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「1人の人間にとっては小さな一口だが、NASAの野菜栽培と火星探査にとっては偉大な飛躍だ」
これは、2015年8月に国際宇宙ステーション(ISS)でケリー宇宙飛行士が、宇宙空間で人工栽培されたレタスを食べた感想をツイッターでつぶやいた言葉です。あれ、どこかで聞いたようなセリフ、と思った方、その通りです。これはアポロ11号が人類初の月面着陸に成功した時に、故アームストロング船長が述べた名言を文字った言葉です。
今回収穫されたレタスは、宇宙で新鮮なレタスを作るプロジェクトVeggieの収穫物。
宇宙レタスを実際に食べたのは、国際宇宙ステーションに滞在しているスコット・ケリー宇宙飛行士、スティーブ・スワンソン宇宙飛行士、そして油井亀美也宇宙飛行士の3人です。
NASAによると、使用した種は当初国際宇宙ステーションに15カ月間ほど放置されており、その後、約30日かけて育てられ、今回無事に収穫されました。収穫されたレタスの半分は冷凍保存され、地球で後日分析されることになっているそうです。
レタスを食べる宇宙飛行士たちの様子はYoutubeにもアップされていますので興味のある方はぜひ動画をご覧ください。
こうして、宇宙でも人工栽培の野菜が食べられる時代ですが、実はこうした野菜工場はすでに私達の身近なところにもあります。
工場でつくる野菜と言えば、きのこ類やもやし、カイワレ大根などのイメージがありますが、最近はレタスやトマト、ハーブなども栽培されています。いずれも、LED照明など人工光を使い、閉鎖された工場環境で栽培されています。しかし、なぜ工場で野菜をつくるのでしょうか?畑ではなく、工場で野菜をつくることにどんなメリットがあるのでしょうか?
経済産業省では、工場で野菜をつくる「植物工場」を“施設内で植物の生育環境(光、温度、湿度、二酸化炭素濃度、養分、水分等)を制御して栽培を行う施設園芸のうち、環境及び生育のモニタリングを基礎として、高度な環境制御と生育予測を行うことにより、野菜等の植物の周年・計画生産が可能な栽培施設である。”としています。そして、「野菜工場」を次の2つのタイプに分けています。
そして工場野菜には、次のようなメリットがあると言われています。例えば、結球レタスを人工光環境下で安定的に生産することの優位性について考えてみると、以下のような優位性があるのだそうです。
野菜工場で栽培されたレタスのメリットは、異物混入のリスクがほぼゼロであることや、品質が均一で一年中安定生産が可能であること、露地の畑よりも圧倒的に細菌が少なく完全無農薬栽培が可能などです。
デメリットとしては、設備投資や栽培技術に費用が掛かることから価格が高いことがあげられます。しかし、価格については今年のように天候不順だと野菜価格が高騰したりするので、外食産業やファストフードチェーンなどにとっては価格が変動せず、一年間を通じて生産量を調整できる野菜工場ならばいずれ採算的にもクリアできそうです。
経済産業省では、野菜工場の事例などをホームページで公開しています。
工場野菜は、レタスやトマト、ハーブなど様々あります。スーパーマーケットで入手可能なものもあるので、興味がある方はぜひ一度食べてみてください。宇宙レタスは残念ながらまだしばらく市場には出回らなそうです。。。
日本の農業は高齢化して衰退しているというニュースも良く聞きますが、こうした逆境をテクノロジーで跳ね返そうとするチャレンジにも取り組んでいるのです。野菜は工場で作るもの、というのが常識になれば、野菜畑が広がる光景、というのは未来の地球には存在しなくなるのかも知れませんね。
(データのじかん編集部)
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