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初期衝動から生まれる、エモーショナルなモノづくり きゅうり農家と薬剤師が語るサービス開発事例

         

欲しいモノを自分で作ったファーストペンギンたち

大川真史氏(以下、大川):いまご紹介いただきました、ウイングアーク1stの大川と申します。よろしくお願いします。

(会場拍手)

ほかのセッションに比べて、なにを言っているのかよくわからないセッションタイトルなのに、今日はお越しいただきまして誠にありがとうございます

(会場笑)

いまからなんの話をするか、ご説明させていただきます。僕の中ではこの先、例えば100年とかの単位で考えたときに、重要な大きな流れになるファーストペンギンみたいな人たちが、今日は3人集まっていただいたかなと思っています。

でも、内容はすごく軽すぎるので、途中で「これ、なんの話をしていたっけ?」というようなことは思わないでください(笑)。気楽な気持ちで聞いていただけると、僕らもすごく助かります。そもそも、こういう会場でやるノリではないですが、すみません(笑)。

(会場笑)

僕はウイングアーク1st株式会社の大川と言います。専門は一応、「デジタル化によってどんな世の中になるか」というようなことを考えることです。

一番重要なのが、今日このあとに同じ会場で「IoTLT」というセッションをやります。(IoTLTは)僕の中だとこれからのセッションと1セットになっているので、もし「今日はこれだけで帰ろうかな」という方は、できればこのあともう1時間弱お付き合いいただければと思います。最後にまともな話をちょっとします。

今日、いまからお話しするのは「欲しいものは自分で作る」ということです。今日のこの場のレギュレーションとして、Twitterを非常に強く推奨しますので、スマホ・携帯をお持ちの方は、積極的にツイート等していただければと思います。

(登壇者の写真を撮影)

……はい。後で上げておきます(笑)。

(会場笑)

というか本当に、どうせ忘れちゃうんです。今日朝から午後までずっといらっしゃった方もいると思うのですが、きっと忘れちゃうので、メモがわりにぜひツイートとかしておくといいですみなさんがそれぞれ忘れないようにツイートすると、あとで絶対に覚えておけるので、やってもらえるとうれしいです。

それから、前半にちょっとお話ししたあとに、後半にQ&Aをやります。そこでなにか質問とか聞きたいことがあったら、このハッシュタグ(#waf)でツイートしてください。もし時間があったら拾えるかもしれません。

そもそも、使いたいモノは自分で作ったほうが早くない?

大川:今日のセッションの趣旨をちょっとだけお話しさせてもらいます。いままでが工業化社会だとして、これからデジタルサービスに社会が移っていくときに、これまでは当然技術がイノベーションの源泉であったものが、「ユーザーインサイトをどうやって確保するか」ということにシフトしていきます。

モノやサービスの多機能・高品質であるということからUXへ。つまり、どれだけユーザーにとってふさわしいものを作れるか・提供できるかということにシフトしていると感じます。そういうことは僕に限らず、わりといろんな人がいま言っていると思っています。

この流れの一環として、工業化社会では高度に分業化されていろんな作業を行っていたのが、「ユーザーインサイトをどうやって取るか」「ユーザーにとって一番いいものは何か」ということを考えたときに、「自分で作るのが一番ふさわしいのではないのか」という考え方もあると思います。

今日話すことをすごく硬く言うと、こういうことになります。ぜんぜんそんな感じがしないんですけど(笑)。

「いいデジタルサービスを作るやり方」というのも、ユーザーが使い続けるサービスを作るものであって、多機能・高品質なものを作るわけじゃないということ。「いいサービス」というのはユーザーが決める。使っている人しか決められなくて、使っていない人は絶対に決めることができません。

サービスを作ったら試してみて、その失敗と修正が多いほどいいサービスになっていきます。いくらユーザーじゃない人がすごく考えても、いいサービスにはならない。そういうロジックになっていると思っています。1日でも早く、1回でも多くユーザーに「ダメ」って言われたほうが、いいサービスになるということですね。

いわゆる「アジャイル」「DevOps」「スクラム」などと言われているようなものは、みんなそういうことを言っているわけです。

「でも」、なんです。今日言いたいのは、こんなことより結局「使う人が自分で作ったほうが早くないか?」ということをテーマに話します。そもそも論な話ですが、今日はそういう話をしようと思っています

大事なのは「初期衝動」

大川:いろんな人に話を聞いてきて、一番大事なのは「初期衝動」だと。なんでわざわざ作ろうと思ったのかという初期衝動から、どうやって自分で作って、使って、うまくよくしていくかがすごく重要だなと思います。

ということで、いまからやるセッションは「欲しいモノは自分で作る。」です。初期衝動で生まれるものがすごくエモーショナルというか、ほかの人たちにすごく伝わりやすいものだったりするということで、「そういうことを実践してみたらどうでしょうか」という意図のセッションをやろうと思っております。

では、お三方をご紹介しようと思います。始めに、きゅうり農家の小池さんです。よろしくお願いします。

(会場拍手)

続いて、管理薬剤師の山口さんになります。

(会場拍手)

最後、のびすけさん。お願いします。

(会場拍手)

最初の2人は「自分で作る人」で、のびすけさんはその作る人を増やす、「作る人を作る人」ということでお呼びしています。ではさっそく、小池さんのスライドに切り替えていただいて。小池さんのお話からおうかがいしていこうと思います。よろしくお願いします。

きゅうりを選別する9つの難解なルール

小池誠氏(以下、小池):小池と申します、よろしくお願いします。私は静岡県できゅうり農家をやっております。もともとは愛知県で自動車関係のエンジニアを7年くらいやっていまして、5年前にそこを辞め、実家が家業として農業をやっていたので、継ぐかたちで実家に入ったという経歴になります。

うちはいわゆる家族経営の、3人でやっている小規模農家で、年間63トンくらいのきゅうりを生産しております。

そのきゅうりを出荷するときに、基本的にはいわゆる選別作業というものを行う必要があります。きゅうりの場合、長さ・色・太さ・曲がりといったような「見た目」を基準にして、9つの等級に分けて市場に運ぶということをやっています。

これはすごく時間のかかる作業で、この仕分けの9個のルールを覚えるというのは非常に難しいんですね。とくに農業の世界はほとんど勘と経験の世界で(笑)。別に基準があるわけじゃないんです。「何センチだったらL」「何センチだったらM」というわけではなくて、ぱっと見、「このくらいの長さはLだ」というような基準で分けているというのがほとんどです。

ただそれは別に悪いわけではなくて、「うちはこういう基準で出す」という、各農家さんがいままでやってきた、いわゆるこだわりの部分です。それで出荷先の方との信頼関係を築いているので、いいところもあるという作業になっています。

ただ、時間がかかって大変で、覚えるのも難しい作業なので、私はこの作業をなんとか楽して、早くできないかということで、いわゆるAI技術を使ってきゅうりの等級を自動的に判別するような装置を自分で作っています

開発は2016年から始めています。(スライドを指して)その当時に作ったのが一番左側の1号機になります。そして、2号機、3号機ときて、いまは3号機のちょっと改良したものを開発しているような状況になっています。

きゅうり4本をたった1秒で判別可能に

小池:AI技術をどこに使っているのかについてです。いわゆる画像認識の技術を使って、カメラで撮ったきゅうりの形などの画像をもとに、人間と同じように9つの等級に分けるというところに使っています。AIの開発も一緒に行っているという状況ですね。

実際に動いているところをお見せします。

(映像再生)

3号機は半年くらい前から実戦投入していまして、こんな感じでいまもう実際に使い始めてます。基本的には収穫してきたきゅうりを発泡スチロールの箱の中にたくさん詰めていって、仕分け場・作業場に運び、各等級の箱に詰めていきます。(スライドを指して)このテーブル上にきゅうりを載せると、ちょうどきゅうりの下あたりに等級が自動的に表示されるような仕組みになっています。

きゅうりをパパッて乗せていくと、ランクが下に出てきます。作業者はそれを見て各箱に詰めていくだけ、といった使い方ができるインターフェースになっています。

これは事前に約3万6,000本のきゅうりの画像を使って学習をしておりまして、だいたい7割強くらいの精度で、人間と同じような判断ができる仕組みになっています。4本を1秒くらいで判断できて、まだ素人が仕分け作業をやるのと比較して、これを使うと1.4倍くらい作業効率が上がるというものになりました。

ポイントはやっぱり、誰でも同じ基準で選別作業ができるというのが非常に役に立つところかなと思っています。とくにこの仕分けルールを覚えるのに、本当に時間かかるんです。なかなか新しいアルバイトの人にお願いすることができなかったことが、やっとできるようになったというところで、効果があったかなと思っています。

農業にITテクノロジーが活きる場面は多い

小池:ここから開発の話になります。私は農家なので、「農家がどうやって開発しているの? 時間はあるの?」というのが、気になるところだと思います。基本的には夜にやっています。(スライドを指して)この表を見ると「1日何時間働いているんだ」というような話になるような気もするんですけど……(笑)。

(会場笑)

基本的には、午前中にわりと体を使う仕事をやっていて、夜に頭を使う仕事をやっているということで……実はこれをやってみて、そこまで大変じゃないと言いますか、非常にバランスが取れているなと思っています。これはある意味、ライフワークじゃないかと思っていて。「午前中に体を動かす」「午後に頭を使う」というのは、すごくいいサイクルで回せているかなと思っています。なので、基本的には夜に開発をしています。

どこで開発しているかと言うと、虫が飛び交うガレージの中にパソコンを持ち込んでいます。なんでこんなことをやっているかと言うと、やっぱり「現場で開発する」というのが、私は非常に重要だと思っていまして。

というのも、フィードバックがすぐ得られるんです。そこで作業をやっていますし、作ったものを一斉に使ってもらって、ダメなところをすぐダメ出ししてもらって……というサイクルがうまく回せるというところで、「現場で開発するというのは非常に重要だな」と思って、私はこういう場所で開発を続けています。

今後やっていきたいと思っていることについてです。いま3号機まで開発しました。ただ、まだいろんな課題がありまして、ちょうどいま4号機を開発している最中になります。もうちょっと、より使いやすい仕組みに変えていこうかなと思っています。

それと並行して……農業ってわりと効率化ができていない作業がたくさんあります。私はどちらかと言うとITが得意だったので、「ITのテクノロジーを使える場面」というのを探してみると、いろんなところがあるんですね。

例えば、最近わりと言われるようになったかもしれませんが、ハウスの環境整備とか。そういったところにAIやIoTの技術を投入していくのも(効率的になります)。正直データを取るだけであれば、個人でできてしまうレベルなんです。

(スライドを指して)あとこれは、灌水量を自動で計測するというシステムです。200円くらいで買ったボタンを付けて計測していて(笑)、そんなものでできてしまったりだとか。あとは数百円で買った湿度センサーとかを付けてデータを取ってみるというのも、わりと簡単にできるような時代になってきたかなと思っています。

こういったものをどんどん作っていって、私の場合はいまやっている農業をいかに楽と言うか、効率化できるようにしたいと思っています。どちらかと言うと、例えば「まっすぐなきゅうりをたくさん作る」という品質を上げるような作業にどんどん時間を使えるようにしていこうかなと、いまがんばっている最中になります。以上になります。

大川:はい、ありがとうございます。もともとバックエンドのエンジニアから始まり、きゅうり農家さんになって、日々農家の仕事をやりながら(開発を)やっていらっしゃいます。聞きたいことはいろいろあるのですが、一旦置いておきまして。

(会場拍手)

薬剤師業の傍らで開発も行う

大川:次に薬剤師の山口さんのスライドにいっていただけますでしょうか。山口さん、よろしくお願いします。

山口洋介氏(以下、山口):よろしくお願いいたします、山口洋介と申します。私は薬剤師をやりながら、「ファーマクラウド」というスタートアップのCEOを兼任しています。薬剤師ですけども、ちょこっとだけPythonを書けます。学部自体は薬学部で、そのあと製薬メーカーに行って、というような経歴の人間です。

スタートアップのほうだけちょっと紹介させてください。

「医薬品流通の非効率をなくして医療コストを下げる」ということをミッションにしているスタートアップで、いまは薬局同士で薬を助け合うプラットフォームを運営しています。(スライドのグラフを指して)グロースはこういう感じで、利用している薬局さんも伸びている感じの状況です。

じゃあ、薬局のほうに話を戻させてください。立地は、最寄駅が御茶ノ水駅、神保町の付近にあります明治大学が近いところにある薬局で、3階にあるのでエレベーターでのぼってもらって。ちょっと暗いんですけど。(スライドを指して)入ってもらうとこういうかたちで、いわゆるふつうの薬局ですね。

こちらが患者さんとお話しするカウンターの内側です。業務用のパソコンは立って操作できるようにしていて、すぐ患者さんに対応できるというかたちで活動しています。患者さんがいないときは、開発したりもしています。

(スライドを指して)こっちは薬置き場ですね。僕らは「調剤室」と言っていて、そこの裏にパソコンを並べて、エンジニアと一緒に(開発しています)。小池さんもおっしゃっていましたけど、現場で開発するということを主にやっています。

ワンオペ薬局の苦しさから脱却したい

山口:本日いただいたテーマですが、ちょっと原点というか……自分がなんでこういう開発を始めたかというお話を最初にさせてください。

私は3年前に開局しました。(スライドを指して)これは1号店と言うか、前の店舗です。当時は受付なしで、(店員は)自分だけ。薬剤師1人で、「まぁいけるでしょ」という軽いノリで開業しました。ただ、ワンオペはめちゃくちゃキツかったです。

(会場笑)

「ワンオペ」でGoogle画像検索すると、(スライドを指して)こういうものが。どっかの牛丼屋さんですね。

(会場笑)

(スライドを指して)こちらが私の薬局です。ワンオペでやっていたときは、こんな感じでした。

(会場笑)

本当に牛丼屋さんの気持ちはよくわかります。患者さんが立て続けに来ると、引き出しを閉める暇もないんですよね。

先ほど小池さんにもけっこう言われてしまったところですが、このスライドで言いたいのは上のタイトルのところで、「効率化してデカくしたい」っていう、その一言だけです。でもそれが本当にキツくて、「なんとかしなきゃなぁ」って考えていました。

そこでまず何を切り取ったか。(スライドを指して)患者さんが薬局に来て帰るまでのサービスをこのように考えます。「処方箋をいただいて、パソコンに入力して薬を取って、患者さんに薬を説明する、そしてお会計」というのがサービスフローです。この赤い部分(入力から投薬まで)が待ち時間になっているんですね。

その薬を触っている時間……専門的には「調剤」と言いますが、この調剤時間を短縮すればいいと。単純だけど間違えてはいけない作業ですよね。でもそれを減らして、患者さんの待ち時間を減らすことができて、しかも患者さんとお話しする余裕ができて、付加価値も見込めるっていうことを考えて、じゃあどうしたもんかと。

同じ悩みを持つ薬剤師はいっぱいいた

山口:具体的に何をやったか。最初は調剤データをアソシエーション分析したらどうかっていうことを考えました。ちょっと細かな話をしていくとすごく時間がかかるので、このトランザクションデータにして……。

(スライド一面を埋め尽くす文字列)

Rでアソシエーション分析して。そうすると、こんなふうになるんです。(みなさんは)何も思わないと思うんですよね。でも、薬剤師はこれ見ると「おぉ」ってなるんですよ。

(会場笑)

よく出る薬の組み合わせが島になってわかる。「これ、すげぇな」と。これはBeforeですが、前は50音順で並べていた薬品の棚を……視認性を上げるために、もちろん付箋を貼ったりはしているんですけども、その組み合わせの塊にしましたと。50音順はもう無視したと。

そういうかたちでやりましたところ、(スライドを指して)調剤時間はだいたい半分近く減らすことができたという成果がございます。1人当たりの短縮時間は短いんですけど、行列になると非常に効果があるということで、だいぶ楽させてもらったところがあります。

本当にキツい作業を楽にして、患者さん・お客さんも満足するということが、現場でやっていればできるんだなと思って。ただ、自分1人しか会社にいないんで、誰もほめてくれないんです。

(会場笑)

なので、Facebookでシェアする。そうすると同業者・薬剤師さんからすごく反応がある。いい反応ばかりです。

こういうのをやったときに、なにを感じたかって言うと、当然ですが、やっぱり同じことで悩んでいる人っていっぱいいるということそれと、これをみんなが使えるようなかたちにしていくことは、非常に大事なんじゃないかなって思って。そこをモチベーションに始めたっていうのが原点かなと思っています。

スマートスピーカーで行う、声だけ在庫確認

山口:いまやっている事例として、スマートスピーカーを使ったお話を最後にタタタッとしようかなと。

薬局というのは適正在庫をちゃんと保つことが必要で、そのために「最近どれくらい出たか」「何人くらい処方されているか」、そこから「何人くらい出そうか」というのを計算するですが、それはもうめちゃくちゃ面倒くさい。

(スライドを指して)ざっと書き出すとこういう感じで、パソコンを触る作業がとにかく面倒くさい。なので、「なにか作ろう」ってことで、当時LINEのBOTで、パソコンに行かずとも触れるっていうものを作りました。でもやってみると、これも意外とUX的にイケてなくて。これはスマホでやったときのサービスフローですが、LINEを立ち上げてピコピコやるっていうのが意外とストレスでした

ごちゃごちゃやっているうちに、Google Homeが発売されました。これは「やった!」と。ですので、こういうかたちで、ボイスで……。

(映像中の山口氏が「ファーマシスト・オンライン」と発声をしてGoogle Homeを起動)

山口:私はアニメの『ソード・アート・オンライン』が好きなので「ファーマシスト・オンライン」って呼んでいます(笑)。

(以下、映像内音声)

Google Home:わかりました。テストバージョンの「ファーマシスト・オンライン」です。

山口:アジルバ錠の20ミリってどれくらい出る?

Google Home:先月から過去3ヶ月で、270錠です。

山口:アジルバ40ミリは?

Google Home:499錠です。

(映像終了)

山口:こういうかたちで、両手が空いたままいろいろできるかたちにしてやってみると、ふつうにパソコンでやるよりも1/5くらいの労力になるということがございました。

これは、みんなが欲しがるんじゃないかっていうことで、パンフレットを作ってプレスリリースを打って売ったら、売れました。

(会場笑)

おしまい、と(笑)。

(会場笑)

ありがとうございました。

(会場拍手)

初心者が「モノを作ってみたい」と思ったときのサポートを

大川:では次に、のびすけさんのスライドに切り替えてもらっていいでしょうか。彼は自分で作るというよりは、作る人を増やすという、もう1歩メタな活動をしている方です。じゃあ、お願いします。

菅原のびすけ氏(以下、菅原):こんにちは、のびすけと申します。僕はいまドットスタジオという会社をやっていて、「モノづくりを楽しめる人を増やす」ということをテーマに掲げて活動しています

簡単な経歴を……「経歴を入れてほしい」と言われたので、ざっくり入れました。こんな感じです。もともと岩手にいて、岩手県立大学ソフトウェア情報学部というところで、教育工学というジャンルでやっていました教育と組み合わせたようなところです。

そのあと大学院までいって、株式会社LIGという上野にあるWeb制作会社でWebエンジニアになるっていうのが、上京したきっかけです。

その中で1年くらい経って、このあと話にも少し出るんですが、Developer Relations(DevRel)っていう領域があって、その事業をやり始め、そのあとに創業したという感じです。いまはデジタルハリウッド大学院の非常勤講師をやったりもしています。

(スライドを指して)これはざっくりしたうちの会社の説明です。モノづくりとかIoTの事業を……IoTって言葉はあまり使わないんですけど、IoTって言葉を言っておくと、とりあえず伝わりやすいので使っていたりしてます。

(会場笑)

たぶん、笑った人はわかっている人ですね(笑)。会社ではIoT周りの研修やハンズオンをやったり、あとは直接教えるということもやるんですけど、やっぱり僕らがやれる範囲はなかなか限られたりします。

初心者向けのデバイスを作って提供したり、初心者が「モノを作ってみたい」ってなったときに、やり始められるようなドキュメントやコンテンツを作ったり、教材を作ったりしています。

「やりたいな」を実現し始めたLIG時代

菅原:LIGって会社は、けっこうオウンドメディア界隈でバズった会社で。「LIG 入社式」で調べると僕の若かりし頃が出てくるんで、見てみてください。ちょっとホストみたいな感じです。

その当時はわりとWebのエンジニアをしていて、このときクリスマスのキャンペーンみたいなことをやったりしていたんですけど、そういう「Webサイトのバックエンドもフロントエンドも両方やる」というような、本当にバリバリのWeb系エンジニアをしていました。

(スライドを指して)当時のブログ記事とかを読み返していたら、こんなのが出てきました。社内日報があって、帰るときにみんな「今日の一言」というようなものを書くんです。僕の上長が、毎回ポエムを投稿するんですよ。それで社内日報に投稿したやつを、わざわざFacebookページを作ってそこに投稿していく、というのをやっていて。

「なんか大変そうだな」って思って、僕がメールで送られてくる日報を抽出して、Facebookページに自動投稿するという機能を作ったんですね。昔はこういうWeb的な知識しかなかったんですけど、「やりたいな」「作りたいな」というものを、わちゃわちゃ作っていたというのが、こういう時期でした。

そこからRaspberry Pi やArduinoのようなデバイスが流行ってきたタイミングで、「ハードウェアも触ってみたいな」って(思って)。Webって、僕からするとパソコンの中とかスマートフォンの中の世界で。その中をハックするというのも楽しかったんですけど、IoTとかが流行ってきたところで、リアルな世界の値を使ったり、リアルな世界に行動を起こしたり、というようなことができるというのがすごく楽しそうだなと思って。「IoT、なんか楽しそう」という感じでやり始めようとしたんです。

やり始めようとしたんですけど、周りに聞ける人がまったくいなくて、ぜんぜんわからないんですよ。「モノを自分で作ってみたいな」っていう感覚はすごくあって、「これ作りたい」っていうのはあるんですけど、Webで調べてもなかなか情報が出てこないし、聞ける人もいない。

「技術障壁を下げたい」という強い想い

菅原:そんな状態で、どうしようかなと思っていて。そのへんのタイミングでこの「IoTLT」というコミュニティをやり始めたんです。周りにいないんだったら、そういうコミュニティを作って、聞ける人に集まってきてもらえばいい。それで僕が聞きたいことも聞けるという状態になればいいな、と思ってやり始めました。これがたぶん、2015年2月とかだった気がします。

そこから毎月開催していて、いまはもう本当に、「国内最大のIoTコミュニティ」という感じになっていて。connpassというエンジニア向けのイベント集客サイトがあるんですけど、そこの全記録の中で2位になるくらいの規模です。

地方開催やスピンオフの企画とかもいっぱいあって、(スピーカーの)お二人もIoTLTに出てくださって。大川さんもスピンオフの企画をやってくださったりして、今日のきっかけは、そのあたりがデカいかなと。

僕が毎月やっている本体の会はだいたい東京でやっていて、100~200人くらいが毎月集まっているという感じです。

そういうのをやり始めたところから、けっこう僕のいろいろな流れが変わってきたのかなっていう感じなんですけど……これくらいのテンションでやると話が長くなりますね。

「技術障壁を下げたい」という気持ちがすごく強くて。企業側は世の中にあるいろんなデバイスやAPIを提供しているくせに、周りのエンジニアたちが使えるような状態にするのにすごく距離があるんですよ。「そこの差を埋めたいな」というかたちで、さらにIoT周りに特化して会社を立ち上げたというところがありますね。

いろいろ作ったりしているんですけど、「なにか作るの、おもしろそうだよね」ってまず思ってもらいたいなっていうのが、IoTLTみたいな場です。IoTLTってライトニングトークする場で、作ったものを発表するという感じなんですけど、まずはそれを見た人に「もっと自分でも作ってみたい」と思わせたいなって思うんですよね。さらに「なにか作ることが楽しいよね」っていうところまで持っていけたらなと思っています。

うちの会社の立ち位置的には、ここですかね。「おもしろそうだな」って思っても、「一歩踏み出してみたい」ってなったときに、作り始めるにあたってのきっかけなど、「ドキュメントだとわかりにくいものを、誰か教えてくれ」とか。そういったところって絶対に必要だと思っていて。

そこの部分を会社を挙げてやっている、というような。事例発信、ハンズオンなどをやっているという感じで、ざっくり締めていきます。

大川:はい、ありがとうございます。

(会場拍手)

 

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