最近、日常生活で美容医療について触れる機会が増えたように思います。
実際に美容医療市場の規模は拡大し続けており、それに伴って広告などを目にすることも増え、SNSなどで美容医療体験についての話を耳にすることも増えました。高須クリニックの高須幹弥先生など美容医療業界の方がYouTubeなどで話をする、という場も珍しくなくなってきています。このように美容医療市場が拡大する中で、美容医療を提供する医師の数もここ数年で増加しています。
この背景には、肌治療やボトックスなど、手軽に受けられる施術が一般的になったことがあります。また、これまでは女性が主な利用者でしたが、最近では男性の利用者も増えてきていることも更なる成長を後押ししています。本記事では、美容医療業界の成長と男女別の利用傾向、さらによく受けられている施術について、グラフを交えて分かりやすくお伝えします。
まず、美容医療市場がどれだけ成長しているのかを見るために、美容医療業界の医師数を見ていきましょう。以下のグラフは、厚生労働省のデータをもとに、2010年から2022年にかけての美容医療に従事する医師数の変化を、形成外科、皮膚科、美容外科の3つの分野に分けて示したものです。
このグラフからもわかるように、形成外科、皮膚科、美容外科のすべての分野で医師数が増加しています。特に注目すべきは、30代から50代の医師数が増えていることです。この層の医師たちは、新しい技術や施術を積極的に取り入れ、美容医療市場の成長を支えています。また、60代、70代の医師数も増加しており、経験豊富な医師が市場に貢献し続けていることがうかがえます。。
美容医療といえば、これまで主に女性が利用してきましたが、最近では男性の利用者も増えてきています。
厚生労働省の資料によると、美容医療の施術を自分自身がすることに対して抵抗感・違和感がないと回答した人の比率は、女性10~20代、男性20代で半数以上となっていて、若い世代を中心に美容医療が浸透しているのがわかります。
男性に人気の施術には、ヒゲの脱毛やシミ取りなどがあります。特にヒゲ脱毛は、毎日の手入れが楽になるという理由で多くの男性に選ばれています。また、ビジネスシーンで若々しく見せたいというニーズから、肌のアンチエイジングを目的とした施術を受ける男性も増えているといいます。
ここで美容医療の施術数を見ていきましょう。リフトアップなど、メスを使うような施術は外科的手技、ヒアルロン酸注入や美肌治療、脱毛などメスを使わない施術は非外科的手技と呼ばれています。
厚生労働省のデータによると、それぞれの施術数の推移は以下の通りです。
このグラフからもわかるように、2020年にはコロナ禍の影響で施術数が一時的に減少しましたが、2021年以降、施術数は急速に回復し、2022年には373.2万回に達しました。特に非外科的手技が287.4万回と増加が顕著であり、市場全体の成長を牽引しています。
非外科的手技の急増の背景には、多くの人が手軽に美容医療を受ける時代が到来したことを示しています。特に「脱毛」や「ボトックス(ボツリヌス菌毒素注入)」といった施術が人気を集め、施術数はますます増加しています。
さらに、価格が比較的手頃であることも、非外科的手技の普及を後押ししています。美容医療が「特別なイベント」から「日常のケア」へと変わりつつある中で、これらの施術は定期的に受けることが一般化しています。
一方、外科的手技についても、2020年には減少しましたが、2021年以降再び増加しています。2022年には85.8万回の施術が行われており、特に「眼瞼形成」や「フェイスリフト」といった施術が多くの人に選ばれているようです。これらの外科的手技は、より大きな変化を求める患者に選ばれる傾向があり、効果が持続することから根強い支持を得ています。
美容医療が広がる中で、トラブルも増加中です。美容医療に関する「危害」と登録された相談件数の推移をグラフ化したものが以下になります。
このグラフからも分かるように、美容医療に関する相談件数は、2018年の394件から2023年には796件と、約2倍に増加しています。特に2022年から2023年にかけての増加が顕著であり、美容医療の普及とともにトラブルも増えています。
医療にはリスクもつきものです。美容医療を受ける際には、信頼できる医療機関での施術を選び、十分な情報収集を行うことが不可欠です。
美容医療市場は今後も成長が続くと見られています。特に肌治療やボトックスなどは、技術の進化によりますます手軽に、そして効果的に受けられるようになってきています。今後もより多くの人々が美容医療を身近なものとして取り入れるようになるでしょう。
美容医療は、もはや「特別なイベント」ではなく、「日常のケア」として定着しつつあるのかもしれませんね。
(大藤ヨシヲ)
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