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CES2024に参加して改めて感じた一次情報を取りに行く大切さ –世界の一次情報からDXの光を照らす「World DX Journal vol.01」

「データのじかん」の新特集、「World DX Journal」へようこそ!世界中で巻き起こるデジタル変革(DX)のリアルな声を、まるでそこにいるかのように届けます。報道におけるバイアスをそぎ落とし、生の一次情報を根拠に、日本から世界のDX動向をリアルタイムでキャッチ。読者のみなさん、各地のデジタル最前線の情報を通して、世界がどんな風に様変わりしているのか、目撃してみませんか?情報をシェアするだけじゃない、世界を「読む」ことで、これからを生きるヒントを一緒に探していきましょう。さあ、この冒険に、あなたも参加しませんか?第一弾は2024年1月に開催されたCES2024をデータのじかんFRIENDの美谷広海さんがレポート。

         

世界最大級のテクノロジーの見本市CES。以前は、家電の見本市としてラスベガスで開催されてきている展示会ですが、近年ではその範疇を大きく広げテクノロジー全般、モビリティ、イノベーション、スタートアップも多く参加する展示会として注目を集めています。

筆者は、前職の初出勤がこのCESのメディア向け前夜イベント、CES Unveiledでのことでした。IoT製品の先駆けとして展示していた製品が多くの海外メディアの注目を集め、全く新しい世界に足を踏み入れたことを鮮明に覚えています。それから4年間、前職での海外担当としてCESに出展者として参加し、起業してからは4回、CESの日本のスタートアップのパビリオンに出展し、スタートアップの出展枠から卒業したあとも情報収集や取材のためCESに参加し続け、今年で10回目の参加となりました。

この十年間の間、1度、CESは他の展示会と同様コロナ禍により中止とはなりませんでしたが、オンライン開催となったことがあります。メディア向けの企業のキーノートは、オンラインでも配信されるようになりました。今年の来場者数は約13万人と去年の11万5000人、コロナ禍中の2022年の4万5000人と比べ大分回復してきましたが、2019年には18万2000人の人が来場していました。

筆者もこの10年間参加してきて、バイヤーの参加者の人数や、メディアの参加者の人数が2018年頃をピークにだいぶ減少してきたように感じています。バイヤーについては展示会の性質が純粋な商談の場から、テクノロジーのショーケースとしての性質を強めてきたこともあるでしょうし、オンラインで取引が代替できるようになってきたかたということがあるのでしょう。メディアについては、テレビ局やオンラインのテックメディアへの広告予算が、動画広告にシフトしていったことによる売上減少と予算削減の影響などがあったこと、コロナ禍が機会となって出張取材が大きく減少したこと、直接会場に足を運ばずともプレスリリースなどによりニュース記事の執筆が可能になったという変化があるのかなと感じています。特にカメラマンを連れたテレビ局の取材は5年前と比べてだいぶ減少したように思います。

必然的に、筆者自身も、また他の人からも「なぜCESに行くのですか?」と問いかけられることになります。そこには複合的な理由があるのですが、一言でまとめるとすると「一次情報を取りに行く大切さ」ということになります。

情報の解像度が大きくあがる

ニュース記事などいわゆる二次情報だけで十分ではないか、という意見に対しては、むしろ一次情報を取りに行くことによって、そうした二次情報の意味・価値が何十倍にも高まると感じています。実際に自分で見聞きした情報により、直接的に質の高い情報が得られるだけでなく、その後に触れるCES関連の取材記事や、知人によるSNS上の投稿、現地での情報交換の飲み会といった機会での二次情報の質が大きくあがります。それまでなんとなく頭にインプットされていたニュース記事の内容であっても、実際に会場に足を運んだ後だと、記事の理解度が深まったり、自身が直接触れて得た他の情報と比較したり、補完することでその記事の情報は何乗にも深まります。

筆者は海外出張の際に、トランジットの機会があったときには可能であれば少しでも空港の外に出てその街に出るようにしています。それが初めての街、国であれば特にそうです。街に出ることで、どの程度その国は発展しているのか、街の中を走っている車の新車・中古車の割合、日本車の割合、走っている車種の割合、町中を歩いている人の年齢層や男女比、どういった持ち物を身に着けているか、といったなかなかデータとして統計値としては出てこない情報に直接ふれることで、その国やその都市に対する理解度が深まるからです。そうすると、その後に触れるその国、都市に関するニュースへの理解度が劇的に変わってきます。

また実際にその地に足を踏み入れてみることで、よりその場所に対する想いを深めることができます。筆者はニューヨークが憧れの地でしたが、20代の間はニューヨークを訪問する機会がなく、初めてニューヨークに降り立ったのは深夜のトランジット中のことでした。真夜中なのでやっているお店はマクドナルくらいしかありませんでしたが、そこで軽食をとり真っ暗なマンハッタンを歩きどおしました。その後に、日中のマンハッタンを訪れる機会もでき、30代後半にニューヨークに赴任する機会を得ました。

定点観測をすることによってさらに情報の解像度があがる

筆者は幸運にもこの10年間毎年CESに参加することができました。同様に毎年定点観測しているイベントに、初回から参加している世界最大級のオープンイノベーションの展示会であるパリViva Technologyがあります。毎年参加しているうちに自然と同じように外部から見えているかもしれない展示会であっても毎年様々な変化があり、そのことによるテクノロジーや製品に対する理解が深まっていきます。

それが瞬間的な変化なのか、継続して起きている大きな変化なのか。データは比較検証するものが加わり比較軸が増えるほど、より有意義な分析が可能となります。毎年参加することで、出展されているテクノロジーの質、量の変化、流行りのテクノロジーがどのように広がっていくのか、収束していくのか、各企業や、国による傾向の変化などを追っていくことができ、より多層的に理解が深まります。

周りと話すこと、発信していくことでさらに深まる

こうした情報は、周囲の人と情報交換したり、自分から発信していくために整理していくことでさらに深まります。CESが面白いのが、テクノロジーやイノベーションに対して感度が高く好奇心が旺盛な方が多く参加しているため、自然とこうした人との交流が深まり、それによって知見も情報の感度も大きく深まっていくことです。

どの業界においてもこうした定点観測していく価値のある面白いイベントがあると思います。そうしたイベントにただ漫然と参加するのではなく、自身で得た一次情報とそこから発信されてくる二次情報を比較してみること、回ごとの変化を追ったり、参加者、出展者とそうした変化を意識して交流していくことで指数関数的に得られるものが増えていくのではないでしょうか。

データのじかんFRIEND:美谷 広海 
FutuRocket CEO & Founder
株式会社Cerevoにて2015年1月からSenior VP, Gobal Sales & Marketingとして、世界各国で展示活動、営業活動に従事。CES(3年連続)、MWC、SXSWを始め、海外30以上のイベントで展示を行う。
 
 

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