「特定サービス産業動態統計調査」とは、経済産業省が実施している統計調査のひとつです。様々なサービス産業の中でも、政治的・経済的に統計ニーズが高いとみられる特定のサービス産業を選び、その活動状況や経営動向を調査します。この統計をもとに、直近の景気動向や雇用動向を理解し、行政の施策や各企業の企画経営の立案へと結びつけることが目的です。
この調査の対象になる特定サービス産業は、時代背景に応じて変更が加えられてきました。たとえば調査開始年である昭和62年には、物品賃貸業(リース、レンタル)、情報サービス業、広告業の3業種のみが対象でした。その後、対象産業は増加し、平成5年には2業種追加(クレジットカード業、エンジニアリング業)、平成12年には12業種追加(葬祭業、結婚式場業やゴルフ場、遊園地・テーマパーク、パチンコホール、フィットネスクラブなど)、平成16年には1業種追加(学習塾)、平成20年にはさらに11業種追加(新聞業や出版業、機械設計業など)されています。途中で対象から外された産業もあり、平成27年の調査では全19業種が対象になっています。
実際の調査では全19業種の企業・事業所すべてに調査票が配られるわけではなく、各業種の年間売上高の約7割を占める、全国または特定の地域の企業・事業所が対象に選ばれ、郵送やオンラインで調査票が配布されます。主な調査内容は、次の通りです。
(1)企業・事業所の名称や所在地
(2)従業員数
(3)月あたりの利用者数や入場者数
(4)売上高や契約高など
(5)その他
これらの項目を総合して調査結果が発表されます。調査結果は経済産業省のホームページから誰でも見られるため、各企業・事業所がそれぞれの目的に応じて活用することができます。政府での利用方法としては、行政施策のための基礎資料や、GDP速報などの景気動向の判断材料としての利用、第3次産業活動指数の基礎資料などへの利用が挙げられます。 また特定サービス産業動態統計調査は、他の統計データとあわせて、消費活動指数を算出するのにも用いられています。消費活動指数とは、特定サービス産業動態統計調査や商業動態統計、各種業界団体の統計などを総合し、消費者の動向を客観的にとらえるための指数です。月ごとや四半期ごとなど、短期的に消費活動を把握できるため速報性の高いデータとして重んじられており、経営企画や施策立案には欠かせないデータになっています。
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