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高騰する建築費用と人件費、そして労働力不足。3Dプリント技術は建築業界の救世主となり得るのか?

         

人々の生活水準の基盤となる家。しかし、近年では建築費用の高騰が懸念されています。建築業界におけるコスト上昇の背景としては、材料費や労働コストの上昇が挙げられます。建築に使用される材料の価格は、原材料の価格変動や供給の不安定さなどにより影響を受けます。また、建築現場での労働力不足も深刻化しており、労働者の確保や賃金の上昇により建築費用が高騰しています。

そうした中で、最近では3Dプリント技術の進化が建築業界でも注目され始めています。この技術を建築に適用することで、従来の建築方法よりも効率的に建物を構築することが可能となります。3Dプリントによる建築では、材料の無駄を減らすことができ、また労働力の必要性も低減されます。これにより、建築費用の削減や建物の迅速な完成が期待されています。

今回は、建築費用の高騰の実態をデータで見ながら新たな技術の可能性を探ります。

建築費用はどのくらい高騰しているの?

一般財団法人「建設物価調査会」は建築費指数の変遷を公式サイトで公開しています。

標準指数となる東京の建築費指数(2015年=100とする)について、 ‎鉄筋コンクリート造の集合住宅(マンション)と木造住宅の建築費指数のグラフはそれぞれ以下のようになっています。

鉄筋コンクリート造の集合住宅(マンション)

引用:建設物価建築費指数 | 一般財団法人「建設物価調査会」

2010年代後半は緩やかな増加にとどまっていましたが、2020年以降に急激に高騰しているのがわかります。

木造住宅

引用:建設物価建築費指数 | 一般財団法人「建設物価調査会」

ウッドショックに伴い、横ばいだった建築費指数が急騰しています。2022年から緩やかになってきてはいますが、値下がりする気配はなく、引き続き、高騰傾向にあると言えます。

なぜ建築費用は高騰しているの?

冒頭でも簡単に紹介しましたが、建築費用が高騰する要因は、さまざまな要素が絡んでいますが、主な要因として以下の点が挙げられます。

1. 原材料価格の上昇

建築に使用される鉄鋼やセメント、木材などの原材料の価格が上昇していることが挙げられます。コロナ禍中にはウッドショックと呼ばれる木材の価格高騰が大きくニュースとして取り上げられました。このように、原材料の価格は、需要と供給のバランスや原材料の生産コスト、国際情勢などによって変動します。特に、鉄鋼やアルミニウムなどの金属素材は、需要が高まると価格が急上昇する傾向があります。さらに、日本においては円安などの影響もあり、海外から輸入する資材が高騰しています。

2. 人件費の増加

建築現場での労働力不足や、労働者の賃金の上昇も建築費用の高騰要因となっています。建築業界では、経験豊富な技術者や熟練した作業員の確保が難しくなっており、それに伴って人件費が増加しています。また、輸送など中間過程における人件費も増加傾向にあります

3. 規制や法令の厳格化

建築における規制や法令が厳しくなることで、建築プロセスや使用する材料に対する要件が高まり、建築費用が増加する場合があります。例えば、地震や火災などの災害に対する安全対策の強化や、省エネルギー化の推進などが挙げられます。

新技術への期待、3Dプリント住宅の実態を探る

円安が継続し、少子高齢化の中、人件費も今後どんどん上がっていくことが見通される中、近年、建築業界では新たな技術として、3Dプリント技術が注目されています。この技術は、従来の建築方法と比較して多くのメリットを持っており、建築費用の削減や建設期間の短縮など、革新的なアプローチを提供しています。例えば以下のようなメリットがあると考えられます。

1. コスト削減

3Dプリント技術を使用することで、建築に必要な材料の使用量を削減することができます。また、従来の建築方法では必要だった多くの工程や人件費も削減できるため、総合的な建築費用を抑えることが可能です。

2. 建設期間の短縮

3Dプリント技術を用いれば、従来の建築方法に比べて建築工程を大幅に短縮することができます。特に、建築物の骨組みや外壁などを一度に作成できるため、建設期間を大幅に短縮することができます。

3. 設計の自由度の向上

3Dプリント技術を使用することで、従来の建築方法では難しい複雑な形状やデザインを実現することが可能となります。これにより、建築家や設計者がより自由な発想で建築物をデザインすることができます。

実際、兵庫県のセレンディクス社が提供する3Dプリント住宅では、550万円で55平米の家ができるといいます。

このような技術発展が今後建築業界に新たな革新をもたらすのかもしれません。

おわりに

私たちの生活に関わる建築費用の高騰。要因は、原材料価格の上昇、人件費の増加、など様々です。

今後も、材料の価格上昇や労働力不足による人件費増加が懸念されています。このような状況下で、注目されるのが3Dプリント技術の進化。3Dプリントによる建築では、材料の無駄を減らし、労働力の必要性も低減させることができます。これにより、建築費用の削減や建築期間の短縮が期待されています。建築業界における新技術の活用が、今後の建築費用の抑制につながる可能性があります。ぜひ注視していきましょう。

(大藤ヨシヲ)

 

参照元

・一般財団法人「建築物価調査会」建築費指数・本当に550万円で1LDKの家ができるの? 3Dプリンター住宅の素朴な疑問をメーカーに聞いた:知らないと損!?業界最前線 – ITmedia NEWS

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