島澤:そして、実際にやってみようと。異常に気がつけば、人は動ける。IoTのいいところはいろいろありますが、1番のポイントは、ここだと思います。例えば、家が火事で、火事だって気がついたら、動けますよね。「今、ラーメン食べてるから、食べ終わってから行くわ」なんていう人、絶対にいないんですよ。
IoTも同じように、なんらかの異常が発生したら、では手を打とうと。これがパッとできるのが、IoTの良さなんです。まずはそれを自分たちで体現しようということで、1号機を開発しました。
これは、その当時の設計図をそのまま持ってきました。ソーラーパネルを設置して、コントロールボックスにいろんなマイコンを入れています。そして、LTE。ソラコムのSIMと連携して、クラウド上のMotionBoardにデータをどんどん上げて、MotionBoard上で可視化する。異常があったときに通知。そういったものを、まず実装してみたというところですね。
ソーラーパネルによってどこでもデータが取れるかたちです。今回、動力は太陽光エネルギーにしようと企画しました。
初号機の画面はシンプルな画面です。ただ、周辺の温度や湿度、土壌の水分量を取得できます。また、PH、気圧なども取得できるものを当時作りました。異常が起きたときには、MotionBoardのアラーム設定で、私のApple Watchと連携する。これが1号機ですね。
いろんなセンサーを付けて……サーモグラフィやカメラなど、いろいろとがんばってみたのがこの1号機です。
でもこれね、ボツ……というか、失敗だったんです。ここに、特別昇圧機というのがあるんですね。これはなにかというと、実はこれが、1号機のコンセプトだったんですよ。ボツになったアイデアを少しだけ紹介すると……。
大畠:デモですか?
島澤:デモです。(スライドを指して)これ、わかります? 電圧を100万ボルトに昇圧する機械で、1号機に内蔵してあるんです。これを使って植物を活性化させようという、けっこう野心的な取り組みだったんです。少しだけやってみましょうか。なかなか怖いので……ちょっと音が大きいですよ。
(バチバチッと大きな音が鳴る)
大畠:おぉっ。びっくりした。
島澤:こんな感じですね。これを内蔵しました。植物はよく「いじめると甘くなる」って言いませんか?トマトは、水をあげないと甘くなるんですよ。つまり、いじめると甘くなる。そこで、いろいろといじめる方法を考えたんです。「スピーカーで罵声を浴びせる」など、いろいろありました。
島澤:(罵声を浴びせるものは)コンプライアンス的によくなさそうなので、今回はこの100万ボルトの電流で、「100万ボルトのビリビリ野菜」というブランドで、甘いトマトでも作ろうかと。
大畠:売れないなぁ……。
島澤:うるさいよ(笑)。
(会場笑)
そう思ったんですけれども、無事にボツになりました。そして2号機です。
2号機はかなり真面目に作りました。きちんと3Dプリンターで出力して、エンクロージャーもしっかりと樹脂を使って、電源ケーブル系も実装しました。
島澤:それぞれのセグメントが、通信系、電源系、制御系と分かれていまして。
(スライドを指して)これは作っているときの画ですね。細かい話なのでパパッと進めます。ラジコンのハンドルのようなものでモーターを制御できるようにすることで、リモートで水やりまでサポートしているのが1つの特徴です。
(スライドを指して)実際に完成したのがこんなかたち。社員に見せたら、爆弾だなんだと、ひどい言われようでした。このユニットによって、いろんなデータが取れるようになっています。
小さな筐体の中に、20系統のデータを取れるようにしています。土壌に関しては6チャンネルをサポートしました。実際には、40を超えるデータが取れるようなユニットを作ってみました。それが(スライドの)左側ですね。
右側がサーボでバルブ制御するものです。実際に、MotionBoardでここからリモートで水をあげたりすることもできるようになっています。では、画面を出せますか。
大畠:そうですね、デモをやりたいと思います。
今の爆弾のようなものですが、すぐそこのミュージアムに小さな模型があるため、興味があったら後ほど見に行ってもらえればと思います。では、デモですね。リアルタイムのセンシングで、取れたデータをMotionBoardで可視化していく内容を見ていただこうかなと思います。
データは先ほど見ていただいた千葉にある農場のデータを、今、リアルタイムでセンシングしてみなさんに見ていただいています。気温が18.6度くらい。湿度が47パーセント。こんな感じですかね。
農園に6棟あるんですけれども、各プラントの土の中の温度や湿度の状態です。見ていただくとわかりますかね。ここは24.27パーセントですが、こちらの2棟目は7.85パーセント。ちょっと水分が足りないですよね。だとすると、このあたりから水を入れていけばいいかな、といったようなデータがわかります。
島澤:そうですね。課題として、センサーをそれほど深く埋められなかったので、作業しているときにセンサーに手が触れたり、そうしたノイズを拾ってしまって、温度が跳ね上がっているところもあります。作業していて、こうしたデータも取ってしまうのが、課題ではあります。
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