労働生産性とは、従業員が生み出す付加価値額を分析するための指標のです。単純に生産性と呼ばれることもあります。1人の従業員が生み出す付加価値額を指すので、付加価値額を従業員数で割ることによって求められます。労働に投入したリソースを従業員数と労働時間によって求め、付加価値額をその値で割って計算するケースもあります。どちらも従業員が成果を創出する効率を定量化することが目的で、付加価値労働生産性とも呼ばれます。また付加価値額を割るのではなく、生産した数量や販売金額を割って算出することもあり、その場合はそれぞれ物的労働生産性、価値労働生産性と呼ばれ、どれだけ効率的に商品やサービスを生産しているのかを表します。労働生産性のデータを用いて、他の企業と比較したり変化を分析したりすることで、自社の生産活動の現状を把握しやすくなります。
日本は経済大国といわれていますが、労働生産性が高いわけではありません。国際比較を行うと、OECD(経済協力開発機構)に加盟している国の中で、ランキングは半分より下に位置します。日本は世界でも特に勤勉な国として知られており、生活に占める仕事の割合が非常に高いです。また就職前の教育環境も諸外国と比べて劣っているわけでありません。それなのに労働生産性が低いのは、非効率な働き方が原因であると考えられています。違法な残業を課すブラック企業が社会問題になっているように、従業員させることを当然と考えている企業も多く、また残業を避けられないのであれば、急いで仕事をする必要がないと考える従業員も少なからずいるでしょう。また日本の社会は昔から努力ばかりを過剰に賛美する傾向があります。そのため他の先進国と比較して、成果や効率に対する意識が希薄であるといわれています。
労働生産性を上げるための取り組みとして有名なのは、成果主義の導入です。従来の年功序列の給与体系を見直し、成果に応じた報酬を与える方針に変更した企業もあります。実践方法としては、最初に明確な目標設定を行い、期末に厳密な評価を行うのが一般的です。評価は上司の主観ではなく、具体的なデータを用いて客観性の高い手法で行います。これにより有能な従業員や若手の労働意欲が高まり、生産活動の効率の向上が期待できるとされています。また業務の自動化を推進することにより、労働生産性を上げる企業も多くあります。最新の産業用ロボットを導入したり、ルーチンワークの自動化プログラムを開発したりすることで、生産量を維持しながら従業員数を抑えることで労働生産性が向上します。
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