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人工流れ星の発生には特定のイベントを盛り上げるなどの目的があるため重要になるのが正確な時間や位置に流れ星を放出できるか、という点です。そこで同社では日本の最先端の人工衛星開発技術を使い、精密な計算によって高精度で放出できるよう緻密な設計を施した放出装置を開発したそうです。
様々な最先端技術を駆使してALEがまず目指すのが、「SHOOTING STAR challenge」と呼ばれるイベント。これは、広島・瀬戸内地域で観測できる流れ星を放出する、というイベントで、当初は2020年春を目処に開催予定だったそうですが、ロケットの打ち上げが予定よりも遅れてしまったため、2020年春以降に開催される予定になっています。そして、現在、このイベントに向けて、同社は、流星源放出装置を搭載した人工衛星を2機打ち上げています。
一つ目が2019年1月に宇宙航空研究開発機構(JAXA)のイプシロンロケットで打ち上げたもの、二つ目が同年12月に カリフォルニアのスタートアップ「Rocket Lab(ロケットラボ)」によって打ち上げられた小型ロケット「エレクトロン」に搭載されたものです。
一つ目の人工衛星は無事に宇宙に到達したものの、高度が高く、流星源が放出可能な高度まで下がるのに時間を要しているため、直近のイベントでは二つ目の人工衛星から流星源を放出する予定だということです。
次世代のエンターテイメントとして大きな期待が集まる人工流れ星事業ですが、前述の通り、最近では新たな研究のアプローチ方法の一つとしても注目をされています。
学術研究における人工流れ星の意義の一つが流れ星が光る、高度50キロ~80キロの「中間圏」と呼ばれる場所の定常的な観測です。
中間圏は、大気の中でも最も気温の低い層とされており、この部分について定常的な観測やデータの収集が進めば、地球の気候変動の予測や地球と宇宙の境目で発生している現象の解明につながる可能性があるということです。
新たなビッグデータの収集のため、夜空に流れ星が降り注ぐ瞬間が来るかもしれないと思うとなんだかワクワクしてきますね。
近年、様々なエネルギーシステムの小型化や通信技術の向上によって、宇宙開発に参入するスタートアップが増え、今回紹介したように、その事業内容のバリエーションも豊かになってきています。
また、技術面においても従来の国家を挙げた宇宙開発に負けず劣らず、大きな成果を出しています。例えば、ALEの二つ目の人工衛星を打ち上げたRocket Labも、2006年に創立されたスタートアップですが、2019年だけでも10回のロケットの打ち上げを実行するなど安定した成果で信頼を獲得しています。
そして宇宙開発事業に限らず、「面白い」を突き詰めた先で新たに技術的な価値が見出したALEの事例は他の業界のスタートアップや新規事業の立ち上げにおいても学ぶものが大きいと思います。
新たな技術と柔軟な発想力から生まれる新時代の宇宙開発、その未来を考えると、次の時代の景色が少し見えてくるような気がしますね。
【参考URL】 ・ ALE Co., Ltd. ー 衛星から人工流れ星を流す宇宙ベンチャーSHOOTING STAR challenge ・ 「人工流れ星」でビッグデータ取得へ 12億円を調達したベンチャー、次の一手とは ・ 人工流れ星を降らせる株式会社ALEに潜入! エモい秘密を探ってみた ・ ALEの人工流れ星衛星、ニュージーランドで打ち上げ ・ 流星群 | 国立天文台(NAOJ)
(大藤ヨシヲ)
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