古今東西、さまざまな形で想像されてきた、地球外生命体とのファーストコンタクト。
近年ではファーストコンタクトを題材とした中国発のSF『三体』が世界で2000万部以上刊行され大きな話題を呼んでいます。
一方で、現実でも地球外生命体とのコンタクトを図るプロジェクトが計画されています。
それがNASAの研究チームが行っている「A Beacon in the Galaxy」です。
宇宙へメッセージを送る試みは、過去にも行われています。それが1974年に発信された「アレシボ・メッセージ」です。これは、電波によるメッセージで、アメリカ・プエルトリコにあるアレシボ電波望遠鏡の改装記念式典にて公開されました。
このメッセージは1,679個のビットから成り、解読者が信号の2進数列を2次元の四角形に並べ替えることを意図して作られたそうです。宇宙からの電磁波を受信して解析しようとする技術と知能がある場合は、解読可能だという仮定のもとでデザインされています。
「アレシボ・メッセージ」には以下の情報が掲載されています。
「アレシボ・メッセージ」が目標であるM13(ヘルクレス座球状星団)の星に到着するまでには約2万5000年かかり、その返信が来るとしてもそこから約2万5000年かかるため、宇宙との交信を実現させる目的よりも人類の技術を顕示する意図が強かったそうです。
それからおよそ50年が経ち、今回、NASAのジェット推進研究所の天体物理学者の研究チームが、考案したのが、「A Beacon in the Galaxy(BitG)」です。
このメッセージは「アレシボ・メッセージ」に基づきつつ、以下の情報をブラッシュアップしたそう。
「アレシボ・メッセージ」よりアップデートされた「A Beacon in the Galaxy(BitG)」ですが、その送信手法は確立されておらず、まだ構想段階ということです。
通信技術は改善されていますが、それでも他の知的生命体がいる可能性がある範囲に届くには数万年単位の時間が必要です。
そうした中で、このメッセージには意味があるのか、また、こうしたメッセージを解読する技術と知能を持った知的生命体がいたとして、友好的とは限りません。そうした生命体に位置情報などを共有することは本当に良いことなのか、という部分も十分には検討されていません。
地球外生命体とのファーストコンタクトは世界中で夢見られてきたものですが、技術はもちろんそうした生命体との交流の戦略を含め今後とも検討し、注視していく必要がありそうですね。
【参考引用サイト】 ・[2203.04288] A Beacon in the Galaxy: Updated Arecibo Message for Potential FAST and SETI Projects ・アレシボ・メッセージ - Wikipedia ・宇宙のかなたにいるかもしれない知的生命体に地球のことを知らせるための最新のメッセージ「A Beacon in the Galaxy」とは? - GIGAZINE ・A new message to the stars? Beacon in the Galaxy
(大藤ヨシヲ)
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