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Slush Tokyo 2018 レポート:リップル社の野望とその仕組み

         

リップル社の野望とその仕組み

 

 

「価値のインターネット (Internet of Value)」について今日はお話しようと思います。簡単に言うと、インターネット上で情報を移動させるのと同じくらい簡単にお金を移動させる能力のことです。今日の世の中では、メールや写真や動画を世界中どこへでも送ることが可能です。それがどこからやってきたかなんてあなたはいちいち考えないでしょう。ロケーションはもはや関係ないのです。ですが、お金のやり取りが必要な場合、話は別です。その場合は、ロケーションが全てといっても過言ではないでしょう。国外への送金方法は、国内のものと全く異なります。支払方法がたくさんありすぎて、システムを越えた支払いをすることができない場合も多々あります。こんな状況をブロックチェーンで変える、というのが我々のゴールです。

現状では、ブロックチェーンには全ての活用方法に対して1つの設計しかありません。ブロックチェーンがあり、それに対するトークンがあります。テクノロジーが発達するに伴って、この状況は変わってきます。例えば、かつて「自動車」というと一種類しかありませんでしたが、技術の発達と共に、スピードを重視したスポーツカー、荷物がたくさん積めることを重視したトラックなど、使用用途によって異なる種類の自動車が開発されるようになり、人もそれぞれの用途に沿った車種を選ぶようになりました。仮想通貨も同じように用途に沿った通貨が必要となります。

メール送信と同じくらい簡単な支払いシステムを作りたい

リップル社の暗号技術責任者(Chief Cryptographer)デイヴィッド・シュワーツ(David Schwartz)氏

価値を移動させる、という我々の使用用途の場合、決済、証券、知財、音楽、金融商品など資産価値のあるものを移動させる全てが含まれます。これらの使用用途は大抵の場合、支払いを必要とします。証券の取引をする場合、誰かが証券を売り、誰かが証券を買うことで成立するわけです。お金を誰かに貸す場合でも、貸す人は借りる人になんらかの手段を通じてお金を渡す必要があります。お金の動きを考える時、その根本にある支払いは全ての使用用途に関連してきます。そこでリップル社は、根本にある支払いの際に生じる問題をブロックチェーン技術を使うことで解決することに焦点を当てました。

我々のチームは、この業界での経験が豊富な数多くの技術者、規制関連を扱う人、コンプライアンス、マーケティングなど、220名のフルタイム従業員によって構成されています。C++の専門家が多い、というのも特徴の一つです。XRP LedgerはC++で書かれています。価値のインターネットを実現させるために、およそ14人のエンジニアが常にLedgerのセキュリティー、パフォーマンス、機能性の改善を行っています。

リップルのゴールは、情報と同じくらい簡単にお金を移動させるようにすることです。

例えば、ケニアで作られている素敵な商品を目にした時に、支払方法をどうすればいいのか、という問題に悩まされることなく、すんなりと購入することが可能になる、ということです。支払いの過程で発生するその摩擦を消し去りたい、とリップルは考えています。お金をあるところから、別のところへいとも簡単に移動させることができる、そんな世界を実現させたいと考えているのです。

現代の人が支払いに対して欲しい、と思っている機能性は、従来のものと異なっている、ということに我々は気づきました。支払いもグローバル化することが求められているのです。求められているのは、数秒で処理可能なリアルタイム送金です。そしてその確実性です。いつその支払いが行われたかを正確に把握したいと人は考えています。

そしてそれに伴うコストも非常に重要です。経済活動が低コストで実現できる、ということは発展途上国にとって極めて重要な問題です。今ある送金システムでそれは実現していません。その必須条件をクリアできているものは1つもないのです。まったくもってバラバラです。独自のAPIもなければ、他のシステムとの接続もできません。それにエラーも頻繁に起こります。そこで我々はリップルネット(RippleNet)を開発しました。これは、グローバル規模で、他の支払システムにもお金を移動することができる決済システムです。

これに参加しているほとんどは大企業、中小企業、銀行、ペイメントプロバイダー。彼らはネットワークを使った送金を必要としている人たちで、実際に頻繁に送金を行なっています。銀行やペイメントプロバイダーの中にいる人たちが資産との繋がりを持っています。この人たちがお金を保有するLedger(台帳)を運用しているのです。

 

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リップル社が提供している3つのプロダクト:xCurrent, xVia, xRapid

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