社会で生きていく中で、切り離せないのが賃金の問題です。特に、賃金の下限をきめる最低賃金は非常に重要な経済的指標になります。
今回は最低賃金とは、という用語の基礎から都道府県別の最新の数値までを紹介します。最低賃金から日本の経済についてあらためて見直してみましょう。
最低賃金とは、最低賃金法にしたがって、国が決定した賃金の最低限度のことをさします。
雇用主は最低賃金以上の賃金を支払わなければいけません。
「通勤手当」や「家族手当」などの各種手当を差し引き、時給に換算したものが最低賃金より高くなくてはいけません。
最低賃金には、「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」の2種類があります。
「地域別最低賃金」は産業や職種を問わず、都道府県別に規定された最低賃金で、「特定最低賃金」は産業別に規定された最低賃金です。
両者が適応される場合は高い方の最低賃金以上の賃金を支払う必要があります。
なお、派遣労働者の場合は、派遣先の最低賃金が適用され、支払われる賃金が最低賃金より高くても、派遣先の社員の最低賃金よりも低かった場合はルール違反になります。
それでは、厚生労働省のデータにもとづき、都道府県別の最新の最低賃金を見ていきましょう。
都道府県名 |
最低賃金時間額【円】(令和2年) |
最低賃金時間額【円】(令和元年) |
発効年月日 |
北海道 |
861 |
861 |
令和元年10月3日 |
青 森 |
793 |
790 |
令和2年10月3日 |
岩 手 |
793 |
790 |
令和2年10月3日 |
宮 城 |
825 |
824 |
令和2年10月1日 |
秋 田 |
792 |
790 |
令和2年10月1日 |
山 形 |
793 |
790 |
令和2年10月3日 |
福 島 |
800 |
798 |
令和2年10月2日 |
茨 城 |
851 |
849 |
令和2年10月1日 |
栃 木 |
854 |
853 |
令和2年10月1日 |
群 馬 |
837 |
835 |
令和2年10月3日 |
埼 玉 |
928 |
926 |
令和2年10月1日 |
千 葉 |
925 |
923 |
令和2年10月1日 |
東 京 |
1,013 |
1,013 |
令和元年10月1日 |
神奈川 |
1,012 |
1,011 |
令和2年10月1日 |
新 潟 |
831 |
830 |
令和2年10月1日 |
富 山 |
849 |
848 |
令和2年10月1日 |
石 川 |
833 |
832 |
令和2年10月7日 |
福 井 |
830 |
829 |
令和2年10月2日 |
山 梨 |
838 |
837 |
令和2年10月9日 |
長 野 |
849 |
848 |
令和2年10月1日 |
岐 阜 |
852 |
851 |
令和2年10月1日 |
静 岡 |
885 |
885 |
令和元年10月4日 |
愛 知 |
927 |
926 |
令和2年10月1日 |
三 重 |
874 |
873 |
令和2年10月1日 |
滋 賀 |
868 |
866 |
令和2年10月1日 |
京 都 |
909 |
909 |
令和元年10月1日 |
大 阪 |
964 |
964 |
令和元年10月1日 |
兵 庫 |
900 |
899 |
令和2年10月1日 |
奈 良 |
838 |
837 |
令和2年10月1日 |
和歌山 |
831 |
830 |
令和2年10月1日 |
鳥 取 |
792 |
790 |
令和2年10月2日 |
島 根 |
792 |
790 |
令和2年10月1日 |
岡 山 |
834 |
833 |
令和2年10月3日 |
広 島 |
871 |
871 |
令和元年10月1日 |
山 口 |
829 |
829 |
令和元年10月5日 |
徳 島 |
796 |
793 |
令和2年10月4日 |
香 川 |
820 |
818 |
令和2年10月1日 |
愛 媛 |
793 |
790 |
令和2年10月3日 |
高 知 |
792 |
790 |
令和2年10月3日 |
福 岡 |
842 |
841 |
令和2年10月1日 |
佐 賀 |
792 |
790 |
令和2年10月2日 |
長 崎 |
793 |
790 |
令和2年10月3日 |
熊 本 |
793 |
790 |
令和2年10月1日 |
大 分 |
792 |
790 |
令和2年10月1日 |
宮 崎 |
793 |
790 |
令和2年10月3日 |
鹿児島 |
793 |
790 |
令和2年10月3日 |
沖 縄 |
792 |
790 |
令和2年10月3日 |
全国加重平均額 |
902 |
901 |
- |
出典:地域別最低賃金の全国一覧|厚生労働省
もっとも最低賃金が高いのは東京の1,013円、ついで神奈川県の1,012円となっています。
3位の大阪ではそこから60円近く低い964円。埼玉の928円、愛知の927円と続きます。
続いてこの20年間での最低賃金の全国平均の推移を見ていきましょう。
2000年代前半は660〜70円の間で推移していた最低賃金ですがその後徐々に数値が上がって行き2019年には901円まで上昇しました。
2010年代後半は、毎年20円以上の最低賃金の上昇がみられましたが、コロナ禍に突入した2020年にはわずか1円しか上がっておらず、経済の停滞が見て取れます。
それでは、もし最低賃金で労働する場合、必要最低限の生活ができるのでしょうか?
今回は東京を例に見ていきます。
Webメディア「エネチェンジ」が推計した東京における一人暮らしの生活費の相場は1カ月で約141,863円となっています。
内訳は以下のようになっています。
費目 |
平均額(1カ月) |
家賃 |
76,000円 |
電気・ガス・水道代 |
8,735円 |
通信費 |
8,451円 |
食費 |
43,424円 |
家具・家事用品費 |
5,028円 |
出典:東京での一人暮らしにかかる生活費は?平均額・相場がわかる! | 電力比較サイト エネチェンジ
そして最低賃金で週に5日(月に20日程度)、8時間働いた場合の月収は以下のように推計されます。
1,013(円)×8(時間)×20(日)=162,080円
収入から生活費を差し引くとおよそ2万円が手元に残ることになります。
しかし、ここから税金や医療保険年金などを差し引くとどのようになるのでしょうか?
就職・雇用・給料に関する情報まとめサイト「ファンジョブ」の手取り金額シミュレーターを使って月収から手取り金額を計算してみると、 136,402円となり、実際には5000円程度の赤字になることが分かります。
さらに、生活費には、被服費や娯楽費、交際費や医療費などが一切含まれていません。それらを考慮すると、最低賃金で生活を立てて行くというのは非常に難しいということがわかります。
最低賃金は人々の生活の最低限の保証をできるものでなくてはなりません。しかし最低賃金のみで生活をしていくというのは現実的には不可能に近いのではないかと考えられます。
コロナ禍で経済が停滞する今だからこそ、すべての人が、この社会の中で生活を営んでいくために、今一度、賃金というものについて考えていかなくてはならないのかもしれません。
【参考引用サイト】 ・ 最低賃金制度の概要|厚生労働省 ・ 地域別最低賃金の全国一覧|厚生労働省 ・ 特定最低賃金の全国一覧|厚生労働省 ・ 平成14年度から令和元年度までの地域別最低賃金改定状況|厚生労働省 ・ 東京での一人暮らしにかかる生活費は?平均額・相場がわかる! | 電力比較サイト エネチェンジ ・ 手取り計算|月収と年収のシミュレーション
(大藤ヨシヲ)
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