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DXで進化するトイレ:最先端のお手洗いDX事情を調べてみた

         

人間の三大欲求として現在もっともよく知られているのは「食欲・睡眠欲・性欲」ですが、実のところこれに科学的な根拠はないそうです。「性欲」に代わって、生理的欲求として避けることはできない「排泄欲」を加えた方が良いのではないかと考えたことがある方も多いのではないでしょうか。

日本は世界でもトイレのクオリティが高いことで有名な国。そのウォシュレットを含む温水洗浄便座の普及率は2023年3月末時点でなんと81.7%に達しています消費動向調査令和5年12月実施分┃内閣府)。しかし、日本のトイレの充実はウォシュレットに留まりません。

本記事では、最新のトイレDX事情をご紹介します!

【1】トイレ×IoTで混雑時の利用・メンテナンスを簡単に

TOTO株式会社が2021年6月に発表した「パブリックレストルーム設備管理サポートシステム」は、IoT(モノのインターネット)で下記のサービスを提供します。

・空き状況表示サービス:トイレの空き状況・混雑状況がわかる
・設備管理サポートサービス :器具の故障状況や水石鹸の残量などを把握し、遠隔操作で設定変更ができる

一日の利用回数が多く、メンテナンスも重要なトイレのデータをリアルタイムで共有し、判断や維持管理を的確に行えるようにするのは、IoTの活用法としても非常に合理的といえるでしょう。

【2】AIを用いて清掃最適化や排便状況管理を自動で

株式会社LIXILの展開する「LIXIL Toilet Cloud」も前述のサービスと同様にIoT×トイレで故障や利用状況をリアルタイムレポートし、アプリでの一括操作も可能にするサービス。こちらはより「メンテナンス」に特化し、AIによる清掃最適化機能も搭載されているのが特徴です。

たとえば、トイレの利用回数などに基づいた清掃指示の作成や、満室状況の共有などもアプリで行われるとのこと。同社は高齢者施設の排便状況管理や転倒防止をサポートするコンセプト「トイレからのお便り」もコンセプトとして打ち立てており、AIによる排便状況の判定や記録(の先の健康管理)も実現しようとしています。

【3】誰もが使いやすいトイレのレイアウトをAIが数万件から提案

LIXILがDXに取り組んでいるのは、どうやらトイレの「利用」だけではないようです。同社の展開するサービス「A-SPEC」公共トイレの自動設計に特化したAIサービス。2020年10月に発表された第一弾は、多機能トイレの器具レイアウトを提案するというものでした。

公共の空間がバリアフリーであることは当たり前ですが、なかでも多機能トイレは誰もが使いやすい環境であることが絶対条件です。複雑な条件を加味し、数万件のアイディアからよりよいバリエーションが提案される「A-SPEC」はその設計に寄与します。さらに、2023年10月には一般トイレのレイアウト設計機能も追加され、さらに利用の幅は広がりました。

【4】手のひらサイズのセンサーでトイレの混雑を共有、タブレットで表示

TOTO株式会社×株式会社バカンで実現された「VACAN Throne」は、前述の「パブリックレストルーム設備管理サポートシステム」にも貢献するサービスです。トイレの空き状況可視化に特化したIoTサービスであり、手のひらサイズのセンサーを設置することで、簡単にトイレの混雑状況可視化を可能にします。

また、株式会社バカンはトイレの混雑状況を知らせるためのデジタルサイネージ「AirKnock」も展開しています。みなさんも「ついついスマホをいじってトイレで長居してしまった」という経験があるのではないでしょうか?

AirKnockはついつい自分の殻にこもってしまいがちなトイレで利用者に状況を伝え、譲り合っての利用を促進します。

【5】音声で指示、スケルトン……独特なトイレで多様性を表現

東京都渋谷区に設置された「七号通り公園トイレ」は別名「Hi Toilet」。なんと手を使わず、音声操作でドアの開閉からウォシュレットの操作や手洗いの指示まで行えるというのです。このトイレは多様性のある社会の実現をコンセプトに渋谷区で実施された「THE TOKYO TOILET」というプロジェクトの一環として設置されました。

ほかにも“鍵を締めるとガラスが曇る「透明トイレ」や巨大な照明で「ライトアップされるトイレ」などさまざなコンセプトのトイレが17カ所つくられています。ちなみに、THE TOKYO TOILETのプロジェクトは、映画「Perfect Days」でトイレの清掃員役を演じた役所広司さんが作品内で掃除をして回ったことで、世界中で話題になっているそうです。

終わりに

日本の誇るトイレDXの最新事情について、特徴的な事例を用いてご紹介してまいりました。ユニセフ・WHOの報告書によると、2022年時点で「安全に管理された衛生施設(トイレ)を利用できる」割合は世界の人々の57%トイレDXの前に、“そもそもトイレがない”という状況の方が数億人単位で存在するのが世界の実情です。誰もが不便を感じることのない未来をつくるために、トイレに我々はもっと目を向けるべきではないでしょうか。ぜひその発端としてこの記事をご利用ください。

(宮田文机)

 

参照元

・消費動向調査(令和5 (2023)年 12 月実施分)調査結果の要点┃内閣府・「TOTO パブリックレストルーム設備管理サポートシステム」発売 “水まわり器具×IoT”でトイレ空間をサポートし、利用者・施設管理者の困りごとを軽減 ┃TOTO・LIXIL Toilet Cloud┃LIXIL・高齢者施設におけるトイレ利用の実証実験 7月から開始。IoTやAIを活用し、入居者のQOL(生活の質)の向上とスタッフの対応力向上・業務負荷低減を目指します┃PRTIMES・Throne/AirKnock「トイレの使用状況を可視化し、混雑を抑止する」┃株式会社バカン・パブリックトイレ空間を自動設計するクラウドサービス「A-SPEC」を10月19日より公開~数万件のパターンから、自動で多機能トイレプランを提案~┃LIXIL・パブリックトイレ空間を自動設計するクラウドサービス「A-SPEC」 一般トイレ空間のレイアウトの設計機能を追加し、大幅アップデート┃LIXIL・トイレのDX化を推進!バカン、TOTOと協業〜トイレ器具×IoTで快適なトイレ環境を整備〜┃PRTIMES・THE TOKYO TOILET
・ユニセフの主な活動分野|水と衛生┃unicef

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