荻野:統計的な知識と技術的な知識を両方提供することが実務で活躍するAI人材を育てるためのポイントだと思います。例えば畑違いのIT企業からAIエンジニアを雇っても、金融データの取り扱いやデータサイエンスについての知識がなければ活躍はできないですよね。弊社では金融会社向けに教育プログラムを用意しているのですが、両面のノウハウを提供することにこだわっています。
このような教育は主要メンバーや幹部候補生はもちろん、入社前の学生に短期間で受けさせるもの効果的だと思います。
伊藤:弊社では国籍やバックグラウンドにとらわれず人材を獲得することに取り組んでいます。中国、モンゴル、アメリカ、カナダなどAI人材の出身国はバラエティに富んでいて、もちろんミーティングは基本的に英語で行われます。AI人材の需要は非常に高いですから、妥協せず獲得に取り組むことが重要です。
吉山:なるほど。ちなみに先ほど話に出たビジネスのゴールとAIモデルのゴールを一致させる能力を持つ人材はどのように育てるのでしょうか?
荻野:そういったコンサル的な能力は、ある程度は経験で獲得していくものだと思いますが、あえていえばビジネスのゴールをまずどこに設定するかから考えるのがセオリーかと思います。社内あるいは上層部の理解が得られるよう設定したビジネス上のゴールに合わせてAIモデルのゴールを考えて行くことになるのかなと。AIにできることの方向性はこの40~50年変わっていないので、ビジネスのゴールさえ設定できれば目指すべき方向性は決まってくるはずです。
『AI×Fintechセミナー vol.1 ~金融業務におけるAI分析最前線~』のリポートをお届けしました。
荻野氏、伊藤氏の講義に共通していたのが“データサイエンスへの理解の重要性”です。AIのアルゴリズムを構築するためには十分な量・質のデータを準備することが不可欠です。そのためにはデータの取り扱いにまつわる知識が不可欠だといえるでしょう。
AIと統計学のいずれにも通用した人材となるため、またはそのような人材を育成するために「データのじかん」のほかの記事もぜひご活用下さい。
(宮田文机)
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