推進講座事務局 |
公式サイト | 公益財団法人 静岡県産業振興財団 |
運営者名 | 静岡市 |
プロジェクト・サービス名 | 静岡市デジタル化推進プラン |
活動・事業概要 |
誰もがデジタル化による豊かさを享受できる地域社会の実現 ・行政のデジタル化 ・地域のデジタル化 ・デジタル人材の確保と育成 |
支援・取り組み内容 |
○市民の利便性向上 ・オンラインで完結する行政サービスの実現 ・市民が真に必要とする情報提供の実現 ○行政運営の効率化と生産性向上 ~「早く」「簡単に」「確実な」行政運営~ ・効率的かつ高品質な行政サービスの提供 ・効果的なインフラ整備と管理の実現 ・市民情報を守るセキュリティ対策の継続 ○新たな価値の創出(スマートシティ)~「デジタル技術」と「データ」の活用~ ・新たな都市創造に向けたイノベーションが生まれるまちの実現 ○地域が抱える社会課題の解決 ~「誰もが」「どこでも」~ ・企業DXの促進による地域経済の活性化 ・デジタル・ディバイドの解消 ○デジタル人材の確保と育成 ・デジタル人材の確保と育成の継続 ・デジタル教育環境の充実 |
設立・運営開始日 | 2021年 |
運営状況 | 運営中 |
窓口 | 企画局 デジタル化推進課 地域デジタル化推進係 |
公式サイト | 静岡市デジタル化推進プラン |
運営者名 | 浜松市 |
プロジェクト・サービス名 | 今からでも間に合うDX推進セミナー・相談会 |
活動・事業概要 | 浜松市より委託事業として認定されているK.S.ロジャース株式会社によるDX推進を目的としたセミナーの開催、相談への対応 |
支援・取り組み内容 |
・DXについて学ぶセミナーの開催 ・DX学習動画コンテンツの配信 ・最長6ヶ月の無料コンサルティング ・お困りごと何でも無料相談(1時間) |
設立・運営開始日 | 2021年8月6日 |
運営状況 | 運営中 |
窓口 | 浜松市役所産業部産業振興課 |
公式サイト | 浜松市 今からでも間に合うDX推進セミナー・相談会 |
運営者名 | 静岡鉄道(株) |
プロジェクト・サービス名 | しずおかDXコンソーシアム |
活動・事業概要 |
しずおかDXコンソーシアムは、静岡鉄道、静岡ガス、静岡銀行により設立される、地域のDXを推進するための任意団体。DXに関する実践知を集め、学びを深めるための活動を、静岡県下企業、県外企業、自治体とともに、レッドジャーニーがこの活動を運営・支援。 ・地域のDXの推進に寄与し、地域の競争力を向上させる ・デジタルの関連仕事を創出し、静岡におけるデジタル人材を創出する ・企業間の積極的な交流による新規ビジネスを創出する(オープンイノベーション) |
支援・取り組み内容 |
・定期的なDX勉強会 ・先行事例発表 ・相互相談 ・伴走者の紹介 ・DXを実行・推進する方法の提供 ・成功事例の紹介 ・企業間交流による課題の共有 ・各社の状況における伴走者の紹介 |
設立・運営開始日 | ‐ |
運営状況 | 運営中 |
窓口 | 静岡鉄道(株)CSV推進室内 |
公式サイト | しずおかDXコンソーシアム |
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